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16

 

 戦闘は、苛烈を極めた。阿鼻叫喚の地獄の中で、黒服たちは無尽蔵に突き、殴り、跳ね、走り、去なし、打ち、避け、押さえ、回り、投げ、蹴り続けた。

 何の格闘技も感じさせない動きに、人々は次々と倒れていく。だが黒服たちは、ほぼ全員が健在だった。

 シルバはずっと、ジュリアの昏倒後に乱入した場所で戦った。二人の仲間との共闘だったが終始、押されがちで、意識は朦朧としていった。

 どれほど経っただろうか、爆速ダッシュの後に黒服は右足で跳んだ。左脚を直角に上げてぐるぐると回りながら、シルバの仲間の青年に向かっていく。

 疲労困憊の青年は、一歩も動けずキックを食らった。受け身も全く取れずに、ごろごろと真横へすっ飛んでいく。

(……! 何だ、そりゃあ! でたらめにもほどがあんだろ!)

 シルバが戦慄していると、すたっと着地した黒服たちの胸の球が赤く明滅を始めた。ピコン、ピコンと、規則的な高音までしていた。

 点滅開始からも、交戦は続いた。黒服たちの戦法はいよいよ滅茶苦茶で、スキップのような動きまで交えてきていた。

 一分ほどが経ち、黒服たちはすっと構えを解いた。

 両手を後ろに振って膝を曲げると、大きく跳躍。流星のような勢いで、バシュウ! 遥か空へと飛び去って行った。

 四方八方で、黒服たちの飛翔が続いていた。辺りは一瞬で静かになった。

 しかし誰一人として歓声を、上げる者はいなかった。果てしない疲弊感と唐突な大襲撃の混乱とが、国中を包んでいた。

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