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1 - ハロウィン

♥

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2024年12月04日

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※遅めのハロウィン
空架ぐち逸










「おっ、ぐち逸じゃん。お久〜」

「あぁ、お久しぶり、で、す、…?」


DEPの精製所に入ろうとすると後ろから聞き覚えのある声で名前を呼ばれる。

振り向くと想像していた姿とはまるっきり違う誰かが目の前に居た。

金髪のロングを梅の花のような髪飾りで前に緩く下で二つ括りをしている。傍から見たら女性の様なのに声が男。声を聞けば聞くほど違和感しかなく気持ち悪い。


「あれ?わかんないか、鱈タラオだよ。」


いぇーい、と目の前でピースをしてくる目の前の…鱈タラオさん。

なぜそんな姿をしているのか理解出来ず、なんで、と聞いてみた。


「え?だって今日ハロウィンじゃん。仮装だよ仮装。」


ハロウィン。

子供とかが化け物の格好をしてお菓子を貰ってく、あれか。

でもタラオさんの格好は少なくとも化け物には見えない。ただの女装に見える。


「それ、は仮装なんですか?」

「あぁ〜、まぁ仮装だね。なんかみんな色んな人の仮装してるよ。」


ぐち逸も俺が仮装させてあげようか。と悪い笑みを浮かべ提案してくる。


丁重にお断りを入れたところ、強制的に服屋に連れられた。



「ぐち逸さ、なんか知んないけど直感がこれだって言ってるんだよね」


そういって見せてくるのは黒のトレーナーと迷彩柄のズボン。本当に似合うと思っているのか疑問だが着なくても無理矢理着させられるだろうと考え渋々受け取り試着室の中へと入った。


「どうですか。」

「あぁ、いいんじゃない?あとこれ」


出た後適当に褒められた後に白と黒の帽子を渡される。

これを持って美容室に行くらしい。



「俺が整えてあげるよ」


自分の髪をさらりと触りながらそう言ってくる。なんでタラオさんがやるのか甚だ疑問だが、文句を言えば何をされるか分からないからと大人しくすることにした。

髪をボサボサにされ、適当に深緑に色付けをされる。そんな手つきでいいのかやらなんで色も変えるんだやら言いたいことが沢山あったが、まぁまぁ、と静められてしまった。


「よし!どう?」


これで帽子被ってみて。と指示されて帽子を被る。と直ぐにタラオさんに帽子を剥ぎ取られ帽子のつばが後頭部に来るように直された。

そして鏡を見せられる。そこに居たのは自分とは思えないほどで。


「これ、誰の仮装なんですか?」

「ん?俺もわかんない。」

「はぁ、…?わかんないわけないじゃないですか。」


ジトリと呆れたように彼を見ながら話す。何故か自分も彼もこの姿でいると敬語が変のように思えてしまう。


「まぁそんな有名でもないような格好だし、俺も適当だからほんとにわかんないんだよね」

「いや、この姿はめっちゃ有名な気がします。誰もが知ってるみたいな、」


彼の発言を直ぐに訂正し、満足しましたか、と聞きながら元の服装に着替えようとすると止められる。


「あ、待って待って。」

「なんですか、」

「ハロウィンの間だけはその姿で居らん?楽しいと思うんだよね」

「…まぁ、ハロウィンの間だけなら、」


少し考えたあと、明日以降に持ち越さなければ大丈夫なんじゃないかと思い、了承した。なんで直ぐに了承したのか自分でもわからないが。



そうして数分話していると、ポーン、と小気味いい音と共に患者の通知が来る。


「あ、すみません、患者が」

「ほんとじゃん、いってら〜」


患者が出たと言ってすぐに走る。遅れたらいけない。早く、早く。

急いで近くのガレージのあるところに行きバイクを出して患者のところまで向かった。

自称最速のあの鷹頭には負けてられない。



「ちょ、現場!!事件起こってるから離れて!」

「誰!?誰!?」

「患者を拾ったら遠くに行きます!それより大丈夫ですか!どちらですか!」


患者がいるところは事件現場らしかった。それでも大声を出して患者を探す。

遠くに床に突っ伏している人が見え、急いで近くまで行きピックをして現場から離れた。


「犯人拾った!」

「撃っていい撃っていい!」


そのような会話が聞こえたあと背後から銃声と共に銃弾が何発も飛んでくる。


「っ、もうちょっと耐えてくださいね」

「はあい」


足や腕に当たりながらも速度は緩めず急いで遠くまで行く。

いつの間にか銃声も聞こえず銃弾も飛んでこず、安全だと判断してバイクを止めて芝生の上に患者を転がせた。


「いま治療します」

「ありがとうございまーす」


患者の姿は言わば青。髪は青みがかった黒で、青のニット帽を被って、白いシャツの上に青色の上着を着ている。マフラーもつけているのだがそれは何故か青色ではなく赤色で。なんでここだけ…などと思いながら治療をしていった。


「よし、安静にしていてくださいね」

「え、ねぇ」


除細動器で心臓を動かし起こす。そして請求書を送ったところで別の患者の通知が来たためバイクに乗って行こうとしたが呼び止められてしまった。


「はい、?なんでしょう」

「え?ぐち逸、だよね?多分」


青い人は顎に手を当ててそう聞いてくる。

私のことを知っているのか?


「え、えぇ。そうですが。なんで知って、」

「俺俺。レダーヨージロー」


オレオレ詐欺の如く俺と言ってから名前を伝えられる。

レダーヨージロー。バケットハットを被って、少し髭の生えた人だったと思うが。

目の前の人は髭もバケットハットもない。ただの好青年のように見える。


「…ハロウィン?」

「あぁ、そうそう。仮装だよ仮装。流行ってるらしいからやれーって夕コに言われちゃって。」


あ、もしかして。と思いついた単語を少し呟いてみると首を縦に振ってくれる。

ていうか、とレダーさんは私の顔や服などをじっと見詰めて呟いた。


「ぐち逸も仮装すんだね。結構似合ってんじゃん」


黙ってればかっこいい、と褒め言葉のように聞こえない褒め言葉を貰う。


「レダーさんも似合ってますよ。」


ありがとうございます、と感謝をして同じように褒めたら、でしょ〜?、と語尾を上げたうわずった声で、まぁ俺だから、と返された。

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