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南雲(久住精神安定剤)
506
ジ
21
「おう、伊吹。今日誕生日だってな、これやるよ」
「陣馬さん!これなに?」
「いつもの店のクーポンだ」
「おぉっ!ありがとうございまぁす!」
「いいってことよー」
「伊吹さん。今日誕生日だそうで」
「あ、九ちゃん」
「一応これプレゼントです」
「どれどれ〜、」
「うどんです」
「変わらないねぇ、ありがとう!」
「いえ」
今日は、オレ、伊吹藍の誕生日!!!
たくさんの人に祝ってもらって、嬉しいんだけど、
1番祝ってほしいヤツからは、何もされていない。
「忘れちゃったのかなぁ」
志摩が忘れるなんてあんまりないんだよなぁ…
先週に誕生日の話してたし。
まぁ忙しかったのかもだけど。
「お先」
「お疲れ様です。陣馬さん」
「おつかれさまでぇす」
「僕もそろそろ」
「お疲れ。九重」
「おつかれー」
2人きりになった。
「あれ?志摩、帰んないの」
志摩の分の報告書はとっくに終わってるから、
もう帰れるはずなんだけど…
志摩はどこか落ち着かない様子だった。
引き出しを開けたり閉めたりしたり、カバンの中を何度も確認している。
「志摩?」
「……こういうの慣れてねぇんだよっ」
志摩はそう言ったかと思うと、急に何かが飛んできた。
慌てて受け取る。
「それ、誕プレ。誕生日おめでとう伊吹」
「え」
「じゃ、お先」
「え、あ、ありがと!」
志摩は早口でそう言ってさっさと出て言ってしまった。
耳が赤くなっていたのを見逃していない。
「なんだろ〜」
プレゼントの中身は、時計だった。
藍色のベルトに、銀色の文字盤と金具。
シンプルなのに妙に目を引く。
「うわ、カッケェ……」
藍色。オレの名前。
わざわざ選んでくれたんだなぁ。オレのために。
「んふふ」
1人になった部屋の中、伊吹はそれを大切そうに手首にはめた。
コメント
3件
読了。うわ、この第3話、めちゃくちゃいい…!藍色の時計っていうタイトルが刺さったわ。志摩が「こういうの慣れてねぇんだよ」って照れながらプレゼント渡すシーン、ガチでキュンと来た。伊吹の“藍”を意識したチョイス、憎いね。2人きりの空気感と、時計をはめた後の「んふふ」で全部持ってかれた。次の展開が気になるな〜!