春、神谷咲夜と神谷朔夜は警視庁警察学校に入学した。
入学希望した理由は、両親に昔から薦められていたから。
今日は警察学校の入校式。
入校式に相応しい、桜の花びらがヒラヒラと散っていく暖かい日。
教場ごとに名前順で並び、点呼のために席を立つ。
「神谷朔夜!」
朔「はい(ボソッ」
「神谷咲夜!」
『はい!!』
陽気で天真爛漫な姉
陰気で四角四面な弟
数日前から入寮し、
朝早くから日朝点呼を取ったり、入校式の練習がある中で
この2人は、学校の中で有名になっていた。
理由は、顔が良いこと。
そして、
『___おい、(ボソッ』
朔「___なんだよ」
『前が見えない。縮め』
朔「お前がチビなのが悪いだろ」
『今テメェ、なんつった?』
朔「チビ」
『ぶっ飛ばされてぇのか、テメェ!!』
「そこ、うるさいぞ!!」
『す、すみません』
この双子、とてつもなく仲が悪いのだ。
入校式での点呼のあとは新入生代表の挨拶。
主席は誰だ、と咲夜が壇上を見ていると上がってきたのは同じ教場の金髪褐色イケメン。
イケメンだな、と咲夜は思いながら、あくびをしていた。
眠くて長くて緊張感漂う入校式をなんとか眠らずに終え、2人は講堂を出てから教場へと向かう。
すると、
「ねぇねぇ、君って入校式で騒いでた子だよね?」
後ろから話しかけてきた男がいた。
『誰?』
萩「俺、萩原研二!名前は何って言うの?」
『神谷咲夜。で、コイツが』
朔「神谷朔夜。てか、俺紹介しなくてもよくね」
萩「神谷___。もしかしてだけどさ、2人って__」
『私達、双子なの。全然似てないけど』
萩「でも咲夜ちゃん、めっちゃ可愛いね〜♡」
語尾にハートがつくような甘い声で言う萩原に、朔夜は「うげぇ」と顔をしかめた。
咲夜はというと、
『____え?』
顔が爆発するほど真っ赤になっていた。
萩「もしかして、照れちゃった?」
萩原は、面白半分で咲夜の顔を覗き込むと、
萩「__!!?」
固まった。
『さ、朔夜、もう行こ!!』
顔を覗き込んだ萩原を押し退け、咲夜は朔夜を引っ張って行ってしまった。
萩「あの顔は、反則でしょ」
少しだけ頬を染めてニヤけている萩原がいたとか、いなかったとか。