いらっしゃいませ!
足を運んでくださりありがとうござ 4月6日は自分の師匠 「汐音。」様の 誕生日です。
勝手なお祝いをお許しください…
物語の最後に師匠に向けてのメッセージを書いています。
嫌な方は𝑒𝑛𝑑と記載してる部分を見た後物語を閉じてくだ て投稿すると師匠の
貴重な時間を取ってしまうのでまとめました
見てくださると嬉しいです。
汐音。様お誕生日おめでとうございます!
それでは本日のおすすめの本の
注意書きをご覧下さい。
✿.•¨•.¸¸.•¨•.¸¸❀✿❀.•¨•.¸¸.•¨•.✿
irxs様とは関係ありません
この“物語は、フィクション“です。
“nmmn注意“
nmmnを知らない方はお調べ下さい。
ペアは赤桃青
赤 『』
桃 「」
青 〚〛
その他《》
死ネタ注意
花言葉 別れ要素を含みます
苦手な方 地雷な方は自衛をお願いします
✿.•¨•.¸¸.•¨•.¸¸❀✿❀.•¨•.¸¸.•¨•.✿
以上が注意事項になります。
また遊びに来てね~!!
霧がかっている部屋には、複数のドライフラワーが吊るされている。
今回は、2つのドライフラワーをご紹介するね。
「ダフォディル」 と「桜」。
ダフォディルは、日本語で「水仙」という
名前があります。
黄色の可愛らしいお花ですよ。
桜は、控えめな桃色の花が特徴的。
花言葉は…
…!!
…呼び出されてもたから俺行くな。
じゃあ、またこの部屋で会おうな!!
午前六時。その時間になると会長が、俺を起こしに来る。
「まろ、!!!!今日こそは…学校に行こう!!」
〚無理。俺は学校に行く気無いよ。態々起こしに来るとか…生徒会長様はお暇何ですか~??〛
「暇じゃないよ。でもね…まろは、出席日数がギリギリだから学校に来るように先生からもお願いされたんだもんっ!」
お気に入りの枕を手に持ちこちらを見下ろす こいつは、ないこ。
学校の生徒会長であり俺の親友。
学校には行かないと毎朝言っているのにこうやって起こしに来る。
内心うんざりしていた。
「今日こそは学校に行こう~!!」
〚行かへんから…執拗い〛
『猫宮…会長は執拗いから諦めた方が良いと思うよ。 ね?起きよ!』
布団を奪い取ったこいつはりうら。
俺の良きライバルでありないこの右腕兼 副会長。
明るい髪色と優しい声色の美少年。
─2人がかりで…起こしに来るとか…学校側も暇なんかな…
『不良生徒の面倒を見る会長の身になってよね…起きたら制服着て。はい、制服』
〚…しゃーないなぁ。学校行く〛
「ほんと~!?毎朝起こしに来て良かったぁぁ。ね?りうら!!」
嬉しそうに頬を緩めるのも微笑みを向けるのもいつも 隣に居るりうらだ。
微笑みを向けられたりうらも満更でもなさそうな顔で素っ気なく答えた。
『会長が、頑張ったからですよ』
「そうかなぁ~?んへへっ~そうだったら
嬉しいなぁ~」
楽しそうに話すないこは、会話を終えると俺の手を引いた。
〚ないこ?〛
「今日の朝食は、俺が作ったんだぁ~!!
まろ行こう」
嬉しそうに、ぴょんぴょん跳ねる。
─動きが小動物っぽい?
「りうらも手伝ったんだよ!味の保証は
無いけど!!」
〚ドヤ顔で言うことや無いなぁ。 まぁ…2人共ありがと 〛
『…別に。会長の為だから』
お礼を言うといつもは素っ気ないりうらも
表情を和らげて笑ってくれた。 少しは仲良くなれそうかな。
「りうらが、嬉しそうで何より~言い忘れてたけどまろおはよう!」
低気圧と湿度で落ち込んでいた双葉もこの時は元気いっぱいにぴょこんとしていた。
〚…いつまで握っとんねん!!〛
「はっ、!?ごめん…」
今思い出したのか掴んでいた手を離した。
仕草一つ一つが、穏やかで明るい。
俺の心に入り込むような優しい声音。
〚ごめんちゃうわ。毎朝鬱陶しい奴…〛
鬱陶しいのに何故か拒めない。
「不良生徒を正しい道に導くのが会長の仕事だもん!!」
〚あっそ、大層な仕事やなぁ。会長様は、…〛
ないこ自体に、興味も関心もない。
唯一抱く興味としては、どうしたら起こしに来ないかだけだ。
『…会長のこと侮辱したらりうらが許さないからね!』
会話に入ってきたりうらは不服そうな表情で
間に入ってきた。
〚副会長様は、ほんまないこにベッタリよなぁ…嫌にならんの?〛
その問いにりうらは、『何言ってんだ』と言いたげな表情で溜息をついた。
─何やねん。言いたいことあるんならハッキリ言えばええのに…
『会長の傍に居るのは楽しいから。全然やじゃないよ。』
さも当たり前のように答えるりうら。
ないこの傍に居るのは、嫌じゃないか。
─ないこのどこがええんやろ?
