山本と七海、五条が会議室に集まると、そこには呪術高専の上層部が顔を揃えていた。山本は少し緊張しながら、席に着く。
「さて、君たちに伝えたいことがある。」
高専トップである吉良昌信が静かに話し始める。吉良はいつものように冷徹な表情を保ちながらも、その言葉に不穏な空気が漂っていた。
「今回の任務、君たちが関わることになったのは、新たな呪霊の動向だ。」
山本はその言葉にすぐ反応する。
「新たな呪霊…?」
吉良は無表情のまま頷いた。
「この呪霊は、ただの呪霊ではない。宿儺の一部だと考えられている。」
「宿儺の一部?」
七海が興味深げに聞き返す。五条は肩をすくめて、少し面倒臭そうに言う。
「またか…やれやれ、どうしてこうなった。」
「この呪霊の名前は、『真実』。」
山本はその名前に心の中でざわつくものを感じた。
「真実?」
吉良が説明を続ける。
「宿儺の呪力が集まることにより、呪霊の一部が独自に意識を持ち始めた。『真実』はその名の通り、事実を暴露する力を持つ。」
「暴露する力?」
山本が問い返すと、吉良は深刻な顔で続けた。
「『真実』は、呪霊自身の記憶を他者に伝え、呪術師や呪霊の隠された歴史を明らかにすることができる。ただし、その記憶は非常に強力で、無差別にあらゆる情報を暴露してしまう。」
その言葉に、五条が眉をひそめる。
「なるほど、情報を暴露する呪霊…それって、呪術界にとって相当まずいことだな。」
「その通りだ。」吉良は冷静に言う。
「今回、この『真実』の存在が明らかになったことで、呪術高専の上層部内でも大きな混乱が生じている。君たちには、この呪霊を討つために動いてもらう。」
山本はその言葉を受けて、少し考え込んだ。
「でも、どうして僕たちなんですか?」
「君たちのような強力な呪術師が必要だからだ。」吉良が冷たく答えた。
「君たちはすでに宿儺の一部の影響を感じ取ったことがある。だから、あの呪霊と戦う資格がある。」
七海が口を開く。
「でも、他の強力な呪術師もいるはずだろ?どうして山本や五条、私なんだ?」
その問いに、吉良は一瞬だけ黙り込むと、やがて目を鋭く細めた。
「君たちは…呪術界にとっての『鍵』になるからだ。」
その言葉に、部屋全体が一瞬、静まり返った。山本はその意図がよく分からなかったが、直感的に何か大きな秘密が隠されていることを感じ取る。
「鍵?」山本が尋ねると、吉良は無表情のまま言った。
「それは君たちがこれから知ることだ。」
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