テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
書き途中、没作まとめ
長かったり短かったりな上にぶつ切りです
思いついたときに続きを書くかもしれません
文才なんかありません。
案の定駄文。駄文。
cpはどこかに記載してます。
主はにわかです。解釈違いがあると思います。
※ご本人様には関係ありません。
cpも左右も入り乱れています。cp表記はしていますが、地雷のある方はご注意ください。
srng
ngの言葉に悩むsrfの話
“貴方、目が怖いんですよ”
情事の最中、恋人から言われた言葉に、エージェントは酷く苦悩していた。
別に、本気で恐れられ、怯えられているわけではないとは分かっているのだ。そう分かっていても、中々にくるものがある。
怖い、かぁ…
暗殺者として生きてきたからなのだろうか、眼光が鋭いとはよく言われるが、まさか恋人にまでそう思われるなんて。
はぁぁ、と長く息を吐き出せば、コトリ、と目の前にコーヒーカップが置かれる。
『今日はやけに落ち込んでるなぁ。またアキラとなんかあったんか?』
「ひばりぃ…」
快活そうな声の主を視界の端に認め、吐き出した声は思ったよりも弱々しかった。
その声を聞いてか、隣に座っていた金髪の男がぷっと吹き出す。弱った声が随分と面白かったらしい。
ムカついたので、とりあえず足を軽く蹴って抗議しておいた。
fwty
仕事終わりにtyと話すfwの話
※fw・tyの喫煙描写があります
土砂降り、という程でもないが、傘を持たずに外を歩けばあっという間に衣服が重量を増すことが分かるような、それくらいの雨が降っていた。
雨の中、そして深夜だと言うのに煌々と輝き続けるネオンは、この街ならではの景色だと言えるだろう。
夜闇との対比が目にも眩しいネオンから逃れるかのように存在する、とあるホストクラブの裏口。雨の当たらないそこに座り込むスーツを纏った美形の男が、溜息とともに紫煙を吐き出した。それも夜の街の喧騒と雨音に紛れて消えていく。
煙の行先を見届けていた紫水晶は、やがて静かに伏せられた。薄らと周囲の光を反射する銀に、躑躅と桔梗の色を差した髪が揺れる。その派手な髪は濡れていて、微かに漂うのは甘い匂い。
その瞳の見つめる先、雨で湿気ったコンクリートの地面に、不自然に影が落ちた。影を落とした存在に目を向け、その姿を認識すると、男は猫目気味の目を見開く。
「へ、もちさん?」
落とされた影の正体。もちさん、と呼ばれた人物が傘を持ったまま微笑む。
『んふ。はぁい、剣持刀也ですよ~。ふわっちはお仕事終わりだよね?』
「ぇあ、まあ、はい、そっすね」
ふわっち、と呼びかけられた男、不破湊は剣持に対し曖昧に返事を返す。何よりも、聞きたいことが多すぎた。
何故学生である剣持はこんな場所にいるのだろうか。親はどうしたのか。自他ともに優等生と認める剣持に限って、こんなところに来る理由が分からない。
ここは煌びやかな印象を与える一方、犯罪も多い。ましてやこんな綺麗な子、それもこの街に慣れていないと一目で分かるような子が、よくここまで無事に来れたものだ。剣持ならその危険性はしっかりと理解しているはず。それなのに、何故。
そんな不破の様子を気にもとめず、剣持はさらに話し続ける。
『やっぱりそうなんだ。というかふわっち煙草吸うんだね。ちょっと意外かも。いや、意外でもないか?ファンアートだと結構見る気がするし。あ、もしかしてホストの人達はみんな吸ってるもんなの?』
まるで何も聞くなとばかりによく回る口に、不破は途中で思考を投げ出して、その顔に感情の読めない笑みを浮かべた。
「んまぁ、うちはほとんどの奴が吸ってるっすね」
『へえ、なんかすごいね。銘柄にこだわりとかあったり?』
「や、これはさっき後輩に貰ったやつなんで」
『んは、そこは適当なんだ』