『会長はね、猫宮みたいな不良生徒にも
優しく手を差し伸べる人なの。猫宮には
分かんないと思うけど…』
だから、会長の傍に居るのは、苦じゃない。
副会長という重荷を背負ってまで居たいと思うのはそれが理由か。
〚やっぱ…俺には理解できひんな〛
『理解できなくて結構。誰がなんと言おうと会長は、自慢の会長だから』
ないこのことを心から慕い笑いかける姿を見て妙に納得している自分が居た。
─りうらは、ないこのことが好きなんか。
「そんな褒められたら照れる~!!」
『照れても良いんですよ? 会長は照れた表情も愛らしいんですから』
「えへへ~そうかなぁ…」
仲睦まじいやり取り。
信頼しあっている2人に、胸がちくりと痛んだ。
─ほんま…何やろなぁ。
朝食を食べ終えた俺は、会長と副会長に挟まれ登校していた。
〚あ〜学校怠い…帰りたい…〛
『そんなことしたら留年するよ~? 留年したら会長と一緒に卒業出来ないけど良いの?』
〚別に俺は、卒業とか興味無いし…〛
『ほーんと猫宮は、会長の頑張りを消す天才だよね。 昨日も学校さぼって喧嘩したんでしょ?』
そう。俺はないこの頑張りを消している。
他校の生徒と喧嘩をし、停学する程の不良だ。
それなのにないこは、何かと俺に声を掛ける。
板書のコピーや授業内容を纏めたプリント・宿題を毎日届ける。
〚仕方ないやろ。売られた喧嘩断るとかダサいやろ 〛
『それで負ける方がダサいと思うよ。止める人の身になってよ』
「〚負けてへんから!〛」
声が被され驚いて目を見開く。被せた本人は、楽しそうに笑った。
「喧嘩負け無しだもんねっ…?おまけに文両道で生徒からも一目置かれてるのにどうして学校に来ないの?」
〚行きたないから。机に向かって勉強するより身体動かす方が好 きやから〛
当たり障りのない回答をし、肩から落ち掛けている鞄を持ち直す。
ないこの息を呑む声が聞こえたが、目が合うと変わらない笑顔を向ける。
「そんなに身体動かすのが好きなら運動部に入ってみるのはどうかな?どの部活も楽しいよ!! 」
鞄から資料を取り出し俺に手渡した。
一枚ずつ資料に目を通すと丁寧な字で部活の説明が記載されていた。
「俺が入ってる部活はね!運動部じゃないんだけど…楽しいからおすすめだよっ!!」
〚花音部って何やねん…〛
─華道部ならともかく…花音部って…
『季節の花や学校周りの花を活けたり花言葉を調べたりする部活ですよ』
疑問を抱く俺にりうらは、呆れた様子で花音部の説明を口にした。
『部員は、りうらと会長だけの小規模の部活だけど楽しいよ。』
〚ふぅ~ん…仮入部とか見学とかしてるん?〛
俺が興味を抱き尋ねるとないこの双葉が、ぴょこんと跳ねた 。
─それ動くんや。
「どの部活も仮入部・見学出来るよ
興味のある部活が、あるなら一緒に行くよ!」
〚ないこと二人とかお断りや。行くなら一人で行くから…俺に構うな。〛
断ったらもう関わって来ないだろう。
「興味があったら俺の部活にも来てね」
〚…気が向けばな〛
二人を置いて颯爽と学校に向かった。
驚くないこの表情を見た後、りうらが追いかけて来た。
『そんな態度取ったら会長泣いちゃうよ。
少しは、優しく接してあげて…例え猫宮が不良生徒でもね?』
喉元に指を当てりうらは、寂しそうに微笑む。今にも泣き出しそうな表情で話し出す。
『友達が目の前で居なくなったら猫宮は、どう思う? 』
〚…悲しむかな。転校されたら寂しいし…〛
『転校じゃなくて…事故で死んだんだよ。
それも自分の目の前で…』
〚…だから優しくしろってこと?〛
『もっと興味を持ってあげて』
重い話をし終わった後、ないこがやって来た。
「2人共、足速い…!!」
『会長!!すみません…置いて行ってしまって…鞄持ちますよ』
〚俺が持とか?先走ってったの俺やし〛
手を伸ばしないこの鞄を取り、肩に背負った。
不服そうに鞄を奪い取ろうとしていたりうらも諦めてないこの隣に歩く。
背が低いりうらが俺から鞄を奪い取るのは、
難しいからなぁ。
「まろありがとう!!」
〚どーいたしまして〛
会話は、それだけで終わった。 三人の間に沈黙が続き通学路を歩く。
ないこのずっしりと重い鞄を持つ肩が痛い。
─毎日こんな重い鞄持っとるんか…
感心しながら校門をくぐり抜けてないこに鞄を返した。
「あ、のさ…お昼一緒に食べない??生徒会室だから人目につかないよ! 」
〚…会長と副会長と居ったら恨みとか買わへん?俺不良生徒やけど、〛
『自覚があるだけまだマシだと思うよ。
それに会長は、物じゃないから誰と居ようが関係ないよ』
だから安心して良いよと笑うりうら。
お前そんな風に笑えたんかと思うくらい柔らかい表情だった。
『副会長も同様…りうらは、女の子の恨みとか独占欲とか興味無いから。何かされそうになったらいつでも生徒会室においで』
〚なるべく行かへんように気ぃつけるわ
じゃあな。〛
二人に手を振り教室に向かった。
『会長。良ければお昼ご一緒しても宜しいでしょうか?』
四限目のチャイムが鳴りお昼休みになるとりうらが、教室にやってきた。
「良いよ〜!…猫宮くんにも声掛けに行こっか。」
