テラーノベル
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目が覚めて、自分の家じゃないことに気が付いた。
(あ、そういえば風磨君の家に来て…。)
ドラマの出番が終了したので”お疲れ様会”を共演した女優さんたちがしてくれた。少し飲んで解散になったが、結構早い時間だったから風磨君に連絡して、風磨君の家にお邪魔して…
「!?」
そこで一気に覚醒し、それと同時に昨夜のことを思い出して思わず叫びそうになった。しかしここは風磨君の家。これ以上の醜態は避けたいと叫びをぐっと飲みこむ。
そう言えば風磨君はまだ寝てるんだろうか?
上半身を起こし、ソファーに座りなおそうとすると
「え…。」
ソファーの足元に小さくなって眠る風磨君がいた。
何故家の主が床で寝てるんだろうか?
起こさないようにそっとソファーの上から寝顔を見る。
「かっこいい…。」
身長高くてかっこよくて頭よくて気遣いできて話も上手でドラマもバラエティも歌もダンスもなんでもできる。
僕とは住む世界違うくない?
例えばだけど、元貴だったら風磨君の隣に居ても違和感ないんじゃないかって思う。二人が主演した映画の関係で表紙を飾ったいくつもの雑誌。コンビニに行くとずらりと並んだそれらは、”こうあるべき”と僕に言ってるように見えていた。
「風磨君、元貴の方がお似合いなのにな…。」
思わず呟く。その瞬間
「嘘でしょ?!」
「!?」
風磨君と目が合った。
「あ。」
「…風磨君、起きてたの?」
「あー…はい。」
「なんで寝たふりしてたの?」
「いや、本当に今起きたんだよ?涼架さんが”かっこいい”って言ってくれたあたりで意識が浮上して、もっとなんか言ってくんないかなって様子見てたらさ…。」
僕が”元貴の方がお似合い”って言ったから驚いたってわけね。
「涼架さんさぁ…。」
起き上がった風磨君は、ため息をつく。
「俺がどれだけ涼架さん好きかまだ気づいてないわけ?俺は涼架さんが大好きなんだよ。涼架さんだから大好きなんだよ。」
真っすぐに見つめて、真っすぐな言葉を言ってくれる。それが僕はたまらなく嬉しい。だから僕もちゃんと気持ちを伝えよう。
「僕も風磨君大好き。」
「本当?」
「本当だよ!」
「じゃあ今日も泊って行って。」
「え…。」
「あ、今変なこと考えたでしょ。やらしー。」
「….。」
「すみません調子に乗りました。」
「した。」
「え?」
「だって好きな人の家にお泊りするんだもん///」
恥ずかしくて思わず両手で顔を隠す。すると”ゴン!”という大きな音がした。見ると、風磨君が土下座をするように頭を床につけていた。
「風磨君?」
「無理ぃー!!仕事行きたくなーーい!!」
「風磨君今日仕事なんだ?」
「昼に雑誌一本だけだから!ちょっぱやで終わらせてくるからここに居て!そしたら明日の夜まで仕事ないから!!」
「ううん。風磨君がいない間一度家に帰るよ。」
「えー…。着替えとかお泊りセットとかうちにあるじゃん…。」
「昨日ドラマ撮影だけだったから、音楽関係の仕事用タブレットとか家にあるんだよね。一応確認してメッセージとか来てたら返信しないといけないし。」
「わかった…。」
「風磨君の終わりに待ち合わせしてどこかでご飯食べよう。」
「涼架さん何か食べたいものある?撮影終了のお祝いに俺が奢るよ。」
