まだ外は明るいというのに真っ暗な廊下。他の者とは離れている部屋から誰かがすすり泣く声が聞こえる。
「ぐすん…うぅ…」
「僕も皆と遊びたいよ…」
子供の輪に入れず孤立してしまったのだろう。誰とも関われず城に閉じこもりっぱなしで、外に出ようとはしない。
真っ暗な廊下にひとつの灯りが声が聞こえる部屋に近づく。ランプを地面に置き、扉を叩く。
「…だあれ?」
蓮華「…蓮華。」
「蓮華おねえさん…?」
蓮華「ねえ、蒼月。今日はいい天気なの。ルディも居るから、一緒に外に行きましょう。」
蒼月「…い、いい…僕は、僕は部屋に居る…!」
蓮華「ずっと城に閉じこもりっぱなしはいけないでしょう。少しは体を動か…」
蒼月「いいの!!」
内側の方から扉に何かを投付ける音がする。蓮華が優しく話しかけても、僕はいいと言って輪の中に入るチャンスを自ら逃す。
蓮華「…そう…。気分が変わったらいらっしゃい。」
地面に置いたランプを持ち、蒼月の部屋から段々離れていく。
蒼月「…はァ…ハァ、ハァ…」
蒼月「ッ…あァ…あ”ぁ”ぁ”ぁ”!!」
頭を抱えて地面に屈する。くらい廊下には蒼月の泣く声しか聞こえない。
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ルディ「…んでよー」
零「あ、蓮華。」
ルディ「お!蓮華!……あ〜…その落ち込み具合じゃ、また無理だったぽいな。」
蓮華「どうしたら蒼月は遊ぶ気になるでしょうか…心配で内蔵が口からとび出そうです」
零「グロ。」
零「と言うか、本人がいいって言ってるんだから無理に遊ばせるのは悪いんじゃないの?」
蓮華「あの子は本音を言えない子なのです。きっと無理にでも連れ出さないと…けれどそんなことして嫌われたら私…」
ルディ「相変わらず過干渉し過ぎているな…」
蓮華「そういえばルディにも弟さん居ましたよね。」
零「まさかルディの弟と蓮華んとこの子を合わせる気なの…?」
蓮華「やる価値はあるでしょう」
ルディ「やめとけやめとけ????」
蓮華「弟さんに会わせなさい」
ルディ「蓮華の命持たないって…」
蓮華「いざとなれば首を落とします」
ルディ「あれでも大事な弟だから殺さないで欲しいな!?」
ガチャ
ルディ「え、エイルー…起きてるか?」
エイル「なに」
エイル「遊んでたんだけど」
片手にはナイフを持ち、もう片方にはナイフでズタボロになるまで刺された人形。部屋には人形の綿が散らかっており、机には割ったであろう食器の破片が散らばっている。
零「…やばくねこいつ」
ルディ「それは俺がいちばん知ってる」
蓮華「初めましてですね。エイルくん。」
エイル「…だれだよ」
蓮華「預乃蓮華と申します。ルディさんとは仲良くさせてもらっています」
エイル「あっそ。なんの用。」
蓮華「私には蒼月という兄弟が居るのですよ。」
エイル「だから」
蓮華「蒼月に会ってください」
エイル「は。」
蓮華「会ってください。」
エイル「は?」
蓮華「明日にでも」
エイル「は??」
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コツ、コツ…とゆっくり暗い廊下をランプの灯りで照らして1人で歩く。
エイル「…気味が悪ぃ廊下だな。」
部屋に着くまで1人でブツブツと何かをつぶやく。窓の方を見てみるがカーテンで光を遮られていて、電球もたまに電気がつくだけですぐ切れる。
エイル「……着いた。」
ドアノブに手を伸ばし、扉をゆっくり開ける。ソウゲツ?は見当たらねえな。何処だ?
手探りで壁に手を当て電気を付けるスイッチを探す。
カチ、と言う音と共に部屋が明るくなる。
エイル「…んだアレ?」
ベッドの上で掛け布団がモゾモゾ動いてるし膨らんでる。あぁ…なるほどな?
