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あの人が忘れられない。
僕を唯一好きにさせたあの人が。
あの人が居なくなってから夢というものを見るようになった。
あの人がいなくなる前までこんな感情を持っていた事に僕自身も気づかなかった。
気づいていたら、わざわざ彼女を1人になんてしていなかった。
でもすぐには気付かず、時を重ねる度に少しずつそういった感情を持ってることに気付きやはり僕も人間としての機能を持っているのだと感じさせられた。
あれから数十年が経った。
僕は今まで通り異能力者のいない世界を作るために日々作戦を立て続けそのために動いていた。
けどそんな事をしていてもやはり彼女のことだけは頭から離れなかった。
でもそのおかげだった。
そのおかげで僕はすぐに気付いた
道路1本挟んだ向こうで会社員として働いている彼女のことを。
過去にこの場で交通事故に合い命を落とした彼女のことを
すぐさま行動に出た。偶然を装って彼女が石につまづきバランスを崩し転けそうになったところを受け止めてやった。
『おっと、大丈夫です?いきなり石に躓いて。』
やれることなら今すぐにでも彼女を閉じ込めてしまいたいくらいですが、そんなことをして恐怖心でも持たれたら困るから。あえてこういう行動に出た。
「あ、すいません。ありがとうございます、」
彼女はそう言いながら顔を上げ僕と目が合った
あの時と多少の変化はあるがほぼ変わらない声のトーンと仕草だったが、これで彼女だということは尚更確信に迫った。
それと同時に記憶が無いこともわかった。
『いえ、ところでとてもお疲れのように見えますが、何かあったんです?』
少し驚いた表情を浮かべたがすぐにぺらぺらと話し出した。危機感が薄く、こうやってすぐにぺらぺら話し出してしまうのは彼女の特徴のひとつだった。それも残っていてどこか安心みたいなのを感じた。
「…!よく分かりましたね、!高校卒業して会社員になれたはいいんですけど、失敗ばっかで上手くいかなくて…あ、話しすぎちゃいましたよね、すみません」
『いえいえ、こういうのにはよく気付くほうでして。もしよろしければ、僕で良ければお話聞きますよ』
こんなこと 後にも先にも貴方にしか言わない言葉でしょうね。
彼女の持ち前の優しさとこの会話で多少なりとも僕に対しての危機感は薄れただろう。
案の定 彼女は僕にこういった
「え、いいんですか、!まあ、、お礼もしたいですし、このあと予定あるのであれですけど、連絡先交換しませんか!?それなら、いつでも話せますし、お礼もちゃんとできるかなって、、」
危機管理能力が低いのは前々からどうにかして欲しいとは思っていたがそれが今回はいい方に働いてくれた。断る理由も無く連絡先交換した。
「ありがとうございます!あ、それじゃあ、私行きますね!失礼します」
そう言って彼女は走っていった。
ああやって一人で自由に動き回れるのも時間の問題でしょうね
心の中で そう呟いた。
コメント
1件
うわ、これ重い……😌🤍 「あの人が忘れられない」って冒頭からもう引き込まれた。数十年経っても彼女のことだけ頭から離れない執着、すごく刺さる。しかも偶然装って接触するところ、優しそうなのに心の中では閉じ込めたいって思ってるギャップがもう……好みです。 ラストの「自由に動き回れるのも時間の問題」って一文がめちゃくちゃ怖くて美しかった。続きが気になる…!