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めーし
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瑞希 流星♟也中
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静まり返った部屋の中で、天井を照らす間接照明のオレンジ色の光が、畳の上に溶け合う二つの影を柔らかく浮かび上がらせていた。
王耀の腕の中で、天乃時雨は完全に意識を手放している。先ほどまでの恥じらいも、お酒の勢いに任せた大胆な告白も、すべては夜の帳(とばり)の向こう側へと消え去り、聞こえるのはスースーという穏やかな寝息だけだった。その呼吸に合わせるように、彼女の胸元や小さな肩が微かに上下している。
(……本当に、まったく手のかかる恋人アルな)
王耀は心中で苦笑を漏らしながらも、その腕を解こうとはしなかった。
むしろ、これほどまでに無防備に、全身の全体重を自分に預けてくれる温もりを、少しでも長く感じていたいと思ってしまう。長い数千年の歴史のなかで、彼が手に入れたもの、そして失ってきたものは数知れない。数え切れないほどの英傑が興亡を繰り返し、時代の波に飲まれて消えていくのを見送ってきた。永遠に近い時間を生きる者にとって、人の命や感情の移り変わりは、あまりにも儚く、そして切ないものだ。
だからこそ、今こうして目の前で、自分の胸に顔を埋めて眠るこの小さな存在が、愛おしくて仕方がなかった。
時雨の体温が、じんわりと王耀の服の上から伝わってくる。それは冷え切った夜の空気を忘れさせるほどに温かく、「今、自分は確かにこの世界に生きている」という生の実感を彼にもたらしてくれる。
王耀は、もう片方の手で時雨の背中をリズミカルに、まるで子供をあやすかのようにゆっくりと撫で続けた。
サラサラとした銀髪が指先に心地よく触れ、微かに香る甘いお酒の匂いと、彼女特有の柔らかなシャンプーの香りが混ざり合って鼻腔をくすぐる。その香りを胸いっぱいに吸い込みながら、彼はふと、今日のこれまでのやり取りを思い出していた。
普段の時雨は、仕事や日常のささいなことでもすぐにオドオドして、王耀の後ろに隠れるようにして生きている。何か話しかければ「ひゃっ」と小さな小動物のように肩を震わせ、顔を真っ赤にして俯いてしまう。そんな彼女の控えめで奥ゆかしい性格を、王耀はいつも可愛いと思いながらも、もう少し自分を頼ってほしいと歯痒く感じてもいたのだ。
だが、今夜はどうだ。
お酒の力を借りたとはいえ、彼女は自らの意思で王耀の胸元を掴み、あの不器用で、けれど胸を締め付けられるほどに真っ直ぐなキスをくれた。普段隠されていた本音――「お兄ちゃんじゃなくて、恋人として見てほしい」という切実な願いが、あの震える声と潤んだ青い瞳にはっきりと宿っていた。
(お兄ちゃん、ね……)
王耀は自分のなかの変化に気づく。
いつの間にか彼は、時雨にとっての「庇護者」や「家族」の枠組みを超えて、一人の男性として彼女に求められたいと願うようになっていた。長年染みついた「お兄ちゃん」という呼び名さえ、今夜ばかりは少しだけくすぐったく、そして愛おしく響く。
「……これからは、少し大変になりそうアルな」
低い呟きが、静かな部屋に溶けた。
明日になれば、時雨はきっと昨晩の自分の行動を思い出して、布団の中で頭を抱え、「あわわ……」と赤面しながらパニックを起こすに違いない。恥ずかしさのあまり、しばらく王耀の目すら合わせられなくなるかもしれない。その姿を想像するだけで、自然と彼の口元に優しい笑みが浮かんでしまう。
だが、それでいい。その恥じらう姿さえも、彼女が自分に向けてくれた確かな感情の証なのだから。
窓の外では、夜風が庭の木々を揺らし、カサカサと乾いた葉擦れの音を立てていた。季節はゆっくりと巡り、世界は変わり続けていく。それでも、この狭い部屋の、この温かい腕の中だけは、今この瞬間、永遠の静寂と幸福に満たされていた。
王耀は、すっかり寝入って身じろぎもしない時雨の額に、もう一度優しく自分の唇を重ねた。
そして、これ以上彼女の眠りを妨げないよう、そっと姿勢を整え、自分もまた、愛しい重みを抱いたままゆっくりと目を閉じる。二人の長い夜は、穏やかな寝息に包まれながら、静かに、そして幸福な余韻を残して更けていった。
コメント
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あ~もう、第3話めっちゃエモかった!!😭💕 王耀の優しさと想いがじんわり伝わってきて、胸がぎゅってなったよ… 時雨が無防備に寝てる姿も、それを見つめる王耀の“お兄ちゃんじゃなくて恋人として”っていう心境の変化も、全部尊すぎて崩れ落ちた…🥺✨ お酒の勢いで告白した時雨が明日どんな反応するか想像しただけで、にやけが止まらないんだけど!? 早く続きが読みたい~!!🌸