テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
どもども、作者の白猫ヤマトです
皆さん体調いかがですか?
作者の周りではかなりの人数が体調崩してて大変そうです。
作者は疲労を除きピンピンしてますが
さて今回は初めての日常編という事でね!
これからこう言うお話もちょくちょく書いていって、時々前みたいな登場人物の過去とかも書けたらなと思います。
では、どうぞ……
【おやすみ】
ヤバシティは眠る事のない街だ。
昼も夜も、街中の灯りが途絶えることは無い
ただ、流石に朝へと差しかかる頃には街も静かになり始める。
午前四時を回った頃には裏町の周辺以外は静まり返り、夜を感じさせるのだ。
この街で、最も静寂に満ちる時間
俺ことウツは悩んでいた。
理由は単純だ
「…寝れねぇ」
そう
眠れないのだ。
不眠症はいつものことだが、薬まで飲んでも眠れないなんてなかなか無いのに…
「あ“〜…もう四時回ったぁ…エグいて…今日一限からなんやけど」
自室のベットでゴロゴロと寝返りを打ち続けても、一向に睡魔くんは顔を出さない
授業中は無理矢理俺の脳みそに上がり込んでくる癖に…!
「はぁ…しゃあない、諦めてコーヒーでも淹れるか」
そう呟き、睡眠不足で重たい身体を起こしてリビングへと向かった。
かちゃり…他の家族を起こさない様に、できるだけ音を立てずリビングの扉を開けると、思ってもいなかった光景に目を見開いた。
「え?」
「おう、おはよぉウツ…」
「……ぅ…す…」
「いやいやいや、なんでお前らまで起きてんねん」
何故か弟のシャオロンとショッピがリビングに集まっていたのだ。
俺は年中不眠症の徹夜常習犯だが、
シャオロンは昔から凄まじく寝付きが良く、夜更かしができない体質だし
ショッピに至っては睡眠を何よりの娯楽と豪語する程の睡眠愛好家だ
そんな二人がこんな時間まで起きている事なんてまず無い。
「寝られんかってん。俺は一時間前くらいに降りて来たんや」
「…ワイは多分十五分くらい前っす……」
「はぁ…?なんでまた…」
「「知るかよ」」
眠れなかったが為に二人共機嫌が悪いらしい
三人揃って睡眠不足とは、似てない癖して変なところで兄弟らしい。
眠れないまましばらく三人で駄弁っていれば、ガチャリとまたリビングの扉が開いた
「あれ、もうみんな起きてたん?」
「父ちゃん!?」
「あぇ?父さん?」
「親父…おはよ」
「おはよぉ」
いつもはきっちりセットされている髪の毛も崩れ、あまり見る事のない寝巻き姿のエーミールが居た
少しだけ服がはだけ、鎖骨が覗く様相に思わず視線を泳がせてしまうが、クソ鈍感な我が父にはバレる事は無いだろう。
「父さんえらい早いやん、まだ5時前やで?何かあんの?」
「うん、ちょっとね。別の街のお偉いさん達と会議あるから、通訳で同行するから」
「なるほど」
父は忙しい人だ
市長秘書という立場で、なおかつ仕事が出来過ぎる為に沢山の仕事が回ってくる
お人好しな性格のせいで断らないし、真面目なので絶対に期限内に仕事を終わらせる
言ってしまえばかなり損な役回りだが、本人がその事に不満を持っていないからとやかく言う事も出来ない
ねこひよこ市長も声をかけてはいるらしいのだが、この頑固親父は困り顔でのらりくらり躱すだけだと言う。
エーミールの体が心配だと言う事もあるが…
羞恥を投げ捨てて言えば寂しいのだ
俺は、俺達はエーミールに育てられたのだから。
「…ふぁ……ん“〜…」
「それにしても、みんな珍しく早起きやね」
「あ〜、ちゃうねん…寝てへんねん俺ら」
「えっ!?嘘ぉ」
「マジす」
エーミールもシャオロンとショッピが眠れなかったことが信じられないらしい
まぁ…そうだよな
入眠まで10秒かからない奴と、半日以上ぶっ続けで寝られる奴が眠れなかっただなんてそうそう納得出来ないだろう。
正直俺もまだ疑ってる。
「え〜…あかんよぉ?ちゃんと寝ぇへんと」
「寝たいのは山々なんすけど…」
「死ぬ程眠いけど寝れへんねん…」
「今日大学やから仮眠くらいしたかってんけど…」
「う〜ん…」
しばらく何かを考えるような素振りをしていたエーミールは、あっと何かを思い出したかの様に顔を上げ、「ちょっと待っといて」と言い残してリビングから出て行った。
扉が閉まった瞬間、ショッピが「…えっろ」と呟き、シャオロンがそれを思い切り引っ叩いた。ナイス
間も無く、エーミールが腕一杯にブランケットを抱えてリビングに戻ってきた。
「ふぅ…ほら、三人共、こっちおいで?」
カーペットの方にブランケッとを置き、ちょいちょいと手招きされる
