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21
ライアーミル
※ 『』は東雲くんのセリフです ※
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俺は今御門くんの家の前にいる
今日は俺が担当することになった御門くんのガイディングの日。
危篤状態だった御門くんを回復させることができてから、俺は自分がSランクであることを実感した。
まあ担当に就いたからには頑張ろう、と心の中で意気込みインターホンを鳴らす。
バタバタと少し慌ただしい音が聞こえ、勢いよくドアが開くと1週間前の酷い顔色ではなく、元気そうな御門くんが立っていた。
「来てくれてありがとう。さ、中入って!」
『どうも。お邪魔します』
リビングには誠一さん (御門くんのお父さん) がこちらを見ていたので軽く会釈をすると誠一さんも「来てくれてありがとう」と微笑みながら手を振った。
微笑みに破壊力がありすぎて、こんなの真正面から浴びた女性は倒れてしまうんじゃないか?
改めて見ると御門くんも美形だよな。
イケメンっていう表現が合わない美しさというか…さすが親子
「…えっと、まずは自己紹介…。何を言えばいいんだろ。えと、御門周です。高校2年生だよ。まあ、体調悪くてあんまり学校行けてないんだけど」
『…そうだったんですか。…じゃあ俺も自己紹介。東雲八尋です。高校2年生、今日から御門くんの担当になったガイドです。よろしくお願いします』
御門くんの部屋に着いて対面に座る。何故かどちらも正座で。
「ねぇ、僕のこと御門くんじゃなくて周って呼んでよ。僕も八尋って呼んでいい?あとタメ口でいいから!」
いきなり呼び捨てか…まあ別に気にしないけど、出会ってすぐの人を名前呼び+呼び捨てはハードル高くない…?
『…え、えーっと周、でいい?』
そう言うと御門くん…じゃなくて、周はパァッと目を輝かせてはにかむ笑顔を見せた。うわ、眩し…
『じゃあガイディング始めるけど、前回のガイディング以降、何か体調が悪化したことはあった?』
「ううん、悪化はないよ。八尋がガイディングしてくれたお陰でここまで回復できたし、ほんとにありがと」
前回と比べて今は動けているし、喋れているから良くなっているのは分かるけど、まだまだ調子が全快になってはいないことが偶に顔に出ている。
うーん、どういうふうにガイディングしようか。前は勝手に手とか頭に触れてたけど、そういう触れ合いが苦手な人もいるしなぁ…
『周って人に触れられるのって苦手な方だったりする?』
これで苦手だったらもう会話ぐらいしかないんだけど、周はSランクだから十分に効くか分からないんだよな。
「まあ、知らない人から触られるのは無理だけど…八尋なら全然平気!」
『ん、じゃあまずは手から』
手を差し出すと周はキョトンした顔をした後、恐る恐る手を握ってきた。
その様子が面白くて少し吹き出したら俺を咎めるようにじとっと睨まれた。
だって警戒する感じが猫みたいで面白かったんだよ!
『んー、どう?効果ある?なんか要望あったら聞くけど』
5分くらい手を握ったり撫でたりしながら話してたけどちゃんと効いてるのかガイド側は分からないから、ガイディングの時は毎回こうやって尋ねながら様子を見る。
「え、!?…じ、じゃあ…その、頭…撫でてくれない…?前みたいに」
『おっけー、まかせて』
やっぱ効き目弱かったんだなぁと思いながら撫でやすいように膝立ちになって頭を撫でる。
うわ、髪サラサラだし色素薄いな。あんまり学校行ってないって言ってたけどこんな美形で色素薄め儚げ男子、世の中の女性がほっとくわけなくね?
羨ましい。やっぱ夢だろ、モテまくるの。俺は平々凡々だから叶いそうにないけど。
無心で撫でているとリラックスしているのか頭をこちらに預けてきた。
これは効き目いいのか、覚えておこう。
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ー周side
あぁ…やっぱり頭撫でられるの好きだなぁ
噛み合ってなかった歯車がカチッとはまったような感覚で自分の調子が良くなっていくのを感じる。
初めてガイディングしてもらった日の翌日に僕は目を覚ました。
あの時のことは夢なんじゃないかと思ったけど、自分が動いたり話すことができていることが夢じゃない証拠だった。
父さんにあのガイドの子が僕の担当に就いてくれることになったと聞いた時は飛び上がるほど嬉しかったな。
また会えるんだ僕の神様に…!って
動けるようになったとはいえまだまだ本調子じゃなかったから次のガイディングの日が終わってから学校に行こうと父さんと話して、ゆっくり準備を進める。
東雲くんという名前だと父さんから聞いた。あの子とは学校違うもんなぁ…一緒だったらいいのに。
ガイディングの日、あの子が来るまでずっとソワソワしてた姿を父さんに見られ軽く笑われた。
緊張するに決まってるじゃん、だってやっと会えるんだよ!?
インターホンが鳴って僕は玄関まで急いで行ってドアを開ける。
少し驚いたような顔をした東雲くんがいた。
あぁ可愛い!前は分からなかったけど、僕よりも身長小さい…!
