_死ぬまで一緒だよ_
___
「……。
今日もかっこええなぁ…」
そう独り言を漏らしてため息をつく。
3年前、中学校の入学式の日、
俺 いふは桃髪の男子に一目惚れしてしまった。
自分も、まさか男だとは思っていなくて、
その美しい瞳に見惚れていた。
彼は誰にでも優しく、頼りがいのある優等生。
でも見た目もそうだがちょっとやんちゃなところもある。
そこのギャップもすごく好き。
なんども彼に想いを伝えようとしたが、
彼の前に立とうとすると 胸の鼓動が高鳴ってまともに前すら見れなくなる。
それで彼に怪しまれたこともしばしば……
…今日こそはあいつに想いを伝えよう。
……俺の足元に誰かが落としたであろう消しゴムが転がってきた。
誰の物だろうと その消しゴムを拾い上げて前を向いた。
…目の前には俺が恋焦がれている ないこ が立っていた。
「ごめん、消しゴム落としちゃってさー
いふさん 拾ってくれてありがとう。」
そう言って彼は愛想良く微笑みを浮かべた。
不意のことで自分の顔が紅潮してしまう。
俺はとっさにノートで顔を隠した。
でもこれは話しかけるチャンスができた。
存分に使わせてもらおう。
「お、おう。今度からは落とさんように気ぃつけなよ。
…それとさ、放課後、校舎裏に来てくれへん?」
「 ? わかった。校舎裏ね。
…あ、もうすぐ授業始まっちゃう。それじゃあまた!!」
やっと彼に想いを伝えることが出来る…!!
放課後が待ち遠しい…。微かに胸の鼓動が速くなった気がした。
____
「いふさん!
来たよ! なにか用でもあるの?」
「単刀直入に言うな、
俺、ないこのことが好きやねん。
だから…その…おこがましいけど 俺と付き合って欲しいなって…」
「あ…すごく言いにくいんだけど…
ごめんなさい…その言葉は受け取れない…
俺、2年のりうらと付き合ってるんだ…」
…そんな…
俺は絶望して膝を地面に落としそうになった。
… まてよ… 彼に他に相手が居るなら 彼を奪えばいいのでは?
そういえばりうら、最近 悠佑って奴と仲良いよな…。
そうだ…。嘘をついて彼を騙そう。
りうらが浮気をしている、と嘘をつけば彼はりうらを軽蔑するはず。
「…そういや、りうらって俺らと同じ3年生の 悠佑 って奴と仲良いよな。
なんかあいつら、付き合ってるらしいで。」
「…!! そ、そんなわけないじゃん。
りうらはそんなことしないよ〜」
「…ほら。」
俺はとっさに作ったコラ画像を彼に見せた。
こう見えて加工技術は結構高い。
「…え。
そんな… りうらが… あのりうらが…?」
見せたのはりうらと悠佑が放課後の空き教室で
抱き合って唇を重ねているコラ画像。
まさかこんなので騙されるとは。結構おこちゃまだなぁ。
「画像のとおり、りうらは悠佑と浮気している。
お前の彼氏って最低だな。
…俺だったらないこを一途に愛すのになぁ。」
ないこは絶望したのか泣き崩れてしまった。
そのまま俺の身体に寄りかかる。
「そんな…。りうらがそんな人だったなんて…
もう いいや、りうらなんて
さっきは断っちゃったけど…俺からも
付き合ってくれない…かな…」
「…!! ええん!?
よっしゃ… ないこ、これからよろしくな」
「うん!! いふ…よろしくね…
好き…」
…やっと俺に堕ちてくれた…
これでないこは俺の物…
死ぬまで一緒に居いような…
END