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信じられないことに赤ん坊がゆっくり回転し、赤ん坊の肩の位置が縦になり、女性器の形とぴったり同じになった
「回りましたぁ!!回ったわぁっっーーー!」
もうアリスは感動で嗚咽が止まらなかった、自分が何を叫んでいるのかわからないがとにかく叫んでいた
『どうやらその子は生きると決めてるようだね貞子!最後だよ!思いっきりいきみな!』
「貞子さん!これで最後ですよ!いきんでください!!いきんでっっ!!」
貞子が地獄の底から沸き上がるような唸り声を発した
顔はいきみで赤紫になって、なりふり構わず必死で歯をくいしばっている
そして彼女は到達した
自分が生きようが死のうが、体を引き裂かれようがどうでもいいと、子を産む女なら誰もが感じる瞬間に
次の瞬間、赤ん坊の全身が、スポーンッとアリスの腕の中に勢いよく飛び出してきた
「産まれたわ!!!産まれたーーーーーーーーーー!!」
紫色の長い臍の尾が赤ん坊の腹に一週巻き付いていた、それをほどくと同時に、赤ん坊が元気な声で産声をあげた
家中に響く大きな声でその子は泣いた、こんなに小さいのに、なんて生命力に溢れているんだろう
赤ん坊は両手を宙にあげて、この世はなんて寒くて不便なんだとばかりに、一生懸命泣いて怒っている
おぎゃー!おぎゃー!
「うわぁ~~~~~んん!!よかったぁ~~~!よかったよぉ~~~~」
『よくやったね!あんた達は大したもんだよ!』
ネネ婆さんもアリスを激励する、声がうるんでいる
あぁ~~ん・・うわぁ~~~~~んん
「ああっっ!!よかった!よかったぁ~~!!本当によかったぁ~~! ああ~~」
アリスも一緒にその子を抱いて、嗚咽を漏らしてボロボロ泣いた、わんわん泣いた
大人になってこんなに声を出して泣いたのは、どれぐらいだろう
その時、遠くの方で救急車の音がしっかり聞こえた、アリスはその音を聞いて、よけいに泣けてきた
『救急車が来たようだね、もう安心だ』
ネネ婆さんの声は温かく、羊水まみれでぐしゃぐしゃのアリスは、また泣き出した
「その子の鼻と口をおしぼりで拭いてあげて!まだ胎盤が繋がってるから引っ張っちゃいけないよ」
ひっく・・ひっく
「ハイッ!」
嬉しくて安堵で手が震える、うまく赤ちゃんのお口が拭けない、それでもアリスは優しく鼻の中や口の中の羊水を
拭いてやった
アリスは赤ん坊の泣き声が、これほど耳に心地よく聞こえるのも初めてだった
生きてる!この子は生きてるわ!
「洗っちゃいけないよ、これから病院まで外に出るから体を冷やしちゃダメだからね、拭く程度にして清潔な布にくるんであげて、後は病院で貞子もその子も処置してもらえるよ」
グスッ
「ハイッ! 」
ゼー・・・ゼー・・・
「お・・・男?・・女?・・どっち? 」
貞子が息も絶え絶えアリスに聞く
そうだ!確認するのを忘れてた
ふわふわのバスタオルにくるんでいる、赤ん坊の体を調べる、小さな小さなカエルのような足の間を確認する」
「赤ちゃん女の子よ!!女の子ですよ!!貞子さん! 」
「そう・・・そう・・・女・・・よかった・・・」
貞子が綺麗な涙を流した
『初産で破水して30分・・・会陰切開もなし、こんなに素晴らしい安産は、あたしも経験したことないよ、ただし早い出産はそれだけ母体にもダメージが大きいからね、早く病院で処置してもらいな』
えーー?こ・・・これで?安産?アリスは今聞いたことが信じられなかった
その時インターフォンが鳴った
「ここよ!ここです!!早く助けて!! 」
アリスが叫ぶ、ドヤドヤ玄関のドアが開き、救急隊員の服を着た助産師らしい女性二人が飛びこんで来てくれた
「産まれているわっっ!」
「ストレッチャーをここへっっ!」
あっという間の救急隊員の適切な処置を、呆然と見守りった、ガクガク震えて吐き気がする、今途端に緊張が緩んだ
『初産で破水から30分、普通分娩、出生時間・・15時45分、女児、肢体確認まだ、会陰切開なし、胎盤剥離まだ・・・』
「ハイ!・・・ハイ!・・・」
一人の助産師がスピーカーからネネ婆さんの、状況説明をカルテに書き込む
大柄のバスタオルを何枚も重ねて、貞子がすっぽり下半身を包まれて、ストレッチャーに乗せられる