「えー今を時めくアイドル様が奢ってくれるの?めっちゃ高いやつにしようかなぁ。」
「ふふ、何でもいいよ。考えといて。」
風磨君が家を出るタイミングで一緒に出る。
「涼架さん、終わったら連絡するね。」
「分かった。」
風磨君と別れて一度自分の家に戻った。
一通り確認作業を終え、風磨君が言ってた終了時間に合わせて家を出る。そろそろ連絡来るかな?と思っていると風磨君からメッセージが来た。
ー『本当にごめん!もう一本雑誌の仕事が入った…(´;ω;`)』
残念だけど、仕事ならしょうがない。
ー『大丈夫だよ。先に家に行ってるね。』
ー『なんか美味しいものでも買って帰ります。リクエストあればメッセージしておいて』
ふふ。なんか奥さん怒らせた旦那さんみたいなメッセージだな。
ー『僕が買って行くから大丈夫だよ。お仕事頑張ってね』
すると、ハートの背景に口元を手で隠した風磨君のスタンプが送られてきた。
とりあえず風磨君が好きそうなものを買って、貰ってた合い鍵で風磨君の家に入る。台所で買ってきたものを冷蔵庫に入れていると、リビングのソファーが目に入り昨日のことを思い出す。
(今思うと一人でやってるの見せてって超変態じゃん…。)
顔が熱くなり自分の言動に頭を抱えたくなる。しかも風磨君はちゃんとやってくれたのに、僕はできなくて結局風磨君の優しさに甘えて…。
(情けない…。)
僕を傷つけないようにと優しく解してくれて、でも激しく求めてくれて。汗で額に張り付いた前髪を掻き揚げる姿はめちゃくちゃかっこよかった。
「…..。」
昨日したばかりなのに下半身に熱が集まる。
「….風磨君、まだ帰って来ないよね…。」
風磨君のベッドに横になる。
「…風磨君の匂い…。」
でも何か物足りない。あたりを見渡すと、今朝着ていたパーカーが置かれていた。ちょっとドキドキするけど、服を脱いでそれを着てみる。より強く風磨君の匂いがした。風磨君はパーカーはオーバーサイズを着るから僕でもゆったり着られて、ズボンを脱いだらミニスカートみたい。
ローションを指に付け、後ろに宛がう。昨日、風磨君がしてくれたみたいに入れていく。
「んっ…。」
流石に昨日したから指は入りやすかった。しかしいつも風磨君がしてくれて気持ちよくなるところを同じようにやってもなかなかうまくいかない。
「なんでぇ …。」
角度変えても、指を増やしても、風磨君がやってくれるみたいに感じることができなかった。風磨君の匂いに包まれている中、体は切なくて涙が滲む。
「ふーま、くん…。」
早く帰って来て…。
「ただいまー!!」
「?!」
扉の向こうから風磨君の声が聞こえてきた。
「涼架さーん?」
リビングの方へ行ってしまった。慌てて僕は布団をかぶる。いや、服着替えた方がいいのか?!そうこうしてるうち、寝室の扉が開いた。
「涼架さん、寝てる?」
どうしよう。今の僕、かなり変態だよね…。いくら風磨君でもドン引きして「無理」ってなっちゃうかも…。そんなことを想像してしまい、鼻の奥がツンとして思わずグスっと鼻を啜ってしまった。
「え?涼架さん泣いてる?!」
慌てた様子で駆け寄って来た風磨君。
「涼架さん?大丈夫?何があったの?なんで布団被ってるの?」
「な、なんでもないよ!すぐに行くからリビングに行ってて。」
「…分かった。」
風磨君の気配が遠ざかり、扉が閉まる音がした。
行った?足音がしてるか聞くために布団を少しめくると
”バサッ!!”