きゃらきゃらと可愛らしい笑い声をあげる剣持に、不破もにゃは、と感情のこもっていない笑い声を漏らす。
「そんな気になるんなら吸ってみたらええやん」
冗談交じりな不破の言葉に、剣持はきょとん、とした顔を向ける。不破はその顔に頬を緩めた。
『えぇ?僕未成年ですよ』
「流石にか」
そう言われるのは分かっていた、とばかりにからから笑う不破に、剣持は拗ねたような表情を浮かべた。
不破はこれまでの付き合いで、剣持刀也という人物を少しは分かっているつもりでいる。もう子供じゃないと口にしつつも、まだ子供である事の自覚を十分に持った剣持が、この誘いにのるはずはなかった。
…….少なくとも、普段の彼ならば。
『…..ねえふわっち、それちょっと吸ってみたい』
「…..へぁ?」
出遅れた間抜けな声を無視し、いいから貸して、と強引に奪い取られた煙草の吸口が、止める間もなく剣持の口元へと運ばれた。吸いにくそうな、不格好な持ち方をしていることに、経験の無さが伺える。
『…….っ…..ごほっ…ぇ”…っけほ…』
剣持は主流煙を吸い込んだのであろう直後に咳きこんだ。咳をする度に口から吐き出される紫煙が、どうにも彼に似つかわしくない。
「ちょぉ!?もちさん大丈夫!?今水とって…」
うろ覚えでしかないが、確か剣持は肺が少し弱いなどと聞いた気がする。そう思い慌てる不破の言葉を途中で遮り、剣持は首を横に振る。
『…っ大丈夫です、ちょっとびっくりしちゃっただけで…そんな深く吸い込んでませんし…….ごめんね、急に取っちゃって』
「そぉ、れは別にいいんすけどぉ」
煙草を不破に返しつつ、苦く笑った剣持は、ごめん、と再び謝る。こうすれば不破がそれ以上口出ししないことを知っていた。
案の定、何も言わずに口を噤むのだから、剣持にとって都合のいい事この上ない。
不破が短くなった煙草の先端をコンクリートに押し付ければ、それはじゅっ、と苦しげな音を立てた。数秒ぐりぐりとコンクリートに押し当てていたが、やがて近くに置いてあった灰皿に吸殻を放り込んだ。いずれ誰かがまとめて捨てるだろう。
不破はよし、と立ち上がると、剣持の目を見据えた。
「…..もちさん、この後どうするんすか?」
終電もう行っちゃいましたけど、と付け加えれば、剣持は少し考え込むような顔をした後、口を開いた。
『…..タクシー高いし、怪しまれそうだから、どこかホテルにでも泊まろうかなって。ふわっちは?帰るの?』
「んや、俺もどっか泊まろう思ってたんで、どうせなら一緒にどうすか?」
その言葉は考える間もなく口をついて出た。それがこの子を放り出しておけないという心配によるものか、何か別の感情が起因なのかは不破にも分かってはいなかったが。
そっかぁ、と少しの喜色を浮かべながら、剣持は微笑んだ。
急いで店に戻り、私服と諸々を引っ掴み、再び外へ出る。剣持に近づけば、隣に並んで傘を差してくれた。相合傘、と呟けば笑って、そうだね、と返される。これは媚び判定では無いことにひとまず安堵した。気づいていないだけだったかもしれないが。
『スーツ、着替えなかったんだ』
「なは、スーツも髪も濡れちゃってるからなぁ」
『雨で?』
「酒で」
『大変だねぇ』
いつもよりも口調がふわふわとしているのは、深夜帯で疲れ切っているからだろうか。なんでもない事にくふくふと笑う青年に、やはりネオンの光は似合わない。
『ねえ、この辺でホテルお勧めある?僕あんまり知らないんだけど』
きょろきょろと周りを見回しながら聞いてくる経験の浅い子供に、不破は笑う。
「ここら辺ラブホっすよ」
『ラブホってラブホテル?…あの?』
「あの」
『へえ…』
俺はラブホでもいいっすけど、と冗談めかして言う不破に、剣持は少し考えてから、頷いた。
『別に僕もラブホでいいよ』
「あえ?」
『ふはっ、何その顔』
なんだそれ。本当におかしい。今日はずっとこうだ。
