私は長瀬 珠里。十二、いま、教卓の横に立ち頭を下げている。
これだけ聞くと、想像つきにくいだろう。詳しく言うと、私は、小学校卒業最後のサヨナラの会で教室の前に立ちクラスの生徒、その保護者。そして、担任の先生に頭を下げた。なぜ、こうなったのか・・・
暖かい4月の春のこと。私は、母親に呼ばれた。
「あんた、ここに座りなさい」
その言葉は、いつもと違いすごい鋭い声に聞こえた。私は、言われたとおり母親の前に座った。すると、
「先生から色々聞きました。あんた、男の子をつねったり叩いたりしてたんだって?」
母親は、すごい剣幕で私を叱った。母親が聞いたのは真実だった。しかし、少し違うところもあった。だから私は母親にしっかり説明した。
「やってたことは真実。ごめんなさい。けど、私が全部やってたわけじゃないの‼」
「わかってるわよ、他の子もやってたんでしょ。けど、やったことには変わらないんだからもう二度としないで」
そう言われ、親と約束した。
それから数日後、私は違和感を感じた。前まで仲良くしてた子に避けられるようになった。最初は、私も機嫌が悪いのかなぐらいで気にしていなかった。しかし、ある友達から聞いてしまった。
「ねね、ちょっと話したいことがあるんだけど。」
「どうしたの?」
「この前、はるなちゃんが珠里の悪口を言ってたんだよね。」
「そうなの?教えてくれてありがとうね」
その会話が、あってから私は気付いてしまった。気付きたくなかった。それからそういった話がよく耳に入るようになった。正直、私はショックを受けていた。仲いいと思っていた人にまで悪口を言われているのを知ってしまったからだ。私はもう耐えられず、担任の先生に相談をした。
「先生、最近私の悪口をクラスの人達が言ってるらしくて、」
「そうなのね、ちゃんと教えてくれてありがとう。じゃあ、クラスで女子会を開こう。」
先生の提案により女子会が開かれた。
「では、男子たちは図書室で自習をしてもらっています。ここには女子しかいません。最近、珠里さんの悪口を言ってる方がいるというのを耳にしました。なので、この機会を作りました。悪口は裏でいうからいけないんです。言いたいことがあるなら直接本人の前で言いなさい。でも、ここで終わりにしましょう」
「「はい」」
みんなが返事をしたあと、私はクラスの女子達からたくさんの不満をぶつけられた。最近の不満から幼少期の頃の不満まで言われた。その時の私は、謝ることしかできなかった。心のなかで、自分を責めた。自分が変わればまたみんなと仲良くなれると思った。だから、わたしは女子たちから言われたものすべてを直そうと思った。
それから数日がたった。しかし、何も変わらなかった。変わったどころか悪口やいじめは増す一方だった。それを察した先生はもう一度女子会を開いた。しかし、その会から数日経っても何も変わらなかった。いまの状況から何も変わらないままわたしは、六年生になった。担任は変わらずクラスのメンバーだけが変わった。しかし、なぜかいじめらしきものはなくならなかった。私は、母親に相談をした。
「ねね、私はどうすればいい?」
「またされてるの?もうきにすんな。」
母親は、私に気にすんなと言った。無理に決まってる。学校で無視され、休日近所で会えば逃げられる生活。どうすれば、気にしないようにできるのかわたしにはわからなかった。毎日泣いていた。しかし、私は気が強かったため学校は休まなかった。その人達に負けたくなかったからだ。運動会も発表会も意地でもでてやった。そしたら、だんだんと生活しやすいようになった。転校生も来て私は自分なりのやり方で毎日を過ごした。
そして卒業式。私は、堂々と赤い絨毯の上を歩いた。私は勝った気持ちになった。そして開放される気分にもなった。そして、式が始まり私は名前を呼ばれ、卒業証書をもらった。そして最後、クラスでのサヨナラの会。先生が仕切りだした。
「最後に一人ずつ一言言ってお別れしましょう」と。
名前の順で次々に一言言い始めた。そして、私の番が来た。
「このクラスでは一年間ありがとうございました。そしてごめんなさい。この六年間たくさんみなさんを傷つけてしまいました。私が気づいていない間に傷つけていたかもしれません。本当にごめんなさい。保護者の方々にも大変迷惑をかけてしまい申し訳ありませんでした。ママ、パパ迷惑ばかりかけてごめん」
言い終えたあと私は頭を深々とさげた。それがいまだ。先生に「もう大丈夫よ」と言われ頭を上げ座った。私は泣きすぎてしまい呼吸困難になってしまった。しかし心は、スッキリしていた。来月から中学生。同じ小学校の人達はいるけど、違う小学校からも来るので楽しみというのもありワクワクしていた。次こそはと・・・続く
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