テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
1,531
7,184
#宵闇怪奇譚
桜城
550
ゆーり。
37
つい10分前、この屋敷の住人だと思われる人に案内します。と言われて廊下を歩いている。
今は案内をしてもらっている。だが…
廊下、長過ぎない?
10分ぐらい歩いても何も変わらない。
案内してもらっている人は無言。もっとなんか喋らないのかな。流石にどうすればいいか分かんない。
なんか「ここは◯って言う部屋で〜」みたいなのがあると思ってた。
でも無言。何すれば良いんだこれ。とにかく何か喋らなきゃ…
「あ、あのぉ〜…」
と言うと
「どうしましたか?」
と案内してくれている人は返した。
やっばい思いつかない。
…そういや何て呼べば良いのか聞いてなかった。よし聞こう。名前が分からないままじゃどう呼べば良いか分からないし。
「えーっと…そういや…名前、聞いてなかったなって。…どう呼べば良いか分かりませんし…」
これで…良い…よね?噛んでないよね?伝わってる…よね?
「あ、そういや名乗ってませんね。私の名前は咲蓏(さくら)。お気軽に咲蓏とお呼び下さい。」
伝わってたー!良かったー!
「わ、わかりました…咲蓏さんって呼びますね。」
さくらってどう書くんだ…桜って漢字なのかな
「要件はこれで宜しいかと思いますので、進みましょうか。…もうちょっとで違う部屋に着くので。」
「あ、分かりました。」
ちょっと待て、もうちょっとで違う部屋に着くって言った?
嬉し過ぎる。やっと違う部屋に着く…
「ついでに、違う部屋の近くに住人が居るので紹介しますね。」
「あ、はい。」
しかも住人…どんな人なんだろう。出るのに情報集めしないとだし、話しかけなきゃな。
────────────────────
「着きましたよ。こちらは…確か、…台所?キッチン?です。」
やっと着いた…
キッチンの見た目は…ぼろぼろではあるけど…料理は出来そう。
「あ、咲蓏さん。…その人はお客様でしょうか?」
知らない人出てくるの多くない?いや、住人だから出てくるのも当然か…
「そうですよ。ご挨拶、お願いします。」
ご挨拶で思ったけど、自分の自己紹介したっけな…
…何か不思議に名前知ってたりするのかな。ユイリさんが私の名前を知ってたみたいに。
「私の名前は颯(かえで)。ここの料理担当の者です。」
楓さんか…あ、自分も自己紹介しなければいけないのでは…?
「えっと…あ、私…は…」
「名前だけで大丈夫です。」
「えっあ…雪明です」
「雪明様。恐らく少し程ですが宜しくお願いしますね。」
「あ、はい。」
名前だけで良いのはなんでだろ。見た目…灰色髪のショートに、執事っぽい…灰色の服。目は…黒色か。光も灯ってない…。声とかで判断してしまって申し訳ないけど、男性の方なのかな。
「…そんなに私をじろじろ見て、どうしたんですか?」
考えてたら聞かれちゃった。見た目を見て男性かと思っただなんて初対面の人に言えない。どうしよ。
…そうだ。あれがあった。
「えーっと、服!服が似合って居てお綺麗だなーって!」
どうだ。行けるか…?
「…そんな言葉、初めて言われました。ありがとうございます。」
颯さんは感謝を述べた。これは良かったのかな…?
「そういや咲蓏さん。」
「颯さん、どうしました?」
え、どうしたんだ颯さん。咲蓏さんに何かあるのかな。
「今お客様が居る中で言う事では無いとは思っているのですけれど… 貴方、いつもはタメ口なのに今日は敬語なんですね。」
そうなんだ…うん…ん?
「…あ、バレた?」
「バレた、ではありませんよ…お客様に格好付けたいのかは知りませんが、タメ口ならタメ口のままにして下さい。少し驚きます。」
「少しぐらいなら良いじゃない。」
…何というか。ちょっと…うん…分からん。
てかここって他に人居ないのかな。
「お客様の目の前でこんなしょうもないことを話してしまってすみません。恐らく先に進みたい、他の人は居ないか気になると思うので他の方が何処に居るかを教えときますね。私の後輩があちらへ居ます。話は通じますよ。」
話は通じる…うん。大丈夫か。
だけど…ここの人達は私の心を読んでいる様な発言をするから少し怖い。
ぐるぐる考えていると、咲蓏さんが話しかけて来た。
「じゃあ行きましょうか。」
「は、はい!」
そう言われてテーブルがあるところへ向かう。
すると、薄茶色のカーディガンを羽織った、茶髪で黒いカチューシャを付けたショートの小さい子が目の前に突進して来た。
「うおあっ…え?ん?」
「…?だあれ?」
…え?
知らない小さい子が急に突進して来たと思ったら誰って言われるし。倒れるし、え?とか言うよ!
すると、咲蓏さんが小さい子の背中をとんとんと押して話す。
「唯砂。この方はお客様。」
そう言われた小さい子はすぐに私から立ち上がり、ぺこぺこと頭を下げて謝った。
「え、あ、ごめんなさい!僕、知らずに突進してしまって…」
知らない人に突進する子が居るのか。…それ物破壊しないの?
「あ、大丈夫ですよ!」
そう私が言うと、小さい子は顔を上げて自己紹介をする。
「それなら良かったです。…そういやじこしょーかいしてない!するね!僕の名前は唯砂(ゆさ)!ここの運び担当だよ!」
めっっっちゃ明るい子だなぁ…私と大違い。
というか、私より小さい子なんて居るんだ…私、152だから…
「あ、よろしくお願いします…!」
「敬語じゃなくて大丈夫だよ!落ち着かないし…」
そう唯砂さんと話していると、咲蓏さんが呆れた様な顔をして唯砂さんに言う。
「唯砂…他のところの案内もしなくちゃいけないから、そろそろ話って終われない…?次のところに居るあの子、キレたら落ち着かすの私だし」
「あ、うん!終わるね!またね!おねーちゃ…お客様!」
ちょっと待って、お姉ちゃんって言いかけた?
どんだけ明るくて可愛くて良い子なの…(感動)
そう思って居ると、咲蓏さんに次の行く先を伝えられる。
「お次は…特訓場です。出来るだけ守るので、どこからも来る攻撃から逃げて下さい。」
「…え?」
コメント
1件
読み終わりました!第7話、すごく好きです。主人公の「名前聞いてなかった」「伝わってるよね?」みたいな不安とか、長い廊下で無言になる気まずさとか、そういう人の内面の描写が自然で、グッと引き込まれました。それに、唯砂ちゃんの突進シーン、可愛すぎて笑っちゃいました。「おねーちゃ…」って言いかけて慌てて言い直すところとか、もう天使すぎる……。最後の「特訓場」と「逃げて下さい」の不穏な空気も、続きが気になりすぎます。伏線や世界観の組み立てが丁寧で、読んでいてワクワクしました。