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パパ、ごめんなさい。実は隠れて不倫してました。
その人はパパと違って弱くて頼りない人で、あたしがそばにいないと生きていけないんです。急に駆け落ちすることになりました。勝手なことばかり言って申し訳ないですが、あたしたちのことは探さないでください。
パパは大丈夫。パパ一人でもきっと音露を幸せにできるでしょう。早くあたしのことは忘れて、あたしと違って不倫しないまともな人と再婚してください。
記入済みの離婚届を置いていきます。申し訳ないですが、お金はないので慰謝料は払えません。その代わり財産分与は放棄します。
今まで本当に幸せでした。ありがとうございました。そしてごめんなさい。 瑠奈
瑠奈と間男が忽然と姿を消して、もう三ヶ月。パパはいまだに暇さえあれば、瑠奈が残した書き置きをぼんやりと眺めている。
余は何も声をかけない。瑠奈がどうなったかもちろん知っているが、それも教えないことにしている。パパなら愛する妻の失踪という深い悲しみをいつか乗り越えることができるだろう。ある意味、パパは余よりもずっと強い。
次の休日どこかに連れてって、とこれからパパに甘えるつもりだ。余は少なくともパパの前では最強魔王でなく、最高にかわいい娘でありたいと強く願っている。
【完】