クエスチョンマークを浮かべながら、三人共大人しくエーミールの元へ向かった。
「はい、取り敢えず横なって」
「え…あ、うん」
ゴロンと適当に寝転ぶと、ふわりとブランケットをかけられる。
手触りが良くて暖かい
弟達も同じ状況らしい
エーミールが徐に座り込んで、順番にポンポンと優しく胸を叩き、頭を撫でてきた。
「ちょっ⁉︎親父⁉︎」
「うん?」
「いや「うん?」じゃなくて」
「あ〜…あったか……ふぁ…」
「…とおさん……あたま…もっと…」
「なんでお前らそんな受け入れ早いねん!」
さっきまで眠れないと散々騒いでいた癖に、もう既に微睡始めている弟達に思わずツッコむ
ふと、エーミールと目が合った
普段はメガネで隠れている瞳につい見惚れてしまう。
コーヒーのようなブラウンと、神秘的な銀色に
まるで射抜かれたかのような感覚に陥る。
「どうしたんウツ、いややった?」
そう言い、困った様な笑みを浮かべるエーミールに少しだけたじろぐ。
やめてくれよ
俺はその顔に弱いんや
「い、やや…ないけどぉ…」
「良かった。じゃあいいやん、たまにくらい」
いつの間にか両側から寝息が聞こえている
二人はもう眠ってしまったらしい。
さらさらと髪を凪ぐ手に安心してしまう。
昔はあんなに『大人の手』が怖かったのに
「懐かしいなぁ、昔はようみんなで寝てたなぁ…トントンも一緒にさ」
「もう子供じゃないねんけど…」
「いやぁ、まだまだ子供やって」
顔を綻ばせ、目を細めるエーミールに複雑な気持ちになる
こんなにも愛おしいのに、好きなのに
エーミールの中で、俺は息子で
ずっと、子供のままで
どうしようもない虚しさを誤魔化す様に目を瞑って、ブランケットに包まった。
さらさら
ぽんぽん
午前6時
漸く眠気が顔を出してきた
すると
「In the sky stars are bright」
「May the moon’s silvery beams」
「Bring you sweet dreams」
低くて、いつもはほんの少しだけ舌っ足らずな声が、滑らかに歌を紡ぐ。
優しい声
優しい歌
昔
父さんがよく歌ってくれた子守唄
今日みたいに眠れない日や
悪い夢を見てしまった日は
決まって、父さんがこの歌を歌ってくれたのだ
「Close your eyes now blessed」
「May these hours be blessed」
「Til the sky’s bright with dawn」
「When you wake with a yawn」
気づけば、もう瞼は落ちかけていた
「……と…ぉ…さ、ん」
「ウツ」
するり
骨ばってゴツゴツしていて、でも意外と細くて、中指にペンだこのある手が頬を撫でた
「おやすみ」
その言葉を最後に
心地良い微睡の中へと、意識を放り出した。
そして無事遅刻をかまし、二度目の留年へまた一歩近づいた事は言うまでもない
[おまけ]
「おはよう兄さん…ん?なんやコイツら、どしたん」
午前6時半
キッチンでコーヒーを淹れている兄へ声をかけ、定位置のソファへ視線を向けると、甥っ子達が三人並んで眠っていた。
昔と何ら変わりない寝顔に、まだまだ子供だなと再確認させられる。
「おはようトントン。なんか夜寝れんかったらしくて、さっき寝かしたとこ」
「ふ〜ん…また生活習慣乱れるんちゃう?」
ほけほけと笑いながら答える兄はいつもと変わらない
ほんの少しだけ甥っ子達に嫉妬したのは、あまりにもアレなので絶対に黙っていよう。
まいたけが寝てて本当に良かった。
「トントンもコーヒー飲む?」
「おん、貰うわ」
まぁ、なんだ
今日もいい一日になりそうだな
はい、いかがでしたでしょうか。
emさんの歌ってた子守唄は、たしかドイツの作曲家か誰かが作った有名な歌やったと思います。
そういえば皆様は今日のどばーランチ見ましたか?
作者も休憩時間にニッコニコで見てたんですが、そろそろemさんの仕事が地方議員か役所の人くらいしか出てこなくなってきました。
あんま仕事でイベント会場行くことなくない?
妄想が広がりますね。
あ、あと
ヤバい家族日常編でどんなお話が見てみたいとかあればコメントしていただけると嬉しいです。
この作品の傾向としてRは厳しいと思うので、ご了承ください。あってもぬるエロくらいです。
それでは、また次の作品で……
コメント
1件
やったーヽ(=´▽`=)ノ emパパ一家のお話大好きなので楽しみにしてましたー! 3兄弟がパパにトントンされて寝ちゃうの可愛いですね~(´∀`*) ボクも一緒のお布団入ってトントンしてほしー(家族+🟢に何かされる…) 日常のほっこりしたお話、大好きです✨