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onkn / nksr
謎のエンドレスnksr。
いつか…kymさんも…出すんだ…
運命の赤い糸のお話。
運命の赤い糸で繋がってるイラストが流れてきてふと思いつきました。
今回ちゃんとした恋愛です。
付き合う前のお話。両片思い。
途中喧嘩シーンがあります。
ですがハピエンなので、良ければ。
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「ねね、ボビー?」
「なんや、どした?」
ある日discordで作業していた時。
名前を呼ばれてキーボードを打つ手を止めた。
「運命の赤い糸ってさあ、なんで見えないの?」
「…は?」
「…ひ?」
「え、なんや恋でもしてんのか?」
「んー?さあねえ…んで、なんで?」
「えー…」
考えたことも無い質問が飛んできた。
てっきり編集に使うものとか。もっと現実的なものかと思ったら、想像の斜め上を飛んできやがった。
「赤い糸が見えたら目の前ぐちゃぐちゃなるから…とか?」
ぱっと出せるものはこれくらいだった。
「おー、ボビーらしいね…」
「なんや…なんか企んでんのか?」
「いやあ?なんかロマンティックな事言ったらいじってやろうと思って。」
へへ、と軽く笑う。
とんでもないことしようとしてんな。
「最悪やなお前」
「ふふ、笑」
ちょっと期待したんだけどな。
「じゃあそう言うニキさんはなんだと思いで?」
「ん?見えない理由?」
「そそ」
「んー…」
イジる前提だとしてもちょっとは考えとけよ。
数秒経って。
「あー、ヤクザに切り落とされたら大変だから?」
「…こっわ」
なんで運命ある人がヤクザに小指切り落とされる前提なんだ。怖すぎだろ。
「いや、そんなにガチトーンで引かなくても…冗談だよ、冗談。」
「冗談にしてはデカすぎだろ…」
確かに、とお互いに笑って。
また作業に戻る。
彼は集中してるのか、カタカタとキーボードの音と、マウスのクリック音のみが響く。
俺も集中しなくちゃとはわかってるものの、さっきの質問が頭から離れない。
イジる前提だったと聞いてもまだ期待してる自分がいる。
馬鹿らしくて笑えた。
最初は当たり前だがお互い距離があったのに。
今となれば二人きりでもdiscordに入るという程の距離感だ。
赤い糸。
それが思考を揺らがせて。
自分の小指を眺める。
もし見えていたら?
彼と繋がってたかもしれない。
繋がってなくても、他人との糸を切れたかもしれない。
まて、それは最低か。
でも俺ならきっとそうするだろう。
じゃないと気が狂ってしまう。
それほど大好きだ。
そもそも運命なら、男女になるのか。
運命の赤い糸が見えないのは、
争いを無くす為?
お互い動画を出し終わったちょっとした記念というか、休暇…ということで久々に二人で泊まりに来た。
「わあ”ー!!布団だー!!」
観光地を二人でまわって、飯や風呂を終えた後。疲れ切った身体を今すぐにでも休めようとニキが布団に倒れ込んだ。
「…息詰まるぞー、」
布団にうつ伏せで飛びごんだからか、声が籠ってる。楽しそうでなによりだ。
緊急事態。
ベッドが一つしかない。床で寝ろと。
「っはあ…ふー、…」
うつ伏せで暴れ回ったからだろう。息が上がっている。
「ボビー、」
「ん?」
ニキは黙ったまま自分が寝転んでるベッドを軽く叩いた。
「ん…?」
「え?」
何も理解ができなくて思わず声が出る。
理解のできてない俺にニキは理解ができないようで互いに困惑状態だ。
「ん!」
ニキはベッドを叩いた後、その場を指を指した。
だからわからないって。
「えー…と、ん…?」
首を傾げることしか出来ない。
ニキはジト目でこちらを黙って見ている。
その時。
「っ、うおっ!?」
いつの間にかニキが隣にいて。手を引かれてベッドに放り投げられた。
「え、え?…え?」
「もー、察し悪いなあ、笑」
「え…ああ…そういうこと?」
「そうだよ!一回で来いよ!」
どうやら一緒に寝ようと、伝えてくれていたようだった。
「ごめんごめん、疲れ果てて気でも狂ったかと思ったわ。」
「さいてー…だからモテねえんだよ!」
「なんで殴られてるん今俺。」
「はは、笑」
楽しそうに笑う。
この時間が続けばいいのに。
「てか、寝るんだったらそのまま言えばよかったやんか。なんで無言なん?」
「へへ、内緒」
何か企んでるような顔で笑った。
「まあええけど。電気消すぞー」
「ういー…」
「ねね、ボビー?」
今日一日からかわれたんだ。あとから驚かそう。
そう思って狸寝入りをした。
「ねー…」
段々と元気がなくなった声になる。
面白い。
「…、すきだよ…、」
…?、す…?今なんて。
え、今すきって。空耳か?うん。
もう寝よう疲れてる。
「ねーってば…、」
えこいつ本気?マジで?
