目が覚めると、僕は地べたに横になっていた。
青い空が僕の視界に広がっている。
僕が体を起こすと、幼稚園生が隣にちょこんと座っていて、なんとも可愛らしい。
[あなたなんて、異世界に連れてきてあげた]
可愛いけれど言い方が少しきつい。
幼稚園の年中ぐらいだろうか。
[君が、僕を異世界に連れてきたの?]
僕がそう言うと、女の子がコクンとうなずく。
[そうよ。ここは、異世界。それじゃあ、あとはどうにかして]
幼稚園生がどこかへ去ろうとする。
僕は慌てて止めた。
[待って!女の子1人は危ないよ!ここら辺の治安はわからないけどさ!]
[……なら、勝手にあなたについていくから]
[ついていくからって言われても、僕この辺の事知らないし]
[なら、ついてきなさい]
幼稚園生に案内されるのもカッコ悪いが、知らない土地、ましてや異世界などついていくほかない。
[あなた、学校帰りよね?お腹すいたんじゃないの]
[まあ……多少は減ってるけど]
げんに僕が帰ってきたのは5時半ぐらいで、お腹がすく頃だ。
[なら、そこのアップルパイヤサン、案内してあげるか]
[アップルパイヤサン?なんで屋さんがカタカナなんだ?]
[この異世界では、それが店の名なの。書く場合は全てカタカナだから]
[読みづれぇな]
まあ、異世界特有の絵のような字のような文字よりはましか。知ってる言語だし。
[はい。ここのアップルパイ、食べたら2日ぐらいオールできるから]
[おー。ありがとな]
俺はアップルパイを一口かじった。
[んごぉ……!?]
喉につまった。
[ゲホッゲホッ!]
[大丈夫!?み、み、水ぅ!]
女の子が水を差し出してくれた。
俺は五秒ほどで一気に飲み込んだ。
[はぁ……死ぬかと思った]
[よ、よかったぁあああああ!喉つまらせて死んじゃうかと思った!]
[……君、慌てると口調変わるんだな]
[……今のは忘れなさい]
[りょーかい。墓場まで覚えとくわ]
[覚えるな!?]
コメント
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面白いです。これから楽しみです。