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君の瞳に、いつか虹を

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君の瞳に、いつか虹を

11 - 第10話 「逃げ道」HappyEnd

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2023年05月25日

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nkside.


kn「みんなおはよう。ちょっと、屋上来てくれる?」


nk「うん…?」


br「うん」


─────怖い……なんだか…嫌な予感がする……


なんだか…いつもと笑顔が違う……前に見た時よりずっと苦しそうで、全てを諦め切ったような…


─────いきなり消えちゃったり…しないよね……


✧• ───── ✾ ───── •✧


knside.


kn「みんな…本当に、今までありがとう」


br「え……?どうしたの…?そんないきなり……」


kn「俺ね、小さい頃から家で虐待…されてて。」


sha「……え?」


kn「うちの親は、暴言も吐けば暴力も振るう。

それで、俺は小さい頃『もう殴るのはやめて』って素直に言ったの。」


sm「…………」


kn「それでも、変わらなかった。…………だから、笑顔で取り繕った。」


kn「でもそれも─────もう限界。」


俺は初めて、みんなの前で笑顔の仮面を外した。


✧• ───── ✾ ───── •✧


nkside.


kn「でもそれも─────もう限界。」


…………っ……!


もはやきんときの顔に今までの笑顔はなく、


以前「つまらない」と言った時の、あの氷点下の空気のような雰囲気を纏っていた。


nk「…………限界…って……何……?」


kn「そのままの意味。分からないの…?俺はもう疲れた。生きる理由もないの」


kr「……分かるわけないだろ……今まで散々笑っておいて、いきなり生きる意味がないって何……?」


…………オレ…力になれてなかった……?


オレが気づいて……話を聞いてあげられれば……


いや……それでも何も変わってなかったよね……家庭の問題なんだもん。


でも……きんときの“逃げ道”にすらなってあげられなかった……


nk「……そ………………そうだよ……だから…………またオレたちと……」


kn「そんな綺麗事……どうせ口だけ」


sha「……お前…………!!」


kn「だから、ありがとう。バイバイ」


きんときが、フェンスに手をかける。


nk「待って!!!」


✧• ───── ✾ ───── •✧


knside.


kn「だから、ありがとう。バイバイ」


─────ああ……これでやっと……終わりだ……


5人に見守られながら人生の幕を下ろせるのなら……


nk「待って!!!」


kn「……え……?」


nk「きんときが苦しくても、オレたちがいるよ。」


br「うん。そうだよ。」


nk「家庭の問題だから、オレたちが完全に何かを変えてあげることは難しい。」


kn「………………」


nk「でも……きんときにとっての“逃げ道”になることは……きっとオレたちにだけできること。」


kn「…………っ……」


─────“逃げ道”…………


そうか……逃げてよかったんだ…………


sha「…………だから、頼れ。辛かったら逃げろ。」


…………まだ……早かったみたいだ。


まだ…………こいつらがいる。

……心残りだらけだ。


kn「…………待っててよ」


kn「……俺は逃げるよ。だから、“逃げ道”でずっとずっと待っててね」


nk「うん……!」


kr「……お前は、もう笑わなくていい。せめて、俺たちの前でだけでも、普通のお前で、思ったことを言っていい」


kn「あ…………うん。」


sm「お前、親からの虐待が酷いんだろ?」


kn「うん。今もね。この間は勉強道具とパソコンを捨てられた」


kr「は!?」


sm「そんな環境の家に、ずっといることなんてないだろ。逃げるんだろ?」


kn「……家出することは考えた。けど、行く当てなんて……」


nk「……オレの家、住んでいいよ!!」


kn「は?ちゃんと考えて発言してる?」


sha「……素のきんとき、辛辣だな……」


nk「オレのお母さん、『きんちゃんなら家に住まわせてあげてもいい』って言ってたから」


kn「……ホントに?」


nk「ホントホント!!」


br「さっすがNakamu!きんさんをよろしくね!」


nk「うん!もちろん!」


……そうだ。俺は逃げ続ければいい。


“逃げ道”があるんだから。


これからも、生きて、逃げ続けよう─────。

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