頬の熱を振り払った不破はどうしたのかと、その違和感を口に出しかけ、やめた。
「…ほんとにラブホでいいなら、俺の知り合いのホテル行きましょ、安くして貰えると思うんで」
『知り合いにホテル経営者いるんだ、いいよ、そこで』
先輩のらしくない発言に、へらりと笑った察しの悪い後輩は、剣持に何も聞こうとはしなかった。
「この不破湊、刀也さんを楽しませてみせますよ」
『ラブホで?んはは、最低かもなぁ、その発言は』
kgym(に、なるかもしれない)
キャンディを売るymと、マフィアやってるkgmの話
※少し曲パロ
目が眩む程のネオンが輝く夜のチャイナタウン。眠らぬ街と呼ばれるそこには、日々煌びやかな衣服を身にまとった人々が行き交う。合法、非合法問わず様々な物品や職種が集まる其処が、とあるマフィアの管理下に置かれているというのは有名な話。
無駄に露出の多い服を来た女が、1人の男に声をかけた。立ち止まった男は女をつまらなそうに一瞥すると、それを悟られぬように、端正な顔立ちに柔く笑みを浮かべる。擦り寄られ腕を絡められても嫌な顔一つせず、男は手馴れたような振る舞いで誘いを断った。その言動にすら顔を赤くさせる女に対し心の中で嘲笑を送ると、ほんの一瞬、鮮やかな色硝子の奥にある瞳を瞼で覆い隠す。
闇夜に溶け込むような濡羽の髪を揺らし、再びネオンに照らされた道を歩き出した男が、うんざりとした顔でため息をつく。その一連の動作までもが、まるで映画のワンシーンのよう。それは男が男女問わず目を引くような妖美な外見のためか、この街の艶美な雰囲気のためか、はたまたその両方か。兎に角その時、振り返ることすら躊躇われる美しさを身に纏い、男はそこに居た。
煌びやかな街並みも、道を1つ外れれば、途端に陰鬱な空気を漂わせる。治安の悪いそこには、財を失ったものや、行き場のない梅毒患者、血気盛んなならず者達など。何も知らずに無法地帯な其処へと迷い込めば、きっと地獄を見るだろう。
そんな場所に、鬱陶しいネオンの光から逃れるように、男は身を隠す。 場にそぐわない上等な衣服に身を包み、赤い石があしらわれたピアスを揺らしながら歩く。
この場では格好の獲物なのだろう。ガタイのいい薄汚れた男が背後から鉄パイプで襲いかかった。細身の彼にそう簡単に太刀打ち出来る相手では無い。
されど、血を流したのはガタイのいい男の方。
耳を塞ぎたくなるような破裂音。ゴミを漁っていたカラスがバサバサと音を立てて飛び逃げていく。辺りに硝煙の香りが漂った。
ガタイのいい男は、顔の中心辺りを撃ち抜かれ、膝から崩れ落ちた。上手く脳幹に当たっていれば即死だろう。そうでなくとも、もう起き上がることは叶わないはずだ。
「あー…やっべ、やっちゃった」
男の艶やかな唇から、普遍的とは言い難いような、それでいて良い意味で癖の無い、美しいテノールが零れ落ちる。やばい、と形容する割には軽く発せられたそれは、他の誰かの耳に入る前に霧散し、闇の中へと消え去った。
はあ、と態とらしく溜息を吐いて、倒れた男を品定めするように睨めつける。
「…こんだけ傷んでたら無理かぁ…..」
ぽつり。
残念そうに、面倒そうに。或いは興味も無さそうに。男は静かに呟いた。
gkty・kgym
tyとymがお酒を飲みながら恋人の愚痴を言い合う話
※tyの加齢・飲酒描写があります
『あんのクソ狐がよぉ!!!!!』
ガンっと音を立ててほろよいの缶がテーブルに叩きつけられる。テーブルに開けてあったポテチが微かに音を立て、同じくテーブルに置いてあった炭酸水がゆらゆらと揺れた。
『二十歳になるまで抱かないとか言い抜かすから!!!!お望み通り年取ってやったのに!!!!!今になって怖気付きやがって!!!!』
ガンっと再び音を立て、白い額がテーブルに落とされる。派手な音とは対照的に綺麗な紫髪がさらりと流れた。
