甲斐田はふと頬に風を感じて目を覚ました。
なんだか全身が痛いことに気付き、昨日の夜のことを思い出す。
昨夜は随分熱い夜を過ごした。途中で記憶がなくなっているのはきっとそのせいだろう。
もう付き合ってから何度も繰り返しているというのに、朝起きて隣に人がいる、ということに慣れない。
甲斐田は隣で気持ちよさそうに眠っている男を眺めた。
きれいな顔だ。
すっと通った鼻筋。少し切れ長の目。陶器のような真っ白な肌。薄く小さなくちびる。
いつも、あのくちびるで自分は蕩けされられているのかと思うと、なんだかくすぐったい気持ちになった。
人差し指で、そのさくら色のくちびるに触ると、長尾の口から静かな吐息を感じる。
(ちょっとだけなら… いい、よね?)
甲斐田はそっと、触れるだけのキスをした。
その瞬間、
「なーにしてんのっ」
目の前の男がそう言いながら跳ね起きる。
「え」
甲斐田は呆然として長尾を見つめる。
「いつもは自分からキスなんてしてくれないじゃんはる〜」
ニヤニヤとしながら甲斐田の方を見る長尾。
「もしかして… 起き、てた…?」
「ん」
長尾はそう言いながらコクンとうなずく。
「〜〜っ もういいっ 寝る!!」
甲斐田は羞恥で顔を赤らめ、布団をかぶる。
「今日の夜は晴の方からキスしてくれるかなぁ〜」
布団の上から聞こえる、こっちに聞かせるような、長尾の声。
今日だけなら特別にしてやってもいいかも、なんて考えたりして。
せっかくの日曜日だ。今日は長尾といっしょに、思いっきりだらだら過ごそう。
「俺も二度寝しよっかな〜」
長尾がいっしょに布団に入ってくる。
そうして二人は、今日二度目の眠りについた。
コメント
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え、、、、めっちゃ好きです