『会長まだ猫宮に声掛けるんですか? 』
「勿論!猫宮くんが更生するまで声を掛けに行くよ。」
お弁当箱を持ち隣の教室のドアをノックした。ノックをし、用のある人物の名前を伝えクラスメイトに呼んでもらった。
嫌そうな表情の猫宮くんが、教室から出て来てくれた。
「お昼一緒に食べよっ!」
周りの視線がある場所なら猫宮くんは、断りにくいだろう。
〚…分かった。一緒に食べる〛
「ありがとう~!!りうら行こっ!」
『わ、っ!会長そんな走ったら転びますよ!!』
「まろ、お昼それだけ?」
〚う、うん?そんな食べれへんから…〛
『それでも、パン一つは、少な過ぎない?』
お節介半分で自分のおかずを皿に移し、まろに差し出す。野菜が、嫌いじゃなければ良いんだけど。
〚りうらって料理出来るん?〛
『趣味程度だけどね。会長、卵焼き交換しましょ!』
「料理上手に勝てるかは分からないけど…
どーぞ!!」
『ご謙遜を。会長は、十分料理上手ですよ』
会長の卵焼きを箸で、割り口に運ぶ。
ふわりとした焼き色と優しい出汁の味と油の優しい甘みのメリハリが、凄く良かった。
流石会長だ。料理一つとっても心を込めて作っている。
一方で、自分の作った卵焼きを口にする会長を見て心拍数が上がる。口に合うか分からず不安になってしまう。
「甘くて美味しぃ…まろも食べる~?」
会長が、パンを頬張る猫宮に声を掛ける。
─ほんとに凝りないな。
〚要らへんよ。ないこが、貰ったんやからないこが食べぇや。〛
「はぁい。なら俺の野菜炒めと南瓜の甘煮あげるから良かったら食べて。」
拒否しようとする猫宮の口元に箸を当てる。
食べさせるから食べろと無言の圧がかかっていた。─距離が近いな。
〚っ、美味し。 〛
猫宮がそう言うと会長は、嬉しそうに自慢気に猫宮の手を掴んだ。
「頑張ったからすっごく嬉しい~」
〚ふぅ~ん。早起きでもしたん?〛
「してないよ。普段通りに起きて作ってるだけ!」
そう言いつつもないこの目元には、隈が出来ていた。
『会長は、前日の内に仕込む料理と当日に温めるだけの料理と分けてるんだよ』
〚よくそんな面倒いこと出来るなぁ。〛
パンを食べ終え空き袋を、ゴミ箱に捨てた。
りうらも食べ終わり弁当箱を仕舞った。
「2人共食べるのも早い…!!」
『会長待ってるのでゆっくり食べてくださいね。昼の仕事は、もう済ませたので。』
「…ありがとう。食べ終わったら部活見学行こうね。」
〚おーん…分かった。〛
時計が、かちりと動き時間が過ぎていく。
時計の針が十二を指した時にないこは急ぎながら弁当箱をしまった。
置いて行かれると思っているのか口元をウェットティッシュで拭う。
「さてと行こうか。何処の部活見に行く?」
〚特に無い。ないこのおすすめは?〛
「えっとね~俺のおすすめは…~」
資料を取り出し俺の傍で、 「この部活はどう?」と指を差した。 距離が近い事に驚いてしまった。
「どうかした?」
〚別に…〛
「そ、?りうらが、おすすめの部活は何かある〜?」
スマホを触りながら部活動の予算と使った金額が合っているか確認し、紹介文を纏める。
仕事をきっちりと行う副会長の姿が、そこにはあった。
『バスケ部、バレー部が良いんじゃないでしょうか。 猫宮は、無駄に背が高いですから。』
地味にディスられてる。
─運動部は、面倒そうやし文化部にしようかな。
〚花音部の体験入部して良い?花好きやから。〛
「勿論。良いよ〜!そうと決まれば、 部室にレッツゴー!」
グイグイと制服の裾を引っ張られ、活動しているのか定かではない部室を探した。
『会長。活動は、放課後なので部室の案内するだけですよ。』
「分かってるよ~!」
〚部室だけ見るのも楽しいし俺は、それでええよ。〛
『そう。』
部室を見学した後昼休み終了のチャイムが鳴り、自教室に戻った。
『…会長。良かったんですか。』
放課後。花音部の部室で、花をいけるために花の茎を切った。
パチンと鋏の音で集中していた意識が、プツンと切れた。
「何が…?」
『猫宮を部活に入れることですよ!!不良生徒を入部させたら…部活のイメージが…悪くなるだけですよ!』
「…りうらが言ってることも理解出来るけど猫宮くんは、優しい子だよ 」
『その根拠は、何処から来るんですか…』
ドライフラワーを小瓶に入れハーバリウムを作り終えたりうら。
芳しい桜の香りが、部屋に充満していた。
─良い香り。
「ん~?何やかんや言いながらも俺達と一緒に行動してくれる所とか?」
『ふぅ~ん。』
「それと鞄持ってくれたし、!優しい子なのは確か!!」
切り終えた花を花瓶にいけ、鋏をしまった。
『猫宮来ませんけど…迎えに行かなくて大丈夫なんですか?』
「あ、…忘れてたぁぁぁ!俺迎えに行くからお留守番宜しくね!! 」
『走ったら危ないですよ。転ばないようにしてくださいね。』
桜の花びらを掴み、微笑む。
りうらの体から桜の優しい香りがする。
「りうら香水でも付けてる?」
『…付けてませんよ。香水は苦手なので
それがどうかしましたか?』
「甘い香りがしたから何でかなって…」
『ドライフラワーの香りじゃないですか?
