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そんな出会いから暫く経った。
朝も勝手に迎えに行くものの、毎度行かないと断られていた。 なかなかに手強い。
けれど新学年に進級した今年、同じクラスになれた。
初日はさすがに行けとお兄さんに殴られたらしく、 クラスの氏名が書かれた張り紙の前で顔を見合わせた時。
微妙な顔のモトキだったけど、俺は嬉しくて堪らなかった。
そしてとうとう、ある時を境に彼の態度が変わった。
「わかいって、結構強いんだな!」
以前彼と出会った森での討伐行事で、同じパーティーになったのがきっかけ。
確かに今まで一緒に組んだこともなく、お互いが協力して闘ったのは初めてだったのだ。
今までなんだったのかと思うほど仲良くなれた。
「なぁなぁ、わかいー」
信頼した相手には急激に距離が近くなる彼を知り、またあまりの近さに心配になるほどだった。
大人っぽい一面も有りながら、 無邪気な笑顔を見せたり悪戯好きな子供のようにはしゃぐ。
案外スキンシップが大好きで、抱きついたり腕を組んだりもしてくる。
最初はあまりの違いに驚いて面食らっていたけれど、認められたいと思う相手の眼中に入れた喜びが大きくて嬉しかった。
そんなある日、突然。
モトキがパーティーのメンバーに入れたとする奴を連れて来た。
俺はそもそも、凄いと感じたからこそモトキと一緒に組みたいと思ったのだ。
いきなり知らない、しかもなんだかヒョロッと背の高い、派手な髪色の奴を連れて来ても納得がいかない。
だけど飲み込んだ。
モトキが決めたことだから、それだけだった。
「初めまして、学園では一応先輩なんだ。よろしくね~」
「…どうも、わかいです」
打ち解けられるのだろうか。解らない。
よろしくが言えなくて、どうもと答える。
「わかい、目、目がなんか怖いからっ。リョウちゃん、先輩だけど優しいし僕の理想のメンバー像だったんだ」
ふーん…
俺なんて誘っても誘っても一緒に登校してもらえなくて、最初の頃は名前すら呼んでもらえなかったんですけど。
つい目つきが鋭くなるのも仕方ないというものだ。
「じゃあ…俺もリョウちゃんでいい?」
「う、うん。僕はわかいって呼ぶね」
とりあえずモトキの顔を立てて、そう言った。
先輩にしては弱腰というかホワホワしてるというか…
頼むわかい、仲良くしよ?ね?と顔に書いてあるモトキが、眉尻を下げてお願いポーズをしてるものだから。
渋々と握手を交わした。