「…っ、くく、…っ、笑」
ちょっと期待した熱が急激に冷める。
こいつ…笑ってんな?
「ねえボビー、起きてるでしょ?」
「…っ、なんでわかったんや」
「見てりゃわかるよー、笑」
「じゃあなんなんさっきのあれは…」
「ん?寝てる時に不意打ち食らったらボビーどんな反応するのかなーって、笑」
「すきだよって言った瞬間、身体が軽く跳ねたの、面白かったなあ…笑」
「とんだ悪趣味やな…お前」
「へへ、まあ僕本当に好きな人に寝てる最中告白なんてしないし…」
「っ…そうか…、」
なんだよ…ほんと、自分が馬鹿みたい。
「はよ寝ろ明日も早いんやから」
泣きかけたのを隠そうとそっぽを向いて早く寝るよう言った。
「はいはい、おやすみ」
「ん…」
わかってる。
わかってるはずなんだけど。
まだ確信は無いと言い聞かせながら寝た。
運命の赤い糸が見えないのは、
現実で生きていく為?
「…、」
旅行が終わって、タクシーで互いの最寄りまで送って貰っている最中。
「ねえボビー?」
よう名前呼ぶな…こいつ。
「ん?なんや。」
「このままボビーの家行っちゃだめ?」
「…だめって言ったらどうするん」
「ん?着いてくよ?」
「なんで聞いたん…」
「へへ、んで、だめ?」
「まあええけど。何するん?」
「ふふ、やりたいことあるの」
「…あんまり散らかすなよ」
「はーい!」
やりたいこと?俺の家で?
またドッキリか?
色々な不安を抱きつつ、タクシーの揺れに身を任せた。
「ありがとうございましたー…」
料金を払ってタクシーを降りた。
結局家に来ると言うので最寄りではなく家前で降ろしてもらった。
空を見上げると青色が赤色にまで変わっていた。鴉が鳴いている。
「ボビー!!早く玄関開けてー!!」
「人遣いが荒いなあ…」
ここ俺の家なんだけど。
「ん!ありがとう!」
お邪魔します、と丁寧に靴を揃えて家に入った。
なんでそこだけ丁寧なんだ 。
そういうところも愛おしいと、気を許してしまった。
「急に家なんてどしたん?やりたいことって?」
「へへ、えーっと、」
風呂に入ってたら俺も入るー!とかほざくもんだから一緒に入ってさっさと出てきて。
ドライヤーも色々して
やった後、ベッドで話を聞くことにした。
俺はこいつのおかんかなんかか。
「相談乗って欲しくてさ…」
「相談?なんの?」
「…恋愛の、」
うわー…こんな小説みたいなことまじであるんやな。
好きな奴に恋愛相談される…ってやつ。
もし作り話なら報われただろうか。
「お、おう。ええよ、」
大丈夫か。途中で泣き出してしまうかもしれない。
こいつの話を最後まで聞けるか不安になってしまう。
「ん、さすが。ありがと」
「ーーで…」
三十分。話を聞いてから三十分経っている。体感はもう六時間くらいだ。
話を聞くと、
素直じゃないけど寂しがり屋なところ、
甘え下手なところ、あとは容姿の話とか。
好きなところを永遠と話している。
これって相談か?そろそろ限界なんやけど。今にでも泣きそうだ。
「あとはね…少し寂しそうな顔するところも好きかなあ…」
なんなん。勝ち目なんてどこにもないやん。なんや寂しそうな顔すら好きってそれってもう洗脳じゃんか。
「っ…そうか…」
「まあ他にもいっぱいあるけど…とりあえずここで」
三十分話されたのにまだあるとかどうなってんだよイカれてんのか。
次声を出したらきっと泣いてしまう。
無言でニキの言葉に頷いた。
