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寒い冬の日に、私は幽霊になった。死んだ、という実感は湧かなかった。だって私は生きているのか死んでいるのか良く分からない奴だったから。高校生の時、ひきこもりになった。
いじめられていた、というわけではない。
友達はいなかった。
物心ついたときから私は暗い奴だった。
空気みたいなやつだった。
だから幽霊になっても私は悲しくはなかった。両親は悲しむだろうか?
冷たくなった自分の死体を端から眺めてそんなことを客観的に考えた。
火葬を終え、いよいよ肉体を失った私は街を彷徨った。泣きじゃくる母を見るに偲びなかったからだ。ごめんねお母さん。最後まで親不孝な娘でごめんなさい。
人は死んだらどこに行くのだろうか?天国や地獄はあるのだろうか?私のような幽霊は他にいるのだろうか?街を彷徨いながらそんなことをぼんやり考えていた。
幽霊になって数日が経ち、私はとても寂しい気持ちになった。通行人は私をすり抜けていった。たまらなく孤独だった。
夕焼けに染まる公園のベンチで、私は膝を抱えすすり泣いた。
「おねえさん、なんで泣いてるの?」
ふと、小学四年生くらいの男の子が私の顔を覗き込んだ。私は目を見開いた。
「……私が見えるの?」
小学生くらいの男の子はうん!!と屈託のない顔で言った。
「僕陽太(ハルタ)って言うんだ!!お姉さんは?」
「……私は雪(ユキ)。」
涙を拭いながら私はそう答えた。
「雪かぁ、綺麗な名前!!見てて、雪!!」
そう言って陽太はランドセルからヨーヨーを取り出した。
「ストリングスパイダーベイビー!!!」
そう言って陽太はヨーヨー自在に操った。
……私はきょとんとした。
「すごいでしょ!?クラスでも僕しか出来ないんだよ!?」
そう言って陽太は胸を張った。
「….ふふっ。」
その様子がなんだかおかしくて、とても可愛くて。私は思わず吹き出してしまった。
「あ、笑った!!雪は笑った方が可愛いよ!!…..あ、そろそろ帰らなきゃママ… お母さんに怒られる!!じゃあね、雪!!!」
そう言って陽太は手を振って去っていった。
「……うん、ありがとね。」
そう言って私は小さく手を振った。
それが後の私の夫である陽太との出会いだった。
(最後まで読んでくださりありがとうございます。)