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「や、007n7。 」
俺がそう呼びかけると同時に、力が抜けたように目の前の007n7がふらふらと倒れ込んでしまう。
軽く両手で抱きとめながら、「もう慣れたものだ」と考えて。
――この日々が続いて欲しいと思っているのも事実で。
「……noli。」
よくよく見れば、擦りむけて膝から血が滲んでいる。
綿に消毒液を着け、ぽんぽんと軽く傷口を叩く。染みたようで少しピクッとしたが、それ以上はなんの反応もない。
そして、絆創膏を優しく貼る。
「…」
彼の表情は相変わらず動かない。瞳はなにも写しちゃいないし、ただ手当てされる様子を見ているだけ。
でも、それでいいのだ。
――彼は嫌なことがあるとすぐにハックして自分の部屋に閉じこもる。それが無いということは、嫌ではないということだろう。
それで充分だ。
「大丈夫だよ、007n7。……今日は行きたいところある?」
007n7はよく怪我をしてしまう。
そのため、自分がいつでも手当てをすることが可能であるように、ポケットの中にコンパクトな医療キットを持ち込んでいるのだ。
ざっと、絆創膏、消毒液、綿、包帯のみだが。
「……」
やっぱり何も話さない。何も考えていないのだろうか。…いや、違うみたいだ。瞳がわずかにゆれて、少し感情が見えている。
鞄からマップを取り出し、開けて007n7の見えやすい方向に調節してから差し出す。
007n7はそれを少し眺め、それからゆっくりと口を開いた。
「ノリの、家」
そういえば、初めて出会ったのは俺の家に007n7が侵入してきた時だったか。
懐かしいな、そのあと二人でBBQに行ったものだ。
「そっか、…じゃあ、寒いから上着とマフラーを着て行こうね。」
そう言うと、007n7がc00lguiを使用して自身の部屋に行こうとしている。なにか気に食わなかったようだ。
「ちょ、まっ、ちょっとまって。どうしたの?」
手が止まった。
「……………」
差した指は、俺の服に向けられている。
少しの沈黙の後、理解して思わず007n7に抱きつく。
「007n7…!俺のコートがよかったの!?そっかあ…!」
がっついてしまったことに気づいて少し不安を覚えるが、彼の反応は悪いものではなかったようだ。
少しびっくりしたようだが、すぐに目をそらす。―― そして、彼は逃げようとはしていない。
と思ったのもつかの間、俺を軽く押し退けてベッドルームに向かっていく。
「……あ、」
やっぱり、嫌だったのだろうか。
どうしてもこういう所は変えられないのだ。それが好意なのだとしても、彼にとって嫌なものであったならダメだろう。
――数十秒の物音のあと、007n7が布のような何かを抱き抱えて俺の方へ向かってくる。
それは、どうやら007n7の上着のようだ。共にピザ屋を燃やす時や、一緒に旅行に行く際に使用した黒の上着。端には見慣れた赤い線も入っている。
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は?なんかデータきえたんだけど ゆるせない