俺はベッドに近づき布団を無理やりはぎ取った。
蒼月「びゃう!!」
エイル「間抜けな声だな」
蒼月「だだだ誰ですか!!?警察呼びますよ!?」
エイル「呼べよ。権力でかき消すし」
蒼月「卑怯です!!!」
エイル「てかお前俺が来たから隠れたろ」
蒼月「…ぁ…え、と」
エイル「サイテイ」
蒼月「ごっごめんなさい!」
エイル「…」
こいつ騙されやすそうだな。ひ弱そうだし…姉とは大違いな奴。びくびくしててなにかにずっと脅えてるし、気に食わねえ。姉の方はこんな奴と俺を友達にしようって考えてんのかよ。相性が合わねえっつーの。
蒼月「…そ、それで…僕になんの用ですか」
エイル「”ボク”?」
エイル「お前男なの?」
蒼月「……」
蒼月「…きみは最初僕を見て女の子だと思ったのなら、女の子って思ってていいよ。」
エイル「意味わかんねえんだけど…女ってことでいいんだよな?」
蒼月「うん」
蒼月「……それで、なんで来たの…?」
エイル「お前の姉貴に頼まれたんだよ。お前と会ってくれって」
蒼月「蓮華おねえさんが…?」
蒼月「何故あの人はあんなに僕に構うのでしょうか。」
エイル「大切だからだろ。」
蒼月「僕には分かりません…あの人達の言う大切が」
下に俯いたまま、何かをブツブツとつぶやく。体を揺らしても頬をつついても正気に戻らん。なんなんだコイツは……
蒼月「そういえばお名前聞いてませんでしたね」
エイル「急に正常にもどんなよ…」
蒼月「時間の無駄と気づきました」
蒼月「僕預乃蒼月です。」
エイル「…四季雛エイル」
蒼月「エイルさんですね!四季雛家の者ですか。君の名前聞いたことがありませんけどね」
エイル「出来損ないの俺なんか出したら四季雛家の名が汚れるって思って公開してねぇんだろ。」
蒼月「え…そ、そんな……可愛そうです……」
エイル「俺に同情?…お前もおかしな奴だな」
蒼月「あは…やっぱりそうですよね。僕おかしな奴です。」
蒼月「…おかしな奴だから僕みんなと馴染めないんです」
蒼月「みんなから変って言われました。前まではみんなそんな事言いませんでした、僕と仲良くしてくれました…」
蒼月「う…うっうう…」
エイル「勝手に話してダメージ食らって泣くのやめろよ…泣くやつうるせえしシクシク泣きするやつは嫌いなんだよ」
蒼月「悲しいんですもん……」
エイル「泣くのはいいけど大声で泣けよ。」
蒼月「えっ…う、うわーん?」
エイル「その泣き方もきらい」
蒼月「お、大声ってどんな風ですか…?」
エイル「赤ん坊みたいな泣き方」
蒼月「……おぎゃあ?」
エイル「きも」
蒼月「ええ……!!?」
“き、きもいは失礼じゃないですかー!?”
“キモイやつにキモイ言って何が悪いんだよ”
零「仲良さそうじゃん」
蓮華「蒼月にもお友達が出来そうで、私嬉しくて涙が出てしまいそうです。」
ルディ「でも盗み聞きは良くないよな?」
蓮華「貴方も自分の弟が成長する場面見たいし聞きたいでしょう。」
ルディ「うん」
蓮華「盗み聞きは時には大事なのです」
零「蓮華喋らなかったらモテそう」
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みこー「本当真面目な小説書いたの5話目で初めてですよ」
フェレ「適当だけどな」
みこー「終盤適当になりましたねすんませーん」
フェレ「てかこんな2700文字くらいの小説に3日くらいかけて更新できてなかったって言わないよな」
みこー「いいます」
フェレ「バカ」
みこー「へえへえ今日出てきた人たちの自己紹介しましょーーねーー!!」
主要
預乃 蒼月(あずの そうげつ)性別不明 年齢不明(見た目年齢19歳) 種族不明
預乃家に養子として迎え入れられた子。性別も年齢も種族も本人曰くわからないらしく、色々不明。一人称は僕だけど、女の子みたいな見た目してるから一応妹みたいな扱い。6歳の時にエイルに出会ってたからそれ以降仲良くなって親友。現在はエイルと家出中
四季雛 エイル(しきひな)♂ 年齢19歳 種族魔族
四季雛家の末っ子。兄であるルディに劣っており、気性が荒い。小さい頃から虫の解体などそこら辺にいた虫捕まえて刺して遊んでいた。蒼月と一緒に家出してる時にいざこざに巻き込まれ人を殺害。暇さえあれば人殺してる。ひまー、人殺そう!っていう思考。
預乃 蓮華(あずの れんげ)︎︎ ♀ 年齢23歳 種族人間
蒼月の姉。大人しくて美しい人なのだが、蒼月に過干渉しすぎている。ルディには勝てるくらいの強さはある。蒼月が家出してから元気が無くなったがルディに支えられてなんとか復帰。いつの間にかルディと付き合って結婚直前らしい。現在は行方不明
四季雛 ルディ(しきひな)♂ 年齢23歳 種族魔族
エイルの兄。元気いっぱいでいい子だけど声がデカすぎてまじうるさい。弟のルディに怯えてる。小さい頃から蓮華のこと好きだったらしい。今は事故に巻き込まれ死にかけの状態で城の門に倒れていたところを発見され、治療中。
みこー「ルディさんと蓮華さんは零さんの幼なじみらしいですお」
フェレ「蒼月性別なんだよ」
みこー「しらないですお」
… 𝗍𝗁𝖾 𝖾𝗇𝖽
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ここの登場人物の設定すこ