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第一話:二人の出会い
シーン1:ラジオ番組のオファー
若手声優・入野自由は、事務所のマネージャーから新しい仕事の話を聞かされる。人気ラジオ番組「Voice Palette」の新パーソナリティに抜擢されたという知らせだった。
自由「ラジオですか?一人じゃないですよね?」
マネージャー「大丈夫。共演は櫻井さんだよ。業界でも頼れる先輩だし、きっと相性がいいと思う。」
櫻井孝宏――業界で知らない者はいないカリスマ声優。自由は一瞬嬉しくなるが、「緊張するな……」と不安を口にする。
シーン2:初収録の日
ラジオ収録スタジオ。初めての収録で、自由は緊張して落ち着かない様子。
スタジオに現れた櫻井は黒のシャツを着こなし、どこか大人の余裕を感じさせる雰囲気だった。
櫻井「初めまして。入野くんだよね?」
自由「は、はい!初めまして!」
自由がぎこちなく頭を下げると、櫻井はクスッと笑う。
櫻井「そんなに緊張しなくてもいいよ。俺も最初の頃は失敗ばかりだったから。」
自由「失敗、ですか?櫻井さんでも?」
櫻井「人間だもの。完璧じゃない方が面白いんだよ。」
櫻井の言葉に少し心がほぐれる自由。しかし、収録が始まると緊張のせいで思うように話せず、何度も噛んでしまう。
シーン3:櫻井のフォロー
休憩時間、自由は一人で肩を落としていた。そこに櫻井がコーヒーを持ってやってくる。
櫻井「コーヒー、飲む?」
自由「……ありがとうございます。」
櫻井は隣に座り、静かに口を開く。
櫻井「初めてのラジオは誰でも緊張する。俺だって、初回は何を話したか覚えてないくらいさ。」
自由「でも、僕はもっと上手くやりたくて……。櫻井さんみたいに余裕を持ちたいのに。」
櫻井「余裕ってのは、経験が作るものだよ。焦らず、自分らしくやればいい。」
その言葉に少し救われる自由。
シーン4:収録後の反省会
収録が終わり、自由は櫻井と二人で話すことに。
自由「今日の僕、どうでした?」
櫻井「まあ、正直なところ、緊張しすぎだったかな。でも、その素直さが君の強みだと思う。」
自由「素直……ですか?」
櫻井「そう。聞いてる人は、完璧よりも君らしい言葉を求めてる。そこを忘れないことだね。」
櫻井の言葉に自由はうなずき、少しだけ笑顔を見せる。
シーン5:二人の距離感
その日の帰り道。櫻井と自由は並んで歩く。
自由「櫻井さんって、本当に大人って感じがしますね。」
櫻井「そうか?自分じゃ分からないけどね。」
自由「僕も早く大人になりたいな……。そうすれば、もっと自信を持てる気がします。」
櫻井「大人になりたい、か。……まあ、焦る必要はないさ。子供のままでいられるのも今のうちだけだぞ。」
その言葉に、自由は何か引っかかるものを感じた。櫻井の大人びた雰囲気の裏に、どこか寂しさのようなものを見た気がしたからだ。
第一話:完
次回、自由は櫻井とのラジオ収録を通じて、自分の「子供扱いされること」にコンプレックスを抱えている理由に気づき始めます。そして櫻井の大人の一面だけでなく、意外な一面にも触れることに……。