ほら甘い香りがしますよ』
鼻先にドライフラワーを当てられるとふわりと花の香りがした。
甘く優しい桜の香り。
─でもりうらからした香りは、もう少し…甘かったような。
『ほら!会長がお世話しているお花も綺麗に咲きましたよ!』
話題を逸らしたりうらは、ドライフラワーを上に吊るし 植木鉢を持って俺の傍に置く。
「あ、そろそろ行かなきゃ。行ってきます!」
『そろそろ…桜が散る季節ですね。会長』
「猫宮くん。居る!?」
息を切らし教室の前に立ち俺を呼ぶ声が聞こえた。
〚居るよ。お迎えありがとう。〛
「…ごめんね!迎えに行くの遅くなっちゃって…」
〚別に。そんな待ってへんよ〛
「…そ、そう?気を取り直して案内するね!」
制服の裾を掴むないこの手を掴み絡めた。
スキンシップが、激しい会長に反省してもらおうとからかい半分でした行動だ。
「え、…っ、と?」
顔を赤らめ手を振り払おうと揺らす。
揺らしても解けず周りに見せ付ける形になってしまった。
クラスメイトのひそひそと話す会話が嫌でも耳に入り込みないこの頬は、益々赤くなった。
「…猫宮くんって…手大きいんだ、ね。」
〚そうかな?ないこが小さすぎるんやと思うよ。〛
「ないこちゃんは、標準サイズです〜!!」
ぷくりと頬を膨らませるないこ。
小型犬みたいで…可愛いな…?
男に可愛いって抱くって何やろ。
〚はいはい~分かったから。案内してくれるんやろ、? 〛
「うんっ、。案内するね」
手を繋ぎ校内を歩く。
桃色の髪の隙間から桜のピアスが見えた。
〚…その桜のピアス綺麗やな。何処で買ったん?〛
「このピアスは、りうらがプレゼントしてくれたから…何処で買ったのかは分からないんだよね」
〚手作りなんかな〛
「どうだろ、?」
耳に触れこのピアスは、特別だから渡さないよと微笑まれた。
─別に欲しくて聞いたわけやないのに
「ここがうちの部室だよ!狭くてごちゃごちゃしてるけど…」
〚…っ!〛
この部屋見覚えある気がする。
─何処で見たんやろ。
「りうら。お客さん来たから起きて…」
寝息を立てすやすやと寝ているりうらの肩を揺する。
『…!!か、会長!?すみません…! 寝てました…』
「おはよう。りうらお疲れ様」
『おはようございます…!猫宮…体験入部だったっけ…ここ座って。お茶入れてくる』
パタパタと慌ただしく食器棚に置いていたティーポットと茶葉を取り出す。
俺達が来る間に沸かしていたであろう電気ケトルの湯をティーポットに注ぐ。
『会長。今日のお茶は、カモミールティーにしてみました。』
「…ありがとう。まろも飲む?りうらの入れるお茶は、美味しいよ。」
〚なら貰うわ…〛
空いている席に座りカップに注がれたお茶を口にする。
ほんのり苦いカモミールと蜂蜜のほのかな甘さが丁度良かった。
〚活動って何しとんの?〛
『花言葉、ブーケ、押し花、ハーバリウム
花関連の事なら何でもする部活だよ。』
〚このドライフラワーも活動の一環なん?〛
上に吊るされているドライフラワーに 指を差して質問した。
「そうだよ。ドライフラワーは、俺が作ってるんだ!最近作ったのは、桜とダフォディル~綺麗でしょ?」
〚…綺麗やけど急に近づけんな…〛
「…綺麗だから見せたかっただけ、!そろそろ手離して!」
〚嗚呼。ごめん〛
ドライフラワーを仕舞い、手を振り解く。
「っ、…」
〚そんな警戒せんでも…〛
「まろの馬鹿。そうやってすぐ触るから
女の子に勘違いされるんだよっ。」
照れくさそうに笑い、りうらの頭を撫でる。
穏やかな太陽のような笑顔でこちらを振り返る。
「猫宮くんっ!ようこそ花音部へ~! 」
入部させる気満々の彼の微笑み。 その微笑みに、惹き付けられる。 会長としての魅力があった。
〚ん。ありがとう〛
『会長がこうやって笑うのは、珍しいんだよ』
〚…っ、そうなんや〛
『そうだよ。会長は、気分屋だからあんまり人に心を開かないんだ。 』
ちらりと視線を向けると優しく微笑む。
窓辺から太陽の光で優しく照らされていた。
〚ま、まさかな、…〛
ドキッと心拍数が上がったのは、きっと気のせいだろう。
いや。気の所為であってくれ。
『猫宮。迎えに来たよ』
〚…〛
放課後になるとりうらが、ドアから顔を覗かした。
〚…今日、ないこ居るん…?〛
『何当たり前の事言ってるの?居るよ。』
〚っ、ごめん。今行くわ。〛
机にしまっていた教科書を鞄に入れ部室の
廊下を歩いた。
「まろ!今日も登校して偉いね~!!
