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夏の終わり、蝉の声が遠くなってきたある夜。
私は久しぶりに、朝光と再会した。
「お前、ほんま変わらんなぁ。…ちょっと可愛なってるけど」
笑いながらそう言った彼は、テレビで見るよりもずっと近くて、眩しくて、懐かしかった。
幼なじみ。それ以上でも以下でもない関係。
そう信じてたのに――。
「朝光、酔ってるでしょ」
私がそう聞くと、彼は
「酔ってへん。ちょっとテンション高いだけや」
彼の部屋。ソファの隣。二人分の缶チューハイ。
いつもなら終電で帰る私が、今日はなぜか帰らなかった。
「…お前、彼氏おらんの?」
唐突な質問に、一瞬、言葉を失う。
「…いないよ。別れた、最近」
「へぇ。そっか。…じゃあ、ええやんな」
「え?」
「――今日ぐらい、甘えても」
彼の手が、そっと私の頬に触れた。懐かしい匂い。幼い頃、何気なく手をつないで歩いた帰り道の記憶が、ふいに蘇る。
「…朝光、あんた、ほんとずるいよね」
「それ、よく言われるわ」
笑ってるけど、目は少し寂しそうだった。
気づいたら、唇が重なってた。何度も離れて、また触れて。
「お前、めっちゃ可愛い。…昔から、ほんま、ずっと好きやったんやで」
そんな言葉、どうして今言うの。
テレビの中の朝光じゃなくて、目の前の彼が言うそれは、あまりにもリアルで、ずるい。
その夜、私は朝光に抱かれた。
痛みも、温もりも、夢みたいだった。
朝になって、彼のベッドの中で目が覚めたとき、朝光はすでに着替えていた。
「仕事やねん、今日は。ほら、ゆっくりしてってもええけど、鍵閉めて出てな」
「……うん」
「昨日のこと、後悔してへんよな?」
「…わかんない。たぶん、してる」
「そっか。俺は――してへんけどな」
そう言って、彼はいつもの笑顔で手を振った。
それっきり、私たちはまた「幼なじみ」に戻った。
でも、あの夜から何かが確実に変わった。
私はきっと、まだ彼のことが――。
最後まで完成してるので
好評だったら続き載せます✨️
♡→200