幸いにも小物は僕が避けておいたため、大した被害は出ていない。それより気になるのは目の前に突っ伏す彼の額であるが、本人はどうやらそれどころでは無いらしい。
『ふざけやがってよぉ…』
柄にもなく小さな声で泣き言を零す僕の兄。
それを横目にポテチを一枚口に放り込んで咀嚼し、ついでにお酒を呷る。ごくり、と嚥下し体内にアルコールをぶち込んだ。これは。
「…..酒が進むな」
『あ”?』
「やべっ」
体を起こすことなく顔をこちらに向け、ギロリと僕を睨む彼。僕の先輩で、ある意味では僕の兄にあたる、剣持刀也である。
そんな剣持さんを前にして、僕、夢追翔は必死に先程の発言の言い訳を考えていた。
とはいえ、多量ではないにしろアルコールの回った脳では、逆転の一手は打てそうにない。ならばもう、開き直ってしまおう。
アルコールに犯された脳はそう結論づけて、剣持さんに向き直った。
「で、ガクさんと大人なキスはしましたか?」
『急に踏み込むじゃないですか。いつもの気遣いはどうした』
「んなもん酒の勢いでかなぐり捨てました」
『お酒こわぁ…』
もそもそと体を起こした剣持さんに、それで、と話の続きを催促する。逃げられないと思ったのか、それともお酒の影響か、嫌そうな顔をしつつも剣持さんは口を開いた
『一回しました、けど…..』
「けど?」
『中途半端でした』
「あらら」
剣持さんの話によれば、キスを実行に移せたはいいものの、息の続かない剣持さんを見てガクさんが早めに切り上げてしまったらしい。
『僕の体が心配〜とか、負担かかるから〜とかって、結局男なんか抱きたくないって言ってるようなもんじゃないですか。挙句の果てにキスも嫌なんて、僕のこと本当は好きでも何でもないんじゃない?』
剣持さんはそう吐き捨てると、不貞腐れたように缶に口をつけた。
(体の関係を持ちたくないのは好意がないから、ねぇ…….)
僕としてはどちらの主張も分からなくは無いし、ガクさんがきちんと剣持さんを好きなことも知っている。が、これは二人の問題であって、僕が口を挟むことでもない。余計な事を言って拗れた方が面倒になるだろう。
ふーん、と肯定も否定も含めずに軽く流し、剣持さんと同じように酒を呷る。
『で?』
「ん?」
『そっちはどうなんですか』
「…..あー、そうくる?」
kgym
不安定になるymの話
※病み・嘔吐描写があります
嗚咽と共に漏れだした吐瀉物が水面を叩く。
固形物は少ししか見られず、胃から上り、吐き出されたもののほとんどは、ほんの数時間前に浴びる程飲んだアルコール。どれだけ吐いても収まらない吐き気。ガンガンと頭を殴る頭痛に気が遠のきそうになる。
「…..は、ゃと…」
酒に侵され、胃液に焼かれた喉が発したのは、最近はろくに顔も見れていない恋人の名前で。こんな時でも自分が縋るのは結局あいつなんだと笑いたくなった。
それでさえも自業自得としか言いようの無い現状に溶けて、ただの掠れた声でしかない。今の愚かしい僕の姿は、傍から見ればさぞ滑稽に映るだろう。
取り留めのない思考を垂れ流しながら、込み上げる吐き気をどうにかしたくて、夢中で喉奥に指を突っ込んだ。
愛してるなんて簡単に言うくせに、隣に居てくれもしないのか。
自分が自棄になったことが招いた結果だと言うのに、恋人への責任転嫁と恨み言が浮かぶ他責的な脳内が気持ち悪くて仕方ない。これならもういっそ首を吊った方がマシか、だなんて、結局怖気付いて実行出来ないような妄言を垂れて。再び乱雑に指を突っ込んだ喉からはとうとう何も出てこなかった。
ふらつく身体に鞭を打って、壁を支えに立ち上がる。無事に帰れたらいいけど、とぼんやり考えた。
kgym
対等になりたい話
※若干センシティブな会話をしています
「夢追は思ったんですよ。対等な性行為がしたいと」
『待ってください、いきなり何を言い始めてるんですか貴方』