りうらもお迎えありがとう」
『いえいえ。会長もお仕事お疲れ様です』
労りの言葉を言い合う二人を傍から眺め、
椅子に座る。
ないこから見えない死角を探し、花瓶と今日い ける花を手に取った。
ふわりと優しい香りが鼻腔を擽る。
『猫宮。そんな隅っこで何してんの? 会長の隣空いてるからいけるならそこでいけて。』
〚嗚呼。ごめん…俺はここがええから…ほっといて〛
「俺が居て欲しいの!!お願いまろ!」
眉を綺麗に下げ、手を合わせお願いと潤んだ瞳で見つめる。
〚っ…帰るわ〛
「え、…」
〚会長また明日。〛
驚くないこの傍を通り抜け部室のドアを閉めた。 何気ない仕草に頬が赤くなり意識してしまう。
隣に居たら集中出来ず、戸惑ってしまう。
〚…こんな気持ち…抱いたこと無いのにな…〛
『…なんだったんでしょうね。会長』
問いかけると目元を拭った会長が顔を上げた。
「…っ、風邪引いたとかかな?顔赤かったし!!」
『会長も赤いですけどね… 花粉症の時期でしたっけ、?』
ティッシュで鼻先を拭い、水の入ったペットボトルを手渡した。
「ありがとう。りうらは、花粉症平気なタイプ??」
潤んだ瞳でじっとこちらを見る。
眠いのか目を擦りながら鼻をかんだ。
『平気ですよ。花粉症は、持ってますけど
りうらは、スギ花粉の時期が酷いですね。』
「そうなんだ…俺はどの時期も花粉症辛いんだよね…っ、くち…!!」
くしゃみをする会長にティッシュを渡し、 目の前に置いていた花を隅に寄せた。
マスクを付けるように言おうかと悩んだけど会長は付けたがらないから言うのをやめた。
『今日の活動は、いけ花はやめましょうか
猫宮も居ませんし…お休みにしますか?』
「…ううん。もうすぐコンクールもあるからいけ花するよ。まろは、明日必ず捕まえるから大丈夫だよ。」
鼻をかみながら花の水揚げをし、 白くしなやかな指で花を掴む。
息を潜めていける姿を眺めてしまう。
『っ…綺麗…ですね』
特に意味の無い言葉を聞き取らないだろうと思い、心に秘めていた気持ちを口にした。
花ではなく会長が綺麗だという意味を込めて。
─伝わらないと思うけど…。会長好きですよ
細めた瞳でりうらの姿を映す。
「綺麗だよね〜水揚げすると元気そうで
可愛いよね。 」
やっぱり意味が通じていない。
純粋な顔で、花が綺麗だよねと微笑む。
きっと言わなければ伝わらないだろう。
『あ、あの!!会長…』
ほんとは、今すぐにも…伝えたい。
「なぁにぃ〜?りうら??」
『りうらは、好きです!会長がいけるお花綺麗で、大好きです!!』
言おうと思った手前で、怖くて別のことに対しての『好き』を口にする。
弱い自分。臆病者。
「ありがと。すっごく嬉しいな〜!
りうらの作るハーバリウムやドライフラワー優しくて俺は好きだよ。」
もう少しで会長としての任期を終える。
それが示す意味は、三月になると会長が卒業するという事だ。
─悲しいな。
「りうら、!りうら〜??手元見てる?
りうら〜??」
『あ、え……あ、…』
自分の手元を見ると、桜の枝が綺麗に半分に折れていた。
力が入り過ぎていたのだろうか。
「大丈夫?考え事してた?後片付けは、 俺がするから、手当しようか。」
『…すみません。』
手元を差し出すと、慣れた手付きで包帯をくるくると巻き結び目を作った 。
「生徒会の仕事で疲れてたんだよね? ちゃんと手元を見ようね。」
『…会長ならこんな初歩的なミスしませんやよね。不甲斐ない副会長で、すみません。』
ぽんぽんっと頭を撫で、励ます会長。
会長が触れられると顔が赤くなってしまう。
心拍数が、聞こえませんようにと心の中で願う。
「不甲斐なくないよ。りうらは、十分頑張ってるよ。」
『…はい。ありがとうございます』
頭から手が離れると少し寂しかった。
『今日の活動は、これで終わりですね。
会長帰りましょうか。』
「…っ、…ん…」
『会長…?おやすみですか、??会長〜!!』
寝ている会長の顔を覗く。
可愛いらしい寝顔にドキドキしてしまう。
『会長…帰りますよ』
「…っ、後五分…」
『会長。下校時間はとっくに過ぎているんですよ!!会長!!』
耳元で話し、会長の体を揺する。
もう少し寝顔を見たいなと思っていたけど
甘やかすのは良くない。
『…会長外の桜が見頃ですから一緒に見ましょうよ。ねぇ、会長…』
頬を撫で落ちる髪を掬い、口付ける。
会長の規則正しい寝息が途切れるまで頭を撫でた。
『会長が居なくなったら…生徒会も寂しくなりますね…会長に気持ちまだ伝えれてないのに…』
好きな人が寝ているからと心の内をすらすらと口にすることが出来た。
『会長の事が…好きですよ』
艷やかな桜の花弁が、会長の頭に落ち 会長を優しく包み込む。
お別れの前に、この気持ちを言うのをどうか許してください。
