________その後の記憶は無かった
気が付けば俺は病院の一室に居た。
一人だった。
この病室は5階くらいだろうか、
随分高い。
嗚呼、蝉の声が煩い
病室の窓から見える海____
その時、
いむくんの顔が浮かんだ。
それは、限りなく偽物で
限りなく俺の心を蝕んだ
病院の人によると、
いむくんはあの時点で亡くなっていたそうだ。
大切な俺のたった一人の親友は
もう、二度と帰ってこない。
病室のベッドのそばに、
二つのキーホルダーが無造作に置かれていた
あの日、いむくんにあげるために買った
お揃いのキーホルダー。
辛い
ただ辛い
涙も出る余裕がない
«悪くない»
«ごめんね先に逝っちゃって»
«初兎ちゃんは、自分が悪いと思ってるでしょ?»
«初兎ちゃんは悪くない。»
«お願いだから、一秒でもいいから»
«僕は初兎ちゃんに生きて欲しいんだよ»
足が痛む
どんな折れ方をしたんだろう。
痛い
でも、
『いむくんはこれ以上に痛いんやろうなぁ…』
もう、何もかもめんどくさい
食事
運動
思考
呼吸
血液循環
朦朧としてきた意識の中
«……………………»
透明な君が居た
俺はさいごの力を使い。
いむくんと手を繋いだ。
いむくんは悲しそうな目で
病室の窓を指差した
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