天使kg『』と教祖ty「」
⚠️戦ってる/自分の好み
【加賀美side】
おかしい。
いつものように体が動かない。
こんなところでくたばっている隙は無いのに。
これも彼のせいなのか?
暗い、暗闇。夜陰、夕闇。
そんなものでは無い。もっと暗い。ここはどこなんだ。
わからない、なにも、何も。
闇夜、もっと、もっと深い。
奥は何があるのか。彼の、彼のもっと深くは。
入り込む、隙、隙を探せ。隙を…
「させませんよ」
バチィッッ!!
『ッ、!?』
ばれた、見つかった。
完璧な、完璧に隙を探したはずなのに、なぜ、何故。
「僕があなたの考えていることが分からないとでも思っているのですか?」
「たしかに普通の人間は考えていることなんか分からないですけど。」
おかしい、なんだ。
私と彼、は何が違う、何、どれだ。
コツ、コツ、
彼が近づいてくる。終わりだ、私も。
いや、まだ。まだだ、
まだ逃げることは可能である。
考えろ加賀美。ここで、ここではまだ…
「何呑気なことしてるんですかねぇ、笑」
『は』
ドカッッ
『っぅあ”、ッッ、…!?!』
くそ、やらかした。
色々考えすぎた、考えすぎだ。
もっと単純なことなのではないか、もう浅い所に答えは出ているのではないか。
「あなたが勝手に僕の海に浸かっていっただけですよ。」
そうか、そうなのか。
自分だ、自分がいる。彼の海に。
反射している。沈んでいった自分が。
理解、した。
『…ッハ、まだ楽しめそう、ですね。』
「やっと乗り気になりましたか。」
「それとも沢山考えすぎて頭疲れましたか?」
『疲れてなんかいません貴方相手なんかに。笑』
「はは、そうですか。」
ヒュンッ
「でも、…すぐ後ろ周られちゃうんだから、あなた。」
『ッッ、…!』
「ちょっとだけ眠っていただきますね。」
ドサッ
理解した、はずであった。
否。私にはもう理解不可能であった。
考える気すらなくなっていた。
彼が何者なのか。虚空とは何なのか。
知っていると思っていた。知り尽くしていると思っていた。
だが何も分かっていないようだった。
彼、彼は………
「はは、夢の中でも考え事ですか。」
『…は、…?』
何故、ここは私の……
「夢の中、ですよ」
『…何故、貴方が。』
「本当に寝られちゃうと暇なんですよ。」
「虚空教は"全て"がありますけど"全て"では無いので。」
舐められたものだ。
寝てしまっている私も相当だが。
「とにかく。早く起きてくださいね。」
自分で寝かせておいてよく言うものだ。
『考えがまとまるまで起きたくはないんですが…』
仕方ない、子供のわがままくらい聞いてあげよう。
『…っはぁ、………』
長いため息が出る。
意外にもすんなりと起きてしまったようだ。
「…おお、ほんとに起きてくれたんですね」
「あなたどれだけ僕に従順なんですか笑」
『やりたくてやってる訳では無いんですけどねぇ、…笑』
こんな自分が馬鹿らしくなってきた。
『どっちの方が立場が上か分からせて差し上げましょう。』
「ふふ、貴方にそんなことができるんですかねぇ笑」
さすがに言い過ぎではないか、…
『まだ本気では無い、のでね。』
自身の手には光の矢。
彼の手には刀、 まさに彼を表しているだろう。
互いに目を合わせる。
静かすぎるが故に呼吸音まで聞こえる。
深呼吸、…構え、狙う。
急所、…人間の急所を狙う。
今。
ヒュンッ
バキィッッ!!
『…っくそ、』
弾かれた、動作があまりにも完璧だ。
もう1発、構え、狙うの繰り返し。
ビュンッ
「…ぉおっ、さっきよりも早くなりましたね笑 」
「いやー、もう少しで危なかったですよ~笑」
『っはぁ、』
全然嘘だ、
早くなったのは確かかもしれないが、危ないわけが無い。
なぜなら、彼はずっと、…
自分から狙われに行っているからだ。
そしてなにも無かったかのように避ける。
まるで心を読まれているかのように。自分のやることに先回りをされている。
『……っ、』
「あれ、もう降参ですか?」
『そんなに直ぐに降参するわけないでしょう。焦ってるんですか?』
「いや別に、笑」
「ぼーっとしちゃって、僕と戦ってること忘れてます?」
ビュンッ!!
『ッ…!!!』
なんだ、何を投げた。
いや、投げたのか?何も見えない。
彼が横切っただけかもしれない、本当になにか投げているかもしれない。
なんだ、よく見ろ。目をこらせ、……
「見えないんですか、歳ですかねぇ笑」
『ッ、貴方……』
「なんですか、図星ですかね?笑」
『………。』
そんなことは無い。と心の中で返事をしておいた。彼ならもうお見通しかもしれない。
シュンッッ!
なんの前触れもなく矢を放つ。
こんな暗闇の中じゃ光の私は目立つか。
それならこの武器はすごく弱い。
見えてしまうのなら何も関係なくなってしまう。
少しだけ彼の言う全てを見てやってもいいだろう。
『貴方からは仕掛けてこないのですか?』
『…もしかして、』
「ひよってなんかはいませんよ。」
「あなたの愚かな様が馬鹿らしくて、笑」
「確かに、僕から仕掛けてあげてもいいですね、面白い。」
カチャ、
武器を構える音がする。
彼は近距離だ。私は遠距離。
離れて冷静になれば勝てる。
ヒュンッッ!!
2人同時に動き出す。
先に傷をつけたのは、…
「…いって、ッ”」
私だ。
ギリギリ彼の頬をかすめたようだった。
『そんなのも避けられなくなってしまったのですか?』
「…っはは、わざとですよわざと。」
『図星ですかねぇ、笑』
「そんな呑気におしゃべりしてていいんですか?」
『……貴方こそ。』
ガッ!
『…ッくそ、』
「っはは、余裕なくなってきてるんですかね、面白い。」
「天使のくせに、笑」
『っ……!!』
「地雷踏んだようですかね、笑」
もう私には考える頭がなかった。
ただ彼を倒す。これだけの考えで動いていた。
ただ彼は一筋縄では行かない。
なんだ、これは。
暗いのに、闇の中なのに……
彼だけは光のようだった。
それも、私以上の。
闇の中の光。
存在が、その威厳さが。
この世界の全てを占めているようだった。
『…今回は負け、ですかね、……』
次回があるなんて言われてないのに。
「何勝手に決めてるんだか。」
「…しょうがないですね、僕は優しいのでいいでしょう。」
「次があれば、また…。」
If you get in my way, you’re…
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もしあなたが私の邪魔をしたら、あなたは...