「…んっ…!!ん〜!!」
身動きをする会長を見て慌てて距離を取る。
後ろめたい気持ちは、無いが罪悪感はあった。
「……ん〜?もう、皆帰ったのぉ
『会長がすやすやと寝ている間に…帰りましたよ。会長も帰りましょう。』
「う、んっ。帰ろっか〜!待たせてごめんね」
『いえ、全然待ってませんよ。 』
体を起こし伸びをする会長に、上着を着るようにコートを手渡した。
『…!会長。寝癖ついてますよ。直しましょうか?』
「ううん。元々癖っ毛だから大丈夫だよ」
寝癖に触れヘラりと笑う会長。
笑顔が可愛くて綺麗で、見惚れてしまう。
『身嗜みも会長のお仕事ですよ。触りますね…』
「…んっ、…くすぐったい」
『少しの間だけですから大人しくしてください』
髪に霧吹きで水を吹きかけ、櫛で整える。
─ドライヤーとかあったら良かったんだけど。
『一時的ですが…帰る間は、跳ねないと思います。』
「ありがとう。」
優しく微笑む会長が好きだ。 この先もずっと…
『貴方が、好きです』
「へ、っ…?」
頬にそっと口付け すぐ唇を離した。
突然の事で混乱している会長の手を掴む。
勘違いされないように、微笑んだ。
─嫌なら振り払ってください。
「…ありがとう?俺も好きだよ??」
─こう言っても伝わりませんか。
何処まで貴方は、鈍いんですか。
けどそんな鈍感な貴方を好きになったのは、
自分だ。
『恋愛対象としての好きですよ。会長 』
「…っ、…」
戸惑う会長は、困ったように笑う。
突然の告白を理解できない。
副会長としてのりうらしか見て貰えない。
『…言いたかっただけですので、帰りましょうか会長。』
ずっと隠し通す筈だった。
猫宮が来る前までは、そう思っていた。
「う、ん…ごめんね…」
何に対してのごめんなのか理解したくなかった。
『忘れてください。全部忘れてください』
副会長として築き上げた信頼も信用を失っても伝えてしまった。 喪失感と後悔。
伝えなければ良かったとさえ思ってしまう。
「りうら!またね。」
『はいっ。また明日!!』
会長を家まで送り、挨拶をする。
ドアを開け中に入る会長を見た後、 自分の家まで続く道を歩いた。
今日は、空が澄んでいて綺麗だ。
『わ、っ!!月…綺麗!!』
空を見上げると丸いお月様が、視界に映った。肌寒い夜風に震えながらスマホを取り出しカメラを起動させる。
『上手に撮れたら会長に送ろっと〜!!』
シャッターを押し、撮った写真を確認する。
優しく照らす月の光が、何処となく会長に似ていた。
何枚か写真を撮りスマホを鞄にしまう。
『あ、れ?一枚自撮りになってる…』
二枚目を撮った時に間違えて内カメラを押してしまったのだろう。
『…後ろに…なんか、写ってる、?』
黒い靄が、背後に写っていた。
何だろうと首を傾げると体が、震えた。
風が強くなったから寒いのだと思っていたけど、後ろから物音がした。
『だ、誰!!??』
猫が居るのかと後ろを振り返り背後を確認した。
『居ないか…猫ちゃん触りたかった…のに。』
はぁっと溜息を吐き、正面を向いて道を歩く。
自分のローファーの足音が聞こえる。
けれど自分の足音の他に違う足音が、聞こえた。
『…!』
背後を振り返っても誰の姿もなかった。
─気の所為かな?
『…会長…』
人通りの少ない道の為、いつもは自分以外の足音が聞こえない。
今日に限っては、 自分以外の足音が息遣いが聞こえる。
『…っ、!!』
自分が動くとその足音が止む。 走ると後ろの足音も早くなる。
─つけられてる…?
薄暗い灯りが無い曲がり角を曲がったら家に着く。
─早く、早く…帰りたい…。
『きゃ、っ、!!』
恐怖のあまりに転んでしまい、道に転がる。
頭を打ってないだけマシだと立ち上がろうとすると手首を掴まれた。
追いつかれてしまった。
《やっと、追いついた〜りうらくん会いたかった〜》
『っ、…』
振り払おうにも手首を掴む力が異様に強い。
─こんなに小柄な女性なのに。
《学校では生徒会長にベッタリで中々話しかけれなかったけど、今は私と仲良くしよう〜♡》
『……、、?』
嬉しそうに笑みを浮かべ、腰に触る。
ぞわりと背筋から冷や汗が伝う。
《細い腰だね〜♡私より細い〜》
胸を当て、腕を絡める。
気持ち悪くて吐き気が込み上げる。
『ま、ま、って、…。離し、て!!』
《大丈夫。私がするからりうらくんは、何もしなくても良いんだよ♡》
衣服を脱がし、地面に体を打ち付けられる。
『っ、!…』
助けを呼びたいのに声が出せない。
体も震えて…手も上手く動かせれない。
『ひっ、…ぅ、…』
《泣いてるの?大丈夫。怖くないよ〜よしよし 》
頭を撫で首筋に顔を近づける。
─や、やだ。
顔を横に逸らし、少しでも抵抗した。
震える手を自分の手と絡め女性は、満足そうに笑った。
「…警察に通報しますけど…?
