テラーノベル
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元貴の顔がゆっくりと近づいてくる。目を閉じると、唇に柔らかな感触が触れた。
チュ、チュ…とついばむような軽やかなキスを繰り返しながら、元貴がソファに乗り上げておれに跨る。
唇に湿った温かなものが触れたのを感じて、そろりと口を開く。途端に遠慮なく入り込んできた元貴の舌がおれの舌を絡めとる。ゆっくりと舐め上げられると体が熱くなり、もう何も考えられなくなった。 与えられる刺激に夢中で応える。
「りょうちゃん……ねぇ、ほんと好き」
熱っぽく囁いた元貴の唇が頰から鼻の頭、瞼とあらゆるところに落とされる。首筋に舌が這った後、耳朶を喰まれ、思わず吐息が漏れた。
Tシャツの裾から元貴の手が侵入し、脇腹を撫でられる。
「!も、元貴?!」
ハッと我に返って元貴の手を押さえ込む。
「なにやってるの!?」
元貴はおれの制止など気にした様子もなくTシャツの中の手のひらを進める。
「なにって…恋人同士がすることなんかいっこしかないでしょ」
「待って、お願い、ちょっと、ストップ!」
口づけてくる元貴の顔を避けながら必死で訴えると、不服そうな顔を向けられる。
「なに?」
「え、ちょっと…理解が追いついてないんだけども、その………する、ってこと…?」
「せいかーい」
話は終わった、とばかりに首筋に顔を埋める元貴の肩を押し返そうとするが、全く動かない。何この体幹!
「〜〜〜ッおれ!今太ってんのよ…!!」
だから無理!!!と大きな声で宣言すると、ぽかんとおれを見下ろす元貴の動きが止まった。
今がチャンスと身を捻り、ソファから転がり落ちるように元貴の下から逃れる。
めくれたTシャツの裾を治し、自分の体を抱きしめるようにガードする。
「おま………そこ?太ってるとか今更じゃない?着替えとかでぜんっぜん見てっし」
「元貴もおじさんとかお腹ヤバいとか言ってたじゃん!!そんなん言われて無理でしょ!」
必死で訴えるおれに、確かめるように元貴が言う。
「……それ以外はいいわけ?」
「え?」
「分かってるか怪しいからもう言っとくけど、俺はりょうちゃんを抱きたい方だよ」
「だっ………!」
男女の恋人同士であれば当然のように行うその行為が、男性同士でもできるらしいという程度の知識は持っている。
が、正直おれと元貴がそれをするという可能性にまでは考えが及んでいなかった。
「りょうちゃん、もしかして俺を抱きたい方だったりする…?」
何も言わないおれに、少し不安げな元貴が問いかける。
おれが……元貴を………??
元貴は可愛い。めちゃくちゃ可愛いしきれいだなって思う。が、抱きたいかと言われると今のところまだその考えに至ったことはないし、全く想像できない………
眉間に皺が寄るのを自覚するくらい真剣に悩んでいると、いつの間にかおれの近くに移動していた元貴に手を掴まれる。
「考えたこともないって顔してんじゃん。…俺はもうこんななのに」
言葉と共に手のひらが元貴の下腹部に導かれる。押しつけられるように触れたそこは、服越しでも分かるくらい明らかな昂りを示していて、ビクッと肩を震わせてしまう。みるみるうちに頰に熱が集まってくるのがわかった。
そんなおれの様子に口角を上げた元貴は手を解放してくれる。
「仕方ないね、りょうちゃんが痩せるまで待ってあげるよ。 俺も役作りで増量したからクランクアップしたら戻さなきゃだし、一緒にダイエットしよっか。」
やけに爽やかにニッコリと笑った元貴に動揺で潤んだ目を向けると、すっと耳元に顔を寄せて囁かれた。
「痩せたら、抱くからね。」
コメント
1件
確かにおじさん、お腹ヤバいは気にちゃいますね😇笑 2人ともダイエット、頑張って〜❣️笑 前のお話の恋人だよねと確かめてるとこも可愛かったです❣️