【最後の戦い】
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Prologue 追跡者の影
荒廃した刑務所の中庭には、冷たい夜風が吹き抜けていた。
血の匂いが微かに漂い、月光が瓦礫の隙間を淡く照らしている。
その場に佇むのは、一人の男。
リアム看守だ。
「まさか、、、ここまで追い詰められるとはな、、ッ」
胸に響く痛みを抑えながら、瓦礫に寄りかかる。
脱獄囚たちの騒ぎの中で彼が受けた攻撃は、致命傷には至らなかったが、それでも深刻だった。
銃弾が掠めた肩口は、包帯が間に合わず、まだ血が滲んでいる。
それでも、彼は諦めるわけにはいかなかった。
道化師。
この男だけは許せない。
脱獄囚たちの頭脳であり、残酷さと狡猾さを併せ持つ道化師の姿が、リアムの脳裏に浮かぶ。
混乱の中、道化師が自分を殺そうとした瞬間、何とか命を拾ったものの、
彼に仕掛けられた計画の数々はリアムに敗北感を残した。
「次は必ず捕らえる。いや、、、終わらせる」
静かな誓いを立て、握りしめた拳を見つめる。
その手の中には、刑務所の設計図が握られていた。
新たな舞台、ヴィクトワール刑務所。
そこは脱獄不可能と噂される場所だが、道化師はその中心で待ち構えているという。
道化師はヴィクトワールを自分の王国と宣言し、新たな勢力を築いている。
道化師が何を企んでいるのかは不明だが、俺にとってそれは関係ない。
ただ、彼を止める。それだけだ。
俺は深く息を吐き、立ち上がった。
薄暗い通路の向こうから足音が近づく。
それは、共に戦った囚人番号8番のぺいんと、6番のしにがみ、そして9番のクロノアだった。
「随分とボロボロですね、リアム看守」
しにがみが軽く笑いながら声をかける。
「それでもお前たちを引っ張るぐらいの力は残ってる」
「なら、行こうぜ、!」
ぺいんとは軽く肩を叩き、通路の先を指さした。
ヴィクトワール刑務所への潜入が始まる。
そこには道化師との最終決戦が待っている。
そして、俺たちにとって、それは生きるか死ぬかの戦いだった。
1話 ヴィクトワールへの潜入
冷たい鉄扉が鈍い音を立てて閉じる。
ヴィクトワール刑務所への通路は、無数の監視カメラとレーザーセンサーが
張り巡らされた要塞そのものだった。
囚人でさえ脱出を試みた瞬間に命を落とすと言われるこの場所は、
表向きでは「安全な収容施設」として名を馳せているが、
裏では道化師の手に落ちていた。
俺はは小型の端末を操作しながら、先を歩く6番に目配せをした。
「こっちです。カメラの死角はここから数分しか保たないです」
リアム、ぺいんと、クロノアは無言で頷き、続いた。
道化師の居場所を突き止めるための鍵となるセキュリティルームは、
廊下の先、左手にあるはずだった。
しかし、その前には数名の武装した兵士たちが警戒を強めていた。
「どうする?」
クロノアが囁き声で尋ねる。
「俺が引きつける」
俺は鋭い目で兵士たちを見つめた。
「お前たちはその隙にセキュリティルームを確保しろ」
「無理しないでくださいよ?リアム看守」
ぺいんとは口元を軽く歪ませる。
「怪我してるんだから」
「ふっ笑 心配するな、これ以上失うものはない」
俺はわずかに笑みを浮かべると、足を踏み出した。
彼が通路の中央に姿を現すと、兵士たちはすぐに反応し、銃を構えた。
「止まれ!侵入者だ!」
「侵入者?」
ゆっくりと両手を上げながら歩み寄る。
「俺はこの刑務所の看守だ。忘れたか?」
兵士たちは一瞬戸惑ったが、次の瞬間には銃口が彼の胸元に向けられた。
「ふざけるな!お前はもう死んでいると聞いたぞ!」
「まあ、そう思わせておくのも悪くないさ」
リアムは冷ややかに笑った。
そして、その瞬間――。
通路の奥から閃光弾が放たれ、兵士たちが目を覆う間に、ぺいんと、しにがみ、クロノアが素早く動いた。
しにがみは鋭いナイフを手に、一人目を制圧。
ぺいんとは兵士の武器を奪い、クロノアが残りの兵士を気絶させた。
「ナイスだ」
リアムは軽く笑いながら振り返る。
「こっちの台詞だよw」
ぺいんとは肩をすくめた。
「本当に派手にやるつもりだったんだな」
「俺が囮になると言っただろ」
俺は淡々と答えた。
セキュリティルームの扉を開けると、中にはモニターが並び、
刑務所全体の状況が映し出されていた。
その中心に映るのは――。
「道化師、、、ッッ!ギリッ」
クロノアが歯ぎしりする。
映像の中で不敵に笑う道化師の姿が大きく映し出されていた。
彼はカメラ越しに手を振り、挑発するように言葉を発した。
「ようこそ、私の城へ。さあ、始めようか――最後のゲームを」
俺はその声を聞きながら、無言でモニターを睨みつけた。
次の瞬間、全域アラームが鳴り響き、刑務所内が赤い警告灯に染まる。
「、、!!罠です!」
しにがみが叫ぶ。
「構わない」
俺は拳を固めた。
「もう引き返すつもりはない」
彼らは急ぎ次の行動を開始した。
道化師との最後の戦いが、本格的に幕を開ける――。
next~2話
【揺れる覚悟】
はーと500ほしぃ、自信作だから。
ぁとProfileは脱獄本編とだいたいおなじなのでつくりません
ヴィクトワールの意味(フランス語で、勝利、戦勝、勝利の女神)
フランス語好きなのでこれにした。てか普通にかっこいいし!
初めての日常組だけの小説だ!!!
コメント
1件
面白そう、!