大丈夫でしょうか??」
『…!』
背後から大好きな人な声が聞こえた。
《ち、っ…警察は、ごめんだわ。りうらくん!また今度遊ぼうね〜!!》
「未来永劫ないと思いま〜す。警察に通報しといたので、お姉さん捕まると思いますよ。」
不敵な笑みを浮かべ、手を振る会長。
「りうら。大丈夫だった?あ、のね…りうらが帰る時に、窓を開けたら…見えちゃってね…その、…怖かったよね。」
必死に説明し、話す会長。
会長の声に安心し、安堵の涙が零れた。
『…っ、ぅ…会長…』
「よしよしっ、怖かったね。ごめんね、 俺歩くの遅いから…何もされてない?」
『特に大したことは、無いですよ。 強いて言うならレイプされかけただけですから… 』
「大したことだよ!りうらは、もっと危機感持って!!」
頭を撫でる会長の手が、先程と違って嫌じゃない。
『…すみません。そういうのには、遭わないと思ったんです。』
「りうら、可愛いし魅力的なんだから気を付けないと駄目だよ。」
『…は、い。助けて下さりありがとうございます。』
震えが納まった体を動かしコンクリートから立ち上がる。
「りうら、今家にご両親は居る?」
『い、え。母も父も仕事なので、殆ど一人暮らし状態ですよ』
「…ご両親が、帰ってくるまで りうらのお家行っていい?」
上目遣いで見詰められると断りにくい。
分かってやっていないんだから太刀が悪い。
『会長のお手を煩わせるわけには、 いきませんし…大丈夫ですよ。』
「大丈夫じゃないよ!ストーカーはね、
執拗いんだから…困った時は、俺に頼って!!」
足早に歩く会長を追いかけ玄関のドアを開け家に招き入れた。
「生徒会の見回りと下校時間の見直ししないと。 」
『会長…そんな事しなくても大丈夫ですよ
りうら平気です。』
女性恐怖症にはなりそうだけど会長にそこまでしてもらう理由がない。
「…猫宮くんも、夜遅くまで出歩いてるって聞くし、気を付けないとね。」
部屋着を着ている会長は、学校で見る時より幼く見える。
学校で直した寝癖も今では、ぴょこんと跳ねている。
『…会長。夕飯は、召し上がったんですか? 』
「…まだ。食べてない…。 帰ったら食べるから大丈夫だよ。」
ソファーでこくりこくりと船を漕ぐ会長に
風邪をひかないように毛布を被せた。
緊張の糸が切れたのか安心した寝息を立てる。
『…好きですよ』
あと一週間もしたら会長は、卒業してしまう。猫宮も出席日数は、ギリギリだが卒業出来るらしい。
置いてかれる感覚が悲しい。
塩っぽい涙が目元から滲む。
『会長が、好きです。』
「…っっ…」
〚ないこ。おはよう…〛
「まろぉぉ…!!おはよう!!」
〚…泣き過ぎやろ。ティッシュ使う?〛
卒業式当日。俺は泣き腫らした目で学校の門をくぐった。
教室に向かうとそこには、次期生徒会長の姿があった。
人懐っこい笑顔を浮かべ、俺に微笑む。
『おはようございます。会長』
「おはよう。りうら」
今日だけは俺より早く登校したりうらは、
俺達の胸元にブローチを付けた。
卒業生が、身に付ける卒業する証ともいえる。
『会長が卒業すると思うと悲しいですね…
会長今までお疲れ様でした!!』
「うんっ、こちらこそありがとう」
りうらが会長なら安心して生徒会を任せられる。悔いは、残っていない。
『猫宮も、卒業おめでとう。』
〚俺先輩やねんけど… 〛
『知るか。先輩らしい立ち振る舞いされた事ないし…』
りうらとこうやって話すのも“今日で最後“。
卒業という晴れ舞台に胸が高鳴る。
─まろも、何処と無く嬉しそう。
『会長。卒業式後に少し話せませんか?
