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――出会い――
ナポリ港近く。
昼間だというのに、空気はどこか重かった。
エンスは倉庫の屋根の上に寝転がり、ぼんやり空を見ていた。
「……今日は静かすぎる」
その時。
「——それは“平和”とは限らない」
低く、落ち着いた声。
エンスは反射的に跳ね起きた。
「誰だ!」
目の前には、白いスーツの男。
整った顔立ち、だがその目は鋭い。
ブローノ・ブチャラティだった。
その後ろには、数人の仲間。
金髪の少年――
ジョルノ・ジョバァーナ。
鋭い目つきの男――
グイード・ミスタ。
そして無言でこちらを観察する仲間たち。
「……チッ、面倒なのが来たな
」
エンスは舌打ちする。
「用がないなら帰れよ。ここはあたしの縄張りだ」
ミスタが鼻で笑う。
「ガキがイキってんじゃねぇよ。
ここ最近、この辺で“妙な食い荒らし”が起きてる」
「人間が、まるで獣に食われたみてぇにな」
エンスの目がわずかに揺れた。
ブチャラティが一歩前に出る。
「お前だな?」
静かな断定。
「……だったら?」
その瞬間。
空気が変わる。
背後に“それ”が現れる。
ハングリー・ライク・ザ・ウルフ。
「出やがったな……!」
ミスタが構える。
だが、ブチャラティは動かない。
ただ見ている。
「制御できていないな」
エンスは舌打ちした。
「うるさい」
その時だった。
スタンドが勝手に動いた。
ズルリ、と音を立てて前に出る。
「……おい、やめろ」
止まらない。
飢えている。
“強い奴”が目の前にいる。
それだけで十分だった。
「来るぞ!」
ミスタが叫ぶ。
次の瞬間——
スタンドがジョルノに向かって跳んだ。
「っ!」
だが、その前に。
「スティッキー・フィンガーズ!」
ブチャラティの拳が空間を裂く。
ジッパーが走る。
スタンドの体が“開かれ”、軌道が逸れる。
ドォン!!
壁が砕ける。
「なっ……!?」
エンスが驚く。
「……すげぇな」
ジョルノは冷静に状況を見ていた。
「このスタンド、“食べることで強化される”タイプですね」
「だが、その代償が大きすぎる」
ブチャラティが言う。
「本体すら襲うほどに」
エルサは黙る。
図星だった。
その間にもスタンドは暴れ続ける。
次に狙うのは——ミスタ。
「チッ、めんどくせぇ!」
銃声が響く。
だがスタンドは止まらない。
弾丸すら“喰う”ように腕で弾き飛ばす。
「やべぇなコイツ!」
「……だったら」
エンスが立ち上がる。
「ぶっ壊すしかねぇだろ」
彼女は走った。
自分のスタンドに向かって。
「おいガキ!」
ミスタが叫ぶ。
だが止まらない。
エンスは跳び、拳を叩き込む。
ドゴッ!!
「戻れ!!」
その声は命令じゃない。
“叫び”だった。
一瞬。
スタンドの動きが止まる。
その隙に——
ブチャラティが距離を詰める。
「今だ」
ジッパーが走る。
スタンドの“口”が閉じられる。
ガチン、と音がした。
沈黙。
スタンドは霧のように消えた。
エンスはその場に膝をつく。
「……はぁ……はぁ……」
ブチャラティが近づく。
「お前、このままではいずれ人を殺す」
静かな声。
「……もう殺してるよ」
エンスは笑った。
乾いた笑い。
ジョルノが一歩前に出る。
「なら、ここで終わるか——」
一拍置いて。
「それとも、“変わる”か」
エンスは顔を上げる。
その目に、初めて迷いが浮かんだ。
「……チームに入れって言
ってんのか?」
ブチャラティは答える。
「選ぶのはお前だ」
風が吹く。
ナポリの匂い。
は目を閉じる。
そして——
「……面白そうじゃねぇか」
ゆっくりと立ち上がった。
「ただし条件がある」
ニヤリと笑う。
「腹減った時、ちゃんと面倒見ろよ」
ミスタが吹き出す。
「とんでもねぇ女だなオイ」
ジョルノは静かに微笑んだ。
ブチャラティはただ頷く。
「いいだろう」
こうして——
“飢えた少女”は、
運命のチームと出会った。
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