急に、校舎の外でドカンという爆発のような音が
して、その後、誰かの叫ぶ声や女子生徒の泣く声などがして、学校内がパニックになっていくのが屋上からでも分かった。
「!?」
「あぁ、あれは増田君が身投げした音ですね」36号が事も無げに言った。
「多感なお年頃ですから、何か人には言えない悩みでもあったかもしれませんねぇ。昨晩、ストレス社会がどうとか言ってましたし」
校内放送で、「生徒は窓際から離れて、外を見ないように」と指示が出た。
パトカーと救急車のサイレンが聞こえる。
「さぁ、教室に戻って下さい」36号が根岸に言う。「副担任が点呼を取るでしょうから」
校舎の3階から増田は飛び降りたが、奇跡的に命を取り留めた。
地面の上でなく、駐車場に停めてあった教師の車の上に落ちたことで、自動車がクッションとなり衝撃を吸収したのだった。
その代わり、下敷きになったワンボックスカーは、踏み潰されたティッシュの箱のようにメチャメチャになっていて、修理するよりも買い替えた方が安いという有様だった。
ワンボックスカーの持ち主は、生活指導の先生だった。
いくら根岸が助けを求めても、助けてくれなかった相手。
昨夜、コンビニの前で缶コーヒーを飲みながら、36号が許せないと言った相手。
36号は増田を潰すのと同時に、生活指導の先生にも制裁を下したのだった。
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