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「じゃあね、騎士様」
「ああ…ってどこに行くんだ?」
「ただの散歩」
「雨だそ?」
「うるさい!…僕の勝手だろ」
「そう…だな」
こいつと話してるとどうも調子が狂う
何を言うかも予想つかないし
変に心が動く感じが気持ち悪い。
【朝 魔法舎:庭・森】
「外に出たはいいけど。つまんない」
*そう独り言を言って、魔法舎裏の森に
入って行く。*
雨から守る魔法はあるけど、
使う気力もない。別にすぐ帰るだろうから
いらないだろう
この森は意外と発見がある
見たこのとない木の実がなる木とか
どこから来たのか分からない猫とか
誰かさんが喜びそうな薬草とか。
興味無い
「これは…」
*ひとつのガラスを手にする*
このガラスは
この前ミスラと殺し合いをした時に
割れた窓のガラスだろう
ここまで飛んでくるんだ。
無意識のうちにガラスを持っている左手を
振りあげて 右腕に突き刺した
「…っ!」
慣れてるはずなのに。痛い
血管に刺さった?どうだっていい。
…それにしても。痛い
「ふー…ふー…。」
*思わず切り株の前に座り込む*
頭の中に騎士様の顔がうろついてくる
笑ってる顔、悲しそうにしてる顔。
本当に失望を露わにした時の顔。
こっちを冷たい目で見てる顔。
僕が悪いの?僕のせいなの?
僕が嘘つきだから怒ってるの?
僕が悪い事をするから泣いてるの?
分からない。何を考えてるのか分からない
どうして僕なんかと話してるの?
僕のことをどう思ってるの?
きっと、カインもきっと
僕を見捨てる。居なくなれって
みんなだってそう思ってる
僕なんか必要とされてないし
いらないって思ってるよね。
みんなみんな偽善者だ。
「オーエンのことは嫌いじゃないですよ」
「お前だけ置いていかない」
「必ず戻ってくるから」
あれもこれも全部。嘘だ
きっときっとそう
1200年前、その言葉を信じていた。
でも、誰も助けには来ないし
みんな僕のことを嫌って
戻ってきてくれる人もいなかった。
だからどうせ、そのうち
みんな僕を嫌って、見捨てる
誰も来ない
「僕の力だけ利用してさ!!」
「僕はおまえらの道具じゃないんだよ!」
「なんなの…。」
*もう1回左手を振り上げて、右手に刺す*
「…っ…。」
ぜんぶぜんぶ僕のせい。
この世の不幸は全部僕のせい。
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どれだけ時間が経っただろう
コートは水で濡れてるが
体を被ってたおかげで、
とても寒くはないが、少し肌寒い。
1時間、もしくは1日たっているのかも
切り株を背もたれにして寝ていたのだろう
…さっきまで何をしてたんだっけ。
……僕のせい。ぜんぶぜんぶ…。
「…っ。はぁ…っ。」
うまく息が吸えない…。
いっそこのまま…。
意識が遠くなる感覚がした。
「…!」
「……エン…!」
「…ーエン!」
「…オーエン!」
誰の声だろう。この
少しうるさくて、勇敢さを感じる…
カインだ。
ぱちぱちと目を開けるとそこは
僕の部屋だった
「…!?」
「…オーエン!!よかった!」
「なんで…どうして…。」
「雨なのに散歩はオーエンでもしなそうだな、って思ったから怪しかったんだよ」
「オーエンが散歩に行ってから、何時間たっても戻ってきてなさそうだったから」
「魔法舎裏の森と庭を探してたんだ」
*オーエンは珍しく聞き入っている*
「そしたら切り株で寝てるオーエンを見つけたからさ、部屋まで運んでおいたんだよ」
「…ふうん。」
「騎士様は嫌いな人に対してもお人好しなんだね。」
「オーエンは嫌いじゃないって何回も言ってるだろ?真面目に受け取ってくれよ…」
「…っ。」
*自然と涙が溢れてきた*
「…っ…ぅ…」
「オーエン…!?」
「どうして泣いてるんだ?」
「…うるさい…っ。」
「…ええ?」
*カインはオーエンの頭を撫でた*
「…ちょっ…なにしてっ…。」
*嫌そうにしてるけれど、決して止めさせようとはしない。*
「泣き止むまでそばに居るから、な?」
「どこにも行かないで…。」
「…ひとりにしないで。」
「ああ、もちろん。」
これはきっとお互いに本心なんだろう
大いなる厄災の傷でもなく、本当の彼。
嘘の言葉じゃなく、本当の言葉。
降っていた雨も止み、綺麗な虹が出でいる。
オーエンの本心に
触れられた気がする。
𝐞𝐧𝐝 🕊