「いつもハヤトって満足しないまま、欲を燻らせたまま、眠りについているのではないかと」
『あ、もしかしてこっちの話は聞いてくれない感じですか』
「なので夢追考えたんです」
「ハヤト、今からえっちしよ」
『待ちなさい夢追さん!流石によろしくないですこんな昼間から!!!』
「うるせぇ!!やるったらやるの!!」
抵抗を見せるハヤトに半ば掴みかかり、無理やり衣服を剥ぎ取ることに尽力する。が、僕とハヤトの力は雲泥の差である。あっという間に僕の腕はハヤトの手で一纏めにされ、抵抗を防ぐためかソファーにゆっくりと押し倒された。
頭上でハヤトが呆れた目をしており、ハヤトから顔を背けたくなる。
くそ、抜かった。すっぽんが月に敵うわけがなかった。というか年齢もほぼ同じ成人男性のはずなのに、どうしてこうも差が生まれるんだよ。この脳筋ゴリラ。
『はぁー…夢追さん。冷静に、お話しましょう』
ハヤトは空いている方の手を顔に当て、ため息をつく。それがえらく冷たげに見えたものだから、そこで察した。
あ、これ怒られるやつだ。
『…夢追さん』
「…..ごめん」
『どうして謝るんです?別に怒ってませんよ』
「嘘。目が怒ってる。ふざけんなこのクソ野郎って言ってる」
『いやそこまでは思ってないですよ!?!?』
「そこまでは、ってほら、やっぱりちょっとは怒ってるってことじゃん」
『夢追さん、貴方さては誘導したな?』
別に怒ってない、なんて言葉信用出来るものかと鎌をかけてみれば、ほら見た事か。ハヤトの嘘つき。ばか。あほ。分からず屋。
ymty(ドグラン軸)
tyがymに媚薬を盛ろうとする話
『随分積極的かつ直接的なアプローチだね、剣持さん』
目を細めてこちらを見つめてくるその人から、黙って目を逸らした。
グラスに入れられた氷が溶け、カランと涼しげで爽やかな音を立てる。それとは対照的に、剣持の背筋を冷や汗が伝っていった。
それを知ってか知らずか、剣持の前に座る夢追は追撃とばかりに言葉を続ける。
『夢追、剣持さんがこんなことすると思ってなかったからさぁ、びっくりしちゃった』
夢追が手に持っていたグラスを揺らす。そのグラスに入っている氷は既に小さくなっており、揺れる度、微かに高い音を響かせた。
グラスの中に入った青い酒が蛍光灯の光を反射しながらゆらゆらと波打つ。
「いつから」
『うん?』
「いつから、気づいていたんですか」
剣持のその言葉に夢追は口角をあげると、わざとらしくグラスを持たない手を顎に添え、首を少し傾けてみせた。
『んー、まあ、そうね。”情報収集のために媚薬をくれませんか?自白剤みたいな効果もあると良いんですけど”って言われた時から何となく?』
最初から気づいてんじゃねぇか。ふざけやがって。
思わず舌打ちをしそうになる。そんな剣持を見て、夢追は楽しげな声を漏らした。
ええ。ええ。貴方から見た今の僕は、さぞ滑稽でしょうね。
胸中で悪態をつきながら、剣持は夢追を睨めつける。その視線をものともせず、夢追は再び口を開いた。
『ま、そーんな剣持さんからあたしら以外誰もいない日に晩酌に誘われれば、そりゃあ期待もしちゃうよねぇ?』
ymty
誘拐犯のymと誘拐されたtyの話
『君、お腹とか空いてない?大丈夫?』
「…….大丈夫です」
『そう?何かあったらすぐに言いなよ』
遠慮しなくていいからね、と人の良さそうな笑みを浮かべる赤い目の男。
僕はこの人に誘拐されたらしい。
知らない部屋。壁に大量貼ってある、恐らく、というか確実に盗撮であろう僕の写真。未だにズキズキと痛む後頭部。数時間前から欠けた記憶。 目の前の知らない男。
この状況に警鐘を鳴らす僕の頭は正常である。
目の前の男をじっと見つめれば、柔和な笑みが返ってきた。さっきからずっと此方をにこにこと眺めていて居心地が悪い。
こうなったら思い切って、この人を押さえ込んで外へ逃げるか?
