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「……私は……」
山下さんが言いかけて、やめた。
視線を落として、迷ってる。
少しの間沈黙があったけど、でも心が決まったのか、また、口を開いた。
「私は__失恋したの」
「失恋 」
この美しい山下さんが。こんな人を振る人もいるんだなあと私は変なところで感心した。
「私……。小笠原先輩と付き合ってたの」
びっくりな名前が出てきた。私は驚いて、きき返した。
「小笠原先輩って……あの、小笠原先輩!?バスケ部の」
「そう」
小笠原先輩のことは私も知ってる。
ていうかこの学校の有名人だ。
イケメンで背が高くてスポーツ万能で成績優秀で明るくて人望があって。非の打ちどころがないような人。アイドル的存在で、多くの女の子が心をときめかせる、その小笠原先輩と、山下さんが__付き合ってた!?
どすんと、衝撃が私の胸にやってきた。
付き合ってたのか……そうか二人はラブラブだったのか……。
……実を言うと私も小笠原先輩がちょっと好……いや、好きってのとは違うかもだけど!
好きっていうか憧れだけど!そうただの憧れ!
ひょっとして、私も失恋したんじゃない?って気持ちが押し寄せてきたのだ。
でも、でも違うから!
これはただの憧れで恋じゃないから!
だから失恋じゃない!
ノーカン!!
やたらビックリマークで溢れる心情を押し殺して、私は可能な限り平静を装った。
山下さんは、もちろん、こっちよ気持ちには気づいてないみたいだった。