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※本人様には関係ありません。 完全二次創作です。
※BL注意
※青赤注意
※微R18表現あり
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赤side
「ただいまー」
むわっとした暑くて重い空気が、俺を包んだ。
サウナと似た感覚を覚え、空気を吸っているはずなのに、酸素が感じにくい。
耐え難い暑さに顔を顰めながら靴を脱ぐと、ぽたっと汗が一粒落ちる。
それをぐいっと拭い、涼しさを求めて先へ進む。
「まろー?」
天国への扉を開けながら呼びかけた声に、あの低くて甘い声は帰ってくることはなく。
ただ虚しく部屋に響いただけだった。
やらせない気持ちを抱えながらも、とりあえず涼もうとキッチンへ向かう。
冷凍庫からひとつアイスを取り出し、それを口に咥えながら手を洗った。
( こんな姿をまろに見られたら、襲われるかな )
なんてあられもないことを考えた自分が恥ずかしくなって、汗で湿った髪をぶんぶんと振る。
さて、まろはどこにいるのだろうか。
甘ったるいミルクの中に、ほんのり感じる梨を堪能しながら、再度リビングへ向かう。
憎たらしいほど図体がでかい彼は、すぐに見つけることができた。
ソファで涼しげな顔をしながら、無駄に長い足までまるごと体を投げている。
しかし、瞳はしっかりと閉じられていて。
こんなに気の抜けた顔さえも、整って見えるのは、恋人の欲目か否か。
まあ、外に出たらあんなに目立つ彼のことだから、十中八九元がいいのだろう。
たまに、彼の隣に並ぶことが少し嫌になることがある。
背が高くて、スタイルが良くて、顔も良くて。
勉強もできるし、仕事もできる。
真面目で、努力家で、性格もいいし。
非の打ち所がない彼の隣に並ぶのが本当に俺でいいのか、なんて。
その度に少し背伸びをすることもあるけど、もう少し俺が大人だったら自信が持てるか、と言われるとそういうわけでもない。
例えば、完璧な彼の隣に並ぶのは、小柄で、俺みたいに声が低くなくて、背ももっと低くて、体はゴツゴツしてないし、瞳はぱっちりしてて、小動物みたいな、奥ゆかしい女性がいいのではないか、と。
性格だって、まろと一緒で真面目で、優しくて、ふわふわしてて、癒されるような人。
その中でひとつも持ち合わせていない俺は、本当に彼の隣に並んでもいいのか。
どうしようもない不安は、俺の中でぐるぐると行き場をなくして佇んでいる。
まろが………好き。
この気持ちだけが、今の俺のまろへの思いを繋ぎ止めていた。
「…………ん、りう、ら?」
「まろ……起きたんだ、おはよう」
沈んだ気持ちを無理矢理上げて、微笑を型どる。
でも、まろからおはようが返されることはなかった。
「なんで泣いてるん?」
落ち着いた、優しい声が俺の鼓膜を撫でる。
どうやら、俺は泣いているらしい。
いや、確かに泣いているんだけど、あ、今俺泣いてるんだ、なんて思うくらいには、なんだか他人事で。
「………あのね、まろ」
ぽろっとこぼした言葉は、酷く掠れていた。
それと一緒に、俺の顔だって相当ひどいものだろう。
「りうら、いま、しあわせなんだぁっ」
ぽたっと汗が溢れて、カーペットの色を変える。
おかしいなぁ、汗はもう引いたと思ったのに。
さっきよりもずっとしょっぱい汗は、どんどん溢れていく。
あふれて、こぼれて、それと一緒に俺の気持ちも流れていく。
ふとまろの方を見れば、これでもかと言うくらい、瞳を大きく開けていた。
それがなんだかおかしくて、少しだけ笑みをこぼす。
まろの頬に両手を添えた。
「ねぇまろ」
「な………に、」
「りうら、まろにリップ塗ってもらいたいな」
青side
今日は、朝からりうらが2番とお出かけをしていた。
せっかくのかわいいりうらとの休日を邪魔されて、少し……いや、だいぶ2番が憎いが、りうらもるんるんで準備をしていたから、許すとしよう。
なんて考えながら、りうらのいない家はなんとも物足りなくて、編集作業に没頭していた。
癒しのない編集ほど辛いものはなかったが、集中してしまえば、あっというまに時間は過ぎる。
気づけば6を指していた時計を一瞥し、りうらを待とうとソファでスマホをいじっていたが、いつの間にか寝てしまったらしい。
起きたときには、かわいい彼はとっくに帰っていて、俺を見つめながら頬を濡らしていた。
そのことに驚き、一瞬で覚醒した頭をフル回転させるが、泣かせるようなことをした覚えはない。
となると、出かけたときに何かあったか……?