伝えたいことがあるんです。』
真剣な眼差しでりうらが、真っ直ぐに俺を見る。
「ん。分かった。卒業後が楽しみ〜」
嘘偽りのない感情に笑みを浮かべる。
この後何が起こっても俺は、泣かない。
胸を張って卒業式という舞台に立った。
『卒業生の皆様ご卒業おめでとうございます。これから先の進路も各々大変ですが
頑張ってください。会長!生徒会を引っ張って下さりありがとうございました!!』
在校生代表の挨拶をするのは次期会長のりうら。隣には、副会長のいむが泣いていた。
後輩の晴れ舞台を見れて俺は、幸せ者だ。
卒業式後、ないこに声をかけた。
〚なぁっ、ないこ。この後暇?暇やったら話したい事あるんやけど。〛
「…この後は、りうらに呼ばれてるから、
それが終わってからでいい?」
やんわりと断られ、慌ただしく 生徒会室に向かった。
その背中を見送った後、俺は学校のベンチに腰かけた。
空を見上げるとはらりはらりと桜が散っていた。
〚早咲きの桜は、もう散り時か…〛
「それで、?りうら…お話ってなぁにぃ?」
『告白聞いてくれますか?』
震える手を握りしめりうらは、呼吸をもらし
言葉を紡ぐ。
目元に涙が伝っているのは、何故だろう。
『…りうらは、“桜“です。 春が終わると居なくなります。最後に会長に会えて幸せでした。会長好きですよ。』
「っ、!」
告白を終えるとりうらの姿が徐々に薄れていた。
いや、元から薄く透けていたんだ。
桜の花弁が、りうらの頬に掛かる。
─俺、お別れも言えないまま…後輩を失うの。
ましてや、次期会長のりうらを 俺は目の前で失いそうになる。
「りうら、!待って!!俺まだ、りうらにお返事出来てないよ!!りう_」
『忘れてください。』
唇が触れ、りうらが持っていたダフォディルの花束が床に落ちた。
目の前いっぱいに桜の花弁が舞い目を閉じる。
「…」
次に目を開けた時には、りうらの姿は無かった。消える時に呟いたりうらの声を忘れられない。
「……報われぬ恋…って最初から… 諦めないで…よ。」
ダフォディルの花言葉は、『報われぬ恋』
普通に調べても出てこない花言葉。
りうらは、最初から分かっていたんだ。
『自分の恋が実らないことを』
「…気付いてあげられなくて…ごめんね。」
桜の花弁を拾いそっと握る。
この桜を忘れることは無いだろう。
「まろ、お待たせ。」
〚ないこ、?大丈夫か?目元赤いよ〛
変化に気付き目元をハンカチで拭う。
優しい行為に嬉しくてただただ涙が零れる。
「まろ、りうらが!りうらが、ね…」
〚ん。大丈夫…“りうら“は、ずっとないこのこと見とるよ。〛
「っ、…」
全てを見透かす貴方に驚くことしか出来ない。
〚最近気付いたんやけどな…俺…俺…〛
緊張しているのか何度か、口をもごつかせ黙り込む。
決意を持った瞳で俺を映す。
〚ないこのことが好き。傷心中に、漬け込むようで、悪いけど…ないこのことが好き。〛
「……っ、ありがとう。」
真っ直ぐ俺を照らす太陽みたいな人。
昔、りうらが俺を太陽みたいな人だと言っていた。
俺から見るまろも…りうらと同じなのかな。
「俺も……好き。まろが好きだよ」
りうらに答えを出していないのに俺は、目の前に居るまろに返事をした。
俺は、もうりうらの気持ちに答えれない。
思わせ振りな態度を散々とってしまったから。
「猫宮くんが大好き…好き…好_」
〚あ〜はいはい。分かった…分かったから
一旦黙ろうな。〛
唇に触れ、初めて猫宮くんの体温を感じた。
〚不意打ちで驚いたやろ??〛
「……見られてたらどうするの!!猫宮くんの馬鹿!!」
〚馬鹿ちゃうわ!!〛
言い合うとまた涙が零れる。
─良いのかな…俺だけが幸せになって…
〚りうらの分も幸せになればええやろ。
この馬鹿。〛
もう一度唇が触れ、涙を零す。
「りうら、俺これから頑張るからずっと見ててね…」
桜の花弁がはらりと散り桜の芳しい香りが鼻腔を擽る。
俺はこの先もずっと…
この暖かく寂しい季節を忘れないだろう。
俺がそう意気込むと…桜の花弁が視界に映った。
『会長…猫宮と幸せになってくださいね』
ドライフラワーの花言葉は、「永遠」
『ずっと大好きですよ』
遠くからりうらの声が聞こえた気がした
𝑒𝑛𝑑
汐音。さんお誕生日おめでとうございます。
会長経験のある汐音。さんに向けてこの物語を書きました。
自分は、生徒会に入ったことが無いので
殆ど…想像だったり調べたことを纏めています。
汐音。さんに出会えて幸せです。
師匠として導いて真っ直ぐに言葉を紡ぐ
汐音。さんが大好きです。
物語の世界観も関係も自分には思い付かない物ばかりで物語を見るのが楽しいです。
言葉選びや物語の進み方が丁度良くて
読み終えると涙が止まりません。
すっと心に残る物語で汐音。さんの人としての真っ直ぐさが心地好くて…安心します。
一回目読んだ時は、新鮮な気持ちで読めて
楽しくて二回目、三回目読み直しても満足して切ない終わり方に涙が止まりません。
優しくて話し方も丁寧な汐音。さん。
そんな汐音。さんのことを尊敬しています。
これから先も汐音。さんの活動を応援しています。
汐音。さんの幸せを願っています。
拙い物語でしたが、読んで下さりありがとうございます。
関係性・物語の進め方が変でした が個人的には、気に入っています。
改めまして汐音。さんお誕生日おめでとうございます。
汐音。さんの一年が素敵な一年になりますように。
三人が初めて撮った写真
それじゃあ、また会おうね。
コメント
4件
コメント遅くなりましたっ! お祝いと素敵なお言葉とお話をありがとうございます! とても綺麗なお話でした…私好みの…!奏雨さんの花言葉系のお話はとても考えられていていつも心動かされます…!それに加え私のことも混ぜて(?)いただいて…とても嬉しい特別なお話となりました!