コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「いつか殺してやる」
山奥の集落で、滅多に人が立ち寄らないが村人同士の絆は強い集落がある。
そして、その集落には他とは違う習慣がある。
代々この村は、咲様、塁様と呼ばれる神に、人柱を捧げなければならない。
咲様と塁様は、集落全体をずっと見張っていて咲様、塁様が気に入った子が人柱になる。本人が望んでいなくても、この集落の繁栄の為犠牲にならなくてはいけない。
波瑠「姉さん!兄さん!」
桜「波瑠、走ってはダメよ」
桜姉さんは咲様に捧げられる人柱。
小さい頃から、桜姉さんの近くのには咲様が居る。
陸「そうだよ、波瑠くん、怪我したら危ないよ」
陸兄さんは、塁様に捧げられる人柱。
小さい頃から、陸兄さんの近くには塁様が居る。
波瑠「はーい」
2人に怒られて、少し不貞腐れる俺。
桜「波瑠はまだまだ子供ね、これあげる」
桜姉さんの手には、キラキラ輝く金平糖があった。
この集落は、あまり外との交流がない。
だから、こういうお菓子は貴重だ。
桜「波瑠、、貴方は大人になったらこの集落を出てね。」
波瑠「うん!桜姉さんと陸兄さんも一緒にね!」
陸「そうだな、」
少し寂しそうに言った陸兄さんは優しく大きな手で撫でてくれた。
俺には、家族と呼べる人間がこの2人しかいない。でも、2人がいてくれるだけで幸せだった。
この時はずっと、この幸せな日々が続くと思ってた。
ゴウゴウと燃え上がる炎。
そして、俺を助ける為犠牲になった兄と姉の姿。
そして、家の前でただ立ち尽くす集落の人。
桜「波瑠、、生きて、、」
陸「生きろ、、波瑠」
泣きながら俺の足元で訴える2人。
波瑠「ね、えちゃ、にい、ちゃ、泣」
脳が理解を拒む。
俺はなんで無力なんだろう、大事な人が目の前で死にかけているのに、何もすることが出来ない。
「ああ、死んだか」
「人柱、どうなるのかしら」
「うちの子にならなければ誰でもいいわ」
「もう、時期は近いというのにな」
「不吉だ」
⁇「あーあ、死んじゃった」
⁇「人間は弱いねえ」
さっきまでうるさく喋っていた村人達が一斉に地面に頭を垂れて這いつくばる。
村長「塁様、咲様」
塁「陸はもらって行くよ」
咲「桜も」
波瑠「触るな、」
俺は小さい声で言う事しかできなかった。
それが精一杯の反抗だった。
塁「君は、ねえ咲」
咲「うん、僕も同じ事思ってた」
塁、咲「この子面白い」
終わり