もし2番に何かされたからだとしたら、俺は一生あいつを許さない。
なんて考えながらも、りうらに問いかける。
が、その返事はなんとも的外れなもので。
「りうら、いま、しあわせなんだぁっ」
整った顔をくしゃっと歪めて笑う彼は、幸せとは程遠い表情をしていて。
頭がうまく動かなくて、りうらの苦しそうな表情に、俺の心まで締め付けられた。
泣いている彼女の涙を拭うことも、抱きしめることも、声をかけることさえままならない俺に、りうらはふふっと笑った。
そして、りうらの両手が俺の頬を挟むように添えられて。
唇にかたどられた笑みはそのまま、俺に、リップを塗ってほしいと強請った。
赤side
「…………できたよ」
真剣な表情で俺の唇に触れていた筆を離し、微笑を浮かべるまろ。
スマホを取り出し、内カメで自分の唇を確認する。
「もっと塗って。まだだめ」
「えぇ?まだ塗るん?もう十分綺麗に色ついたと思うけど……」
「うん、だめなの。緑になるまで塗ってほしい」
「緑っ⁉︎」
真面目な顔をして意味わかんない言葉を発する俺に、まろは目を見開く。
まろ、今日驚いてばっかじゃんw
あ、俺のせいか。
「りうら、何目指してるん?話聞こか?」
「別に変なものは目指してないし、特に悩みがあるわけでもないから!いいから塗ってほしーの!」
いや悩みはあるけど!
信じられない、とでも言うように、俺の顔を凝視するまろに思わず笑ってしまう。
「とりあえず塗るけど………どうなっても知らんよ?クレームは受け付けませんからね?」
「はいはいわかったから!自分で強請っといてクレームなんてしないから!」
ここまで言ってもまだぶつぶつ呟いているものの、渋々塗ってくれる。
花柄のおちょこのようなものの中を、コップに注いだ水で濡らした筆で擦れば、光沢した緑色は真紅に染まっていく。
それを唇につければ、鮮やかな赤に彩られる。
「ど、どう?」
おそるおそる唇から筆を離し、俺に問うまろ。
内カメで見えた自分の唇は………
光が当たると、黄色っぽく、緑っぽく唇が光る。
「うん、いい感じ!ありがと、まろ」
「いや、あ、うん、それはどういたしましてなんやけどさ………」
「うん?」
あの……えっと、なんて、めずらしく言い淀んでいる。
「ちょっといくつか質問いい?」
「うん、?」
「なんでさっき泣いてたん?っていうかなんで急にリップ?変な形やし。珍しいものだし。俺に塗らせたのもなんで?緑色とか意味わからへんし、言うほど緑色やないsんむっ⁉︎」
質問が止まらないまろの唇を、自分のもので塞ぐ。
何が何だかよくわかっていないまろの瞳に俺を写したくて、何度も何度も執拗に唇を重ねる。
やっと理解ができたらしいまろにぐいっと身体を押されれば、彼よりも身長が低い俺は簡単に離れて。
俺を見つめて必死に言葉を探すまろに、にやりと微笑む。
「さっきの質問、答えてあげるね
まず、泣いてたのはまろの隣にいるのが不安だったから」
「え……?」
今日はもう何度その顔を見たものか。
「で、あのリップは今日買い物しているときに見つけたの」
「は、はぁ」
俺の言葉を理解しているのかよくわからないが、言葉を続ける。
「小町紅っていうやつらしいんだけどさ、江戸時代からあるリップなんだって。これ、水に濡れると赤になるやつなんだけど、店員さんの話によるとね、」
青side
「この紅を、緑色っぽくなるまで塗ったら、キスしたときだけ赤色に変わるんだって」
俺の肩から首にかけて手を回し、扇状的に微笑むりうら。
「へ……?」
自分でも、結構間抜けな声が出たと思う。
「ほら見て。りうらの唇、綺麗な赤に戻ったでしょ?」
そう言って自分の唇を指差す彼は、なんとも妖艶で。
「まろ」
艶やかな、少し高めの甘い声で呼ばれる。
「___________」
その言葉を聞いた瞬間、彼の唇を塞ぎながら、押し倒していた。
青side
彼の後孔に自身をあてがい、ぐっと埋めていく。
「……っはぁ/////」
腕で目元を隠し、抑えきれないというように吐息をこぼす彼に、愛おしさが込み上げる。
「りうら、力抜いて」
「む、りぃ………っ/////」
唇をぐっと噛み、力を入れている彼を緩めようと、彼の唇にキスを落とす。
最初は触れるだけだったものを、彼が口を開けた瞬間に自分の舌を滑り込ませ、執拗に絡める。