成人男性にしては細い体つきだし、拘束されていないから僕でも出来るかもしれない。
「…..」
『んふふ、かわいいね』
また。まただ。
可愛い。綺麗。先程からそんな言葉ばかりを浴びせられている。僕を愛おしそうに見つめるものだから、本当に意味が分からない。ごく普通の男子高校生だぞ。
じとり。誘拐犯を睨めつければ、くすくすと笑われる。
『逃げようと思ってるんでしょ?』
分かりやすいね、いや、逃げたいのは当たり前か。そんな言葉をつらつらと並べ立てられる。どうやら僕の考えはこの男に筒抜けらしい。
「…..分かってるのに拘束はしないんですね」
『うん、だって逃げてないし』
きょとん、というような顔で、さも当たり前だと言うように口にする男に首を傾げる。
なんだか、どうにも噛み合わない。
tyym
キスマークをつけたいって話
ちゅ、ちゅ。ぴちゃ。ぢゅっ。
一聴して卑猥な音が真昼間のリビングに響く。
その音の発生源、僕の太腿に跨り、僕の首元に吸いつくその人に視線だけを向けて問いかけた。
「それ、下手くそな自覚あります?」
『実はね、結構ある』
緩くパーマのかかった黒髪を撫でれば、不満そうに目を細めながらも返事が返ってくる。首元に吐息がかかって擽ったかった。
「自分で言い出したくせに情けないですね?夢追さん」
『っぐ、しょうがないでしょ!?やったことないんだから!』
鼻で笑ってやれば、肩にかかっていた手にきゅっと力が入っていじらしい抗議が飛んでくる。それも頬にキスを贈ればすぐに静かになったけど。
キスマークをつけてみたい。いきなり服に手をかけられ押し倒されて言われたのはそんなことだった。大方、僕が彼の身体中に残す痕への憧れと意趣返しのつもりだろう。が、
「こんなに下手なのは想定外だったかもな…..」
普段は見えない位置にすることを条件に、キスマークをつけることに同意してから早数十分。スマホのカメラで確認しても、若干微妙に色がついているのかいないのか、程度のもので。付いているものといえば彼の口から溢れ出てしまった唾液が少々。
要するに、言葉を選ばずに言えば、死ぬほど下手くそなのである。
『ぁ”ーもう!やーめた!!どーせアタシにはこんなこと出来ないですー!!』
拗ねたのか、夢追さんがそのまま後ろへ倒れてソファーへと体を投げ出す。まさに大の字、というように腕や足もぐったりと力を抜いたようだ。
「もう…..良いんですか?キスマーク、ちっともついてないですけど」
『もういいですー!剣持さんも付き合ってくれてありがとうございました!』
「投げやりだなぁ」
ところで。
話は変わるが、先程から僕らはソファーに横向きで座って向かい合い、そして彼は僕の膝に乗っていたわけである。その位置関係のまま、彼が後ろに倒れ込むとどうなるのか。
「ねえ、夢追さん」
『んー?』
夢追さんの顔の横に手を付き、上体を倒して顔を近づける。
「それ、自覚があるのかは知りませんけど」
ガッ、と口を塞ぐように夢追さんの顔を鷲掴みにする。いきなり乱暴されたことに驚いたのか、目を見開いてじたばたと抵抗するのを押さえ込んだ。
「煽るのは、程々にした方がいいですよ」
マジェty×ホストym
tyがymに貢いでる話
「…うわぁ、これ…..なんか、もう、うん」
『なんですか?文句があるなら聞きますが』
「いや、別にそういうわけじゃなくて、まあ、その…..楽しんでもらえてるみたいで何よりです…」
『ふふ、ええ、とても楽しいですよ』
夢追の言葉を聞き、にこやかに頷いた剣持に、夢追は微かに胃が痛むのを感じた。
