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警報音が鳴り続ける。
赤い光が空間全体を染めていた。
巨大な制御装置。
その前に立つ白衣の男。
そして──
並ぶ五人。
一度壊れたはずの形。
それでも、今またここにあった。
「……泣きそう」
コンタミがぼそっと言う。
「うるせぇ」
きょーさんが即座に返す。
でもその声は少しだけ軽かった。
レウが小さく目を伏せる。
「……ごめん」
らっだぁが言う。
「謝るのは後だ」
短い言葉。
「今は終わらせる」
レウが顔を上げた。
その目に迷いはもうなかった。
白衣の男が静かに口を開く。
「感情的な再結成だな」
淡々とした声。
「だが意味はない」
装置が起動する。
低い振動。
床が揺れる。
『最終選別システム起動』
『生存枠 一名』
その表示が空中に赤く浮かび上がる。
「……まだ言ってんのかよ」
きょーさんが拳を鳴らす。
男は続ける。
「この施設の中核は“競争”だ」
「能力は極限状態で進化する」
「仲間意識、友情、信頼」
「すべて不要なノイズだ」
その言葉に全員の表情が変わる。
俺は前に出た。
「じゃあ証明する」
「その理論が間違ってるって」
男は興味なさそうに目を細めた。
「試してみろ」
次の瞬間──
壁が開いた。
無数の機械兵器。
銃口がこちらへ向く。
「うわ、ベタだな!」
コンタミが叫ぶ。
「来るぞ!」
らっだぁの声と同時に一斉射撃。
火花。轟音。
きょーさんが前に飛び出す。
「邪魔ァ!!」
拳が装甲を砕く。
一機、二機、まとめて吹き飛ぶ。
「相変わらず雑だな」
レウが呟く。
その目が光る。
幻覚が広がる。
機械兵器同士が互いを敵と認識し撃ち合い始めた。
「ナイス!」
コンタミが走る。
撃たれた腕が裂ける。
だが、次の瞬間には再生していた。
「俺が囮やる!」
銃火を引きつけながら笑う。
らっだぁが手を上げる。
時間が、わずかに遅くなる。
弾道が見える。
「今だ!」
その声で、俺は装置側へ走った。
制御盤に手を触れる。
操作能力が流れ込む。
「……ロック、硬っ」
防壁が何重にも張られている。
「まだいける!?」
らっだぁが叫ぶ。
「数秒なら!」
時間がさらに歪む。
世界が鈍くなる。
その隙に俺は防壁を書き換える。
一枚、二枚、三枚──
「開いた!」
だがその瞬間白衣の男が初めて動いた。
「遅い」
男の足元から電流が走る。
俺の体が吹き飛んだ。
「っ!!」
床に叩きつけられる。
「おい!」
きょーさんが振り向く。
男は淡々と言った。
「私も被験体の成果だ」
腕に埋め込まれた装置が光る。
「君たちの失敗作とは違う」
レウの目が揺れる。
「……俺たちは、失敗作?」
男は頷く。
「だから最後の一人だけ残す」
「最も優れた個体だけを選ぶために」
その時レウが前に出た。
「……違う」
男を見る。
「失敗したのは、あんただ」
幻覚が一気に広がる。
男の周囲の景色が崩れた。
男が初めて眉をひそめる。
「くだらん」
電流が放たれる。
だが、コンタミが飛び込み受け止める。
「ぐっ……!」
焼けた皮膚がすぐ再生していく。
「無茶しないで!」
俺が叫ぶ。
コンタミは笑った。
「俺の役目だろ?」
その時警報音が変わった。
『生存枠調整システム異常』
『候補者数 五名』
『一名へ削減を開始します』
床が割れる。天井が下がる。壁が迫る。
施設そのものが、五人を殺しに来ていた。
「っ、強制的に減らす気か!」
らっだぁが叫ぶ。
男は静かに笑う。
「選ばぬなら、こちらが選ぶ」
らっだぁが歯を食いしばる。
「……またか」
過去の崩壊が脳裏をよぎる。
でも、今は違う。
きょーが肩を叩いた。
「一人で抱えるな」
レウが言う。
「……五人で壊す」
コンタミが笑う。
「それ、俺らの得意分野だろ」
俺も立ち上がる。
「やるぞ」
らっだぁが前を見る。
そして、静かに頷いた。
「……今度こそ」
時間が揺れる。
装置が唸る。
世界が軋む。
五人は同時に走り出した。
崩れる施設の中心へ。
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