でも、敬語で堅苦しいのはやだな。僕はもっと仲良くなりたいし、それにゆくゆくは…………うん。まあそれは今は置いておこう。
ガイディング中、手を握られたり撫でられたりして少しくすぐったい。八尋が話してくれているけど、意識が手に集中して会話成り立ってるか分からない。そしたら、今度はなにか要望はないか…って
え!?いいの!?頭撫でて欲しいってお願いしたらやってくれるし…やばいな、そんな簡単にお願い叶えちゃダメだよ八尋。
でも嬉しい、八尋の撫で方すごく好きなんだよな。
でも近いなぁ…正面じゃなくて横側だから我慢できるけどそれでも抱きしめたい衝動が抑えられない。でも会ったばかりの人とそういうことはだめだって分かってるからちゃんと抑える。
せめて、頭だけ触れさせて欲しい…
そんな欲望を持ちながら八尋の方に頭を傾けても八尋は何も言わないから、僕今後どのくらい我慢し続けなきゃいけないんだろと、内心に思いを馳せた。
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八尋side
ガイディングも終盤
頭を撫でるのをやめて少しだけ雑談をする。
『もう学校行けるんだよな?』
「うん、今日のガイディングが終わったら行こうって父さんと話したんだ」
『へぇ、良かったじゃん』
「でも、勉強遅れてるからその辺は頑張らないとだなぁ」
『周はどこの高校行ってんの?』
「神楽坂学園だよ。八尋はどこなの?」
『え、神楽坂学園ってあのお金持ち学校!?しかも偏差値超高い。
…俺は西高校だよ。普通に公立』
あの神楽坂学園は色んな企業の社長の子供とか財閥の子供とか色々な人たちがいて、親も生徒たちの関わりで他の親と繋がろうとする人が多いから結果的に金持ちが揃ってしまうんだと。
家に来た時から思ってたけど、やっぱり周の家って金持ちなんだな。
しかも、倍率高すぎて毎回受験の度に話題になるから無関係な自分でも情報は知ってる。
「あ、そうだ。LINE交換しない?」
『いいよ。ちょっとまってて』
カバンが離れたところにあったのでカバンごと持って周の近くに座る。
LINEを交換したらすぐよろしくスタンプがきた。
『ふはっ…なにこのスタンプ、初めて見たんだけどっ…!』
独特なおじさん猫のスタンプを見て俺は吹き出してしまった。
「え、いいでしょ?これ。僕猫好きだからさ」
『猫好きって言っても…っなんで、これっ…なんだよ…っ!』
見れば見るほどそのスタンプにツボってしまう。息が思うように吸えず少し咳き込みながらも笑いが止まんなくて涙が出てくる。
美形で儚げかと思ってたけど案外こういう部分もあるんだなと笑いながら感じた。
意外といい友達になれそうだな。
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帰りのホームルームが終わって帰る準備をする。
あのガイディングの日から2週間くらい経った。ガイディングの日は週に4回に決まったが、結構緩いから曖昧でほぼ毎日周とは会っている。
まあ、俺がSSCに毎日行ってることを知って、周も来るようになったんだよな。
センチネルがSSCに入り浸ることはないんだけど、所長が周のお願いを断りきれなくてこうなった。
所長って男だけど面食いだから、仕方ないか。
荷物を纏め終えるとブブッとマナモードにしていたスマホが震えた。
誰からだろと思いながら確認すると周からだった。
周 :〖 来ちゃった!待ってるね^^ 〗
……ん?来ちゃった?…なんのこと?
靴箱でローファーを取って履いていると、周りがざわざわと騒がしい。
外に出てみたら校門近くにたくさんの女子が集まっていた。
なんだなんだ?なにかの撮影があるのか?と思って見ていたら隙間から見たことある姿が見えた。
『え、周…!?』
な、なんでいるんだ?…まって、あのLINEもしかして、そういうこと…!?
しかもなんかいつもと雰囲気違くね?
めっちゃ無視してるじゃん
女子に囲まれている周は片方の足に重心を乗せ、気だるげにスマホをいじっていた。周りの女子がなんて言っているのかは聞こえないが、話しかけているのに当の本人はフル無視。時には面倒くさそうに顔を顰めるから俺はそのギャップに驚いた。
不意に周が顔を上げて俺を捉えると無表情だった顔が一気に花が咲いたような笑顔になりこちらに近づいてくる。
「八尋!びっくりした?早く会いたくて来ちゃった」
『お、驚くに決まってんだろ。…ていうか、お前態度違いすぎない?』
「ん?そう?」
自覚ないのかよ。
はぁ…と溜息を吐き出して歩き出すと周は嬉しそうににこにこしながら着いてくる。
周りはさっき以上にざわざわしてこちらを見ている。女子たちの視線が痛い。
明日こいつのことについて色々と聞かれるのだろうか。あーぐっばい。俺の平凡で平和な生活。
お前のせいなんだからな、と少し周を睨むとキョトンとして俺に微笑むから怒る気が失せた。
あーあ…まあいっか
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