ここはとある繁華街の一角に店を構えるホストクラブ。イケボホストクラブ、という通称がつくほどに、声と顔の良いキャストが揃っていることで評判の店である。
そのVIP席にて、夢追と剣持は比較的静かな閑談に興じていた。
他の卓よりも広いそこに、2人きりで隣同士になっているため、若干の寂しさを感じないことも無い。だがそれも、そのことを気にもさせない程にテーブルに並んだ高価なシャンパンにより消え失せ、その場は豪華絢爛に彩られていた。
ymym(派生達×通常)
「やっぱVDじゃん」
『お?あ、ゆめお〜』
事務所での打ち合わせが終わり、森の中にある家に帰宅する。もう特に急ぐべき案件もないため、作業でもするかとドアに手をかけた時、視界の端を掠める、特徴的な赤いジャケットの存在に気がついた。 もしやと思いながらそれが消えていった方、家の裏手に回れば、やはり見覚えのある背中だと苦笑し、声をかけた。
バイクの整備に夢中になっていたそいつは、僕の帰宅に気づかなかったらしく、若干驚きつつも返事を返してくる。
『おかえりー。今日打ち合わせだから帰り遅くなるかもって春服から聞いたけど』
「え、俺春服に打ち合わせのこと話したっけな…案外早く終わったから早めに帰ってこれたんだよね。VDこそこっち来るの珍しいじゃん」
『あー、ちょっと色々ね』
どこか歯切れの悪いVDに首を傾げつつ、彼の傍に歩み寄った。
ymym(WD×VD)
押しの強いWDとなんやかんや流されるVDの話
ちゅ、と微かなリップ音を立てて首に唇が押し当てられる。何度か角度と位置を変えながら行われたそれが止むと、今度は歯を立てられた。皮膚を食い破りそうなほどの痛み。思わず息を詰めると、肩の方でそいつがくすくすと笑う。
ふわふわした黒髪が首を掠めてくすぐったい。身を捩ろうとする俺を軽く押さえ込んで、赤い目をしたそいつが鎖骨に触れてくる。
つー、と。大きく開いた柄シャツの襟元から、谷間と言われたそこをなぞられて、慈しむように撫でられる。シャツの上から鳩尾の辺りをさすり、腹を手のひらでぐっと押して。
そのまま。そのまま、ずっと下へと…..。
…手を進めようとした不埒な輩を。自分と瓜二つの顔を持つ、白き日に生まれたそいつを軽く睨みながら、そこでようやく声を発した。
「…ホワイト………ホワイトデイ」
『…..なぁに、バレンタイン』
「それ以上は駄目」
手を掴んで制止すると、ぷくりとホワイトの頬が膨れた。あからさまに不服そうな瞳から逃れたくて、俯きながら片手で顔を覆う。
『なんで?いいじゃん、減るものじゃないし』
「確実に俺の中の何かがすり減ってるから駄目」
『やだ!あたしはバレンタインで遊びたいの!』
「せめて俺”で”じゃなくて俺”と”って言ってくれる?」
やだやだと駄々っ子のようにごねては抱きついてくるホワイトの両肩を掴んで引き剥がす。
どさくさに紛れて俺の服に手をかけるな。
「セクハラやめてね」
『別にいいじゃない!兄弟みたいなものなんだし、これくらい許容範囲内でしょ?』
「兄弟みたいなもんだから駄目だって言ってるの」
『けち!!先っぽだけって言ってるじゃん!』
「そのセリフが一番信用出来ないんだよど阿呆」
よろしければコメントで好きなセリフや地の文を教えていただけると嬉しいです。今後の参考にします。
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くらげ
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