「それでね、一番聞いて欲しいことが…」
嘘だろ。終わりじゃないのか。
もう解放してくれよ。
「っ…おう、」
なんとかの思いで声を出す。察せられたら困るから。
「…ボビー?、こっち見て?」
「…は、はあ?なんでだよ…」
向けるわけない。もう涙目だから。
片手を頬に添えられて流されるままニキと目を合わす。
「…え、なんで泣い…、て、…?」
「別に、泣いて…、早く話せよ…、っ…」
まずい。
このままじゃ話すことも間にならない。
聞いて欲しいのなら早く話して欲しい。
聞ける勇気はないけど。
「っ、…でもこんな状況で、…」
「早く話せって!!!!」
声を荒らげた。視界は滲んでいるけど、彼が凄く驚いてるのは理解出来た。
「っ…え、ごめ…」
「お前の事…ずっと好きやったのに。」
もう戻れない。ならこいつにトラウマでも植え付けてやる。
期待はもうできないだろうだから。
ニキの喉元に手を伸ばしたその瞬間。
「ぐ…っ、う”…、っ…!?」
強く。強く強く強く、力強く。
抱きしめられた。
その暖かさに涙が溢れかえった。
「なんで…なんや今更…、なん…、」
「ねえ。」
急に耳元に入った低音に言葉が止まる。
力の入りすぎだろうか。ニキの手が震えている。
「…、」
「なんか…いえよ…っ…、」
寂しさと湧き上がった嫉妬をぶつけるようにニキと同じくらい強く抱きしめ返した。
「僕のこと…好きなの?」
「…だったらなんだよ…、」
「じゃあ好きなの?」
「…おん…大好き…やったよ…」
「…今は?」
今は。って。もう諦めようとしてるのに。
これ以上揺さぶらないでくれ…、
「好き…けど、もう諦めるから…だから、」
「ふふ、っ…」
「…あ?」
なんで笑ってるん。なんで。
そんなにこいつってクズだったっけ。
もう何も信用できなくなってる自分に嫌気がした。
「…僕も大好きだよ。」
「…え、…?」
身体が離され、目が合う。
滲んでいた視界は涙が流れた直後だったからハッキリとしていた。
彼が、泣いていた。
優しい顔で。笑いながら。
「ボビー、」
「っ…、え、 」
頭が上手く回らない。
「…、大好き。」
無意識の涙が、繋がってる互いの手に落ちた。
彼は俺から目を離そうとはしない。
俺は泣いている相手の目から離せずに、まるで意思もなしに引き込まれた様だった。
「…付き合って下さい。」
頭の中に日本語が並んで文章になる。
付き合って下さいと。言われた。
ずっと聞きたかった言葉。
この声で、ずっと聞きたかった。
叶うはずの無い願望が叶って。
もう掠れきった声だけど。なんとかの思いで。
「…、よろしくお願いします…、っ…」
そう声に出した瞬間、また強く抱きしめられた。
「…、た、良かった…、」
ニキが弱々しい声で喜んだ。
きっとまた泣いているんだろう。
俺は泣いて何も言えずにただ、強く抱きしめ返した。
そんな彼とも月日が経って。
ある日付き合ったきっかけ…
この日の話をされた。
本気でどうしようか悩んだとか、
旅行の時恥ずかしくてドッキリってことにしたってこととか、
綺麗な場所じゃなくて、一緒にいた時間が一番長い俺の家で告白したかったとか。
三十分で終わらせず、何時間も好きなところ言ってやろうとしたとか。
意識させたくて赤い糸の話をしたとか。
運命の赤い糸が見えないのは、
運命の赤い糸が無いのは。
“運命”で終わらせないようにする
為だった…のかもしれない。