文字通り布団が吹っ飛んだ。
「涼架さ……んんん!!??」
風磨君が布団をはぎ取ったようで、現れた僕の姿を見て目を丸くし固まった。
「あ、あの、これは、そのっ…。」
足を隠すためパーカーの裾を伸ばそうとしたが、これ風磨君のだ。人のものをぞんざいに扱うわけにはいかないので正座することで何とか隠そうと試みる。すると、風磨君がベッドに乗ってきた。
「ねぇ、涼架さん。こんな格好で何してたの…?」
パーカーの裾から差し入れた手で太ももを撫でられる。
「んっ…。ちょ、風磨君…。」
「俺のベッドで、俺の服着て、こんなエッチな格好して…。何してたか言って。」
目の前まで迫った風磨君は、昨日前髪を掻き揚げた時と同じ瞳をしていた。
「ふーま、くんのこと、考えながら、自分で後ろ、弄ってた…。」
恥ずかしいのと、風磨君に呆れられただろうとの思いから、涙が溢れて止まらない。
「ごめ、ふーまく、ごめん…。」
終わりは突然やって来るっていうけど、本当に突然だった…。
「何で謝んの?」
「え?」
見ると、風磨君は優しく笑っていた。
「むしろ寂しい思いさせてごめんね。すぐ帰って来るって言ったのに。本当にごめん!」
抱きしめられて、安心してさらに涙が溢れる。
「ぼ、ぼくの、こと嫌いになったり、してない?」
「え?!してないよ!するわけないじゃん。」
「だって、風磨君の服で…。」
「涼架さんならいいよ。好きに使っちゃって。」
「呆れて、ない?」
「ないない。」
「僕、一人でしてたの、引かない?」
「じゃあ聞くけど、昨日俺が一人でして引いた?」
「あ…。」
「二回目は涼架さんが見たいって言ったからだけど、涼架さんが起きてきた時俺一人でしようとしてたんだよ?引いた?」
そう言えばそうだった。
「引いてはないけど…。」
「でしょ?」
「でも、寂しかった…。僕がいるのに、って…。」
「流石に寝込み襲うのはねぇ。嫌われたくないし。」
「嫌いになんてなるわけない!!」
思わず声を大きくして言うと
「ふはっ。俺もだよ。」
笑った風磨君は、本当にかっこよかった。
「涼架さん、自分で後ろ弄ってたんだよね?」
「う、うん…。風磨君がしてくれるみたいにうまくいかなかったけど…。」
ベッドに横になった僕の足の間に座り、風磨君は僕の片足を肩に担ぐ。そして
「痛かったら言ってね。」
風磨君のものが入って来た。しっかり硬度があったけれど、解していたからかすんなり入っていく。
「すげぇ…。全部入った。」
上から風磨君の声が聞こえてきて、なんだか恥ずかしくなった。
「動くよ。」
「う、うん。」
ゆっくりとした動作から始まった律動。お腹側を擦られる度に、体がビクビクと跳ねてしまう。自分の指でやった時は全然だったのに、何が違うんだろう?
風磨君だからかな…?
「なんか随分余裕そうだね、涼架さん。」
風磨君はニヤッと笑った。次の瞬間、ギリギリまで抜いていたものを一気に奥まで突き入れられた。
「うぁっ!」
下半身に集中していた熱が全体に広がっていくような感覚がした。僕のからドロッとしたものが溢れてくる。
「イッたばっかのとこ申し訳ないけど、休んでる暇ないから。」
「え…。」
風磨君は激しく腰を動かし始める。
「んぁっ、は、あぁ、ん!」
声が抑えられない。繋がった部分が粘質ないやらしい音を立てて、肉のぶつかる音と混じる。突き立てられるたびに体が上にずれそうになるけど、足を掴かまれているからすぐに引き戻される。
「涼架さん…、涼架さん…。」
何度も名前を呼ばれ、その度に確かめるように奥を抉られる。
「ひっ、そこ、いいっ、い、あっ!」
ビクビクと背中を逸らせ、二度目の欲を吐き出す。必然的に風磨君を締め付け、それを押し広げる様にして更に風磨君の動きが激しくなる。
何度目かの射精感が高ぶった時
「俺も、イく。」
ポツリと風磨君が呟いた。見上げると目が合い、風磨君はにっこりとほほ笑んだ。
「愛してる。」
アイドルスマイルとはまた違う、キラキラエフェクト付きの眩しい笑顔で言われた。
終わった後の独特の甘い余韻を感じていると、横に倒れこんでいた風磨君がこちらを向いた。
「涼架さん….。」
「なに…?」
「すっげぇよかった。」
軽くキスをされ、甘い雰囲気にムズムズする。
「ごめんね。パーカー汚しちゃって…。」
「洗濯すれば大丈夫だよ。なんたって俺洗濯大名だし。」
「ふふふ。そうだったね。」
「だからさ。」
風磨君はにっこりと笑った。
「次は彼シャツでしない?」
「え。」
【終】
コメント
6件
彼シャツ🤭💕 この💜💛がすごい好き過ぎて、沢山読めて幸せでした~🫶
ふはぁぁぁ きゃわぁ 涼ちゃんかわいい
んんんん……!(尊さが言葉にならない) さいっっっこうです!!