「………んっ、…………っふ/////」
キスだけで声を漏らす彼がかわいくて、もっと、もっと、と、彼の口膣を犯す。
歯列を奥から順になぞり、快楽が怖いのか、引っ込ませている彼の舌を捕まえ、少しだけ遊ぶ。
最後に仕上げとして上顎をつーっとなぞれば、ビクビクっと体が震え、彼のモノから白濁が飛び出した。
唇を離すと、りうらの口の端からは、どちらのとも言えない唾液が流れる。
扇状的な彼女に、自身に熱がこもるのを感じた。
「りうら、キスだけでイっちゃった?」
自分でも酷く甘い声が出たな、と感じつつ、快楽にとろけているりうらがかわいくて、つい口角があがる。
「キスしすぎて、もうリップ薄くなっちゃったね」
そう言いながら、彼を写す内カメを見せれば、りうらの顔は真っ赤に染まっていく。
自分のとろとろの顔が恥ずかしいのか、顔を隠された。
隙間から見える唇は、さっきのような緑色はなくて、赤も消え去り、りうらの唇の本来の色に戻っている。
俺が、色を変えた。
俺が、リップを溶かしたんだと思うと、愛おしさと共に熱いものが込み上げ、我慢できずに、自身の残りを彼の中へ一気に挿れた。
「んあっ⁉︎////」
半分も入っていなかった状態から突き上げられ、りうらは背中は大きく反り上がる。
「………」
りうらの腰を掴んでいた手を一度離し、小町紅を取った。
急に離れた俺を不審に思ったのか、腕の隙間からちらりと俺を見る。
「これ、唇だけじゃなくて、いろんなところに塗ってみよっか」
そう言いながら、筆をりうらの頬に擦った。
あっという間に薄紅色に染まった頬に、ちぅっと口づけをすれば、りうらの顔はもっと赤く染まる。
なんとも可愛らしい姿に、もっと見たいと、筆を下へと下ろしていく。
胸元に筆を這わせると、すぐ隣にあった赤い蕾が期待するように芯を持った。
もうすでに赤い蕾に筆を何度も擦る。
「……っふ、あっ/////」
くすぐったいのか、はたまた気持ちいいのか、彼は快楽を流すように身を捩らせる。
しかし、挿入済みのため、自分でいいところに擦ってしまっていた。
上からも下からも込み上げる快楽が辛いのか、彼のモノは主張を強くする。
執拗に擦り付けていた筆を離し、そこにもまた、ちぅっと口づけをした。
赤い蕾は口に含み、下で転がすように舐めたり、じゅっと吸ったりすると、2度目の白濁が。
「もっ、むり………っ////」
羞恥と快楽でりうらの目は潤み、扇状的な姿に俺の自身もどんどん熱を帯びていく。
もう少し。もう少しだけ。
筆をさらに下に下ろし、下腹部まで到達すると、そこも紅で色づける。
自身が入っているお腹にそっとキスをすれば、びくんっと体が大きく跳ねた。
「やっ、そこ……っだめっ////」
彼の中が蠢き、持っていかれそうになるのをぐっと堪える。
「ここ、キスされるの好きなんだぁ」
ちゅ、ちゅっと何度もキスを落とし、たまにじゅっと吸ったり、れろーっと舐めたりすれば、彼の中の熱が高められていくのが感じた。
もう2度もイったはずの彼のモノは、また主張を始める。
下腹部に塗った紅が全て溶け、唇を離すと、自分の下腹部をじーっと見つめているりうらが。
「そんなに見て、どうしたの?」
「………いや、ここに、まろのが入ってるんだなぁっておも、………て/////」
自分で言っておいて恥ずかしくなったのか、どんどん小さくなる声。
こんな可愛いことを言われ、我慢できる男がいるものか。
また顔を隠し始めたりうらの手をぐっと掴み、彼の下腹部へ添えさせる。
「そうだよ、ここにまろのが入ってる。ほら、少しぽこってしてるでしょ?」
形をわからせるように手を左右に滑らせれば、彼の顔は真っ赤に染まり、羞恥でわなわなと震えている。
その表情を見て、自分の中で何かが切れた。
あぁ、もういいか。
彼に安心させるのも、自分の隣にいてもいいと伝えるのも。
彼を労わるのも、ゆっくりと、彼のペースに合わせて甘やかすのも。
全て、もういいか。
今俺がすべきことは、目の前の愛おしい彼女に求められている快楽を与えることだ。
小町紅をその辺に置き、りうらに向き直る。
まだお腹に乗せているりうらの手をぐっと押せば、またびゅるっと白濁が飛び出した。
「ここ押されるの気持ちいい?」
「っや、やめ………っ/////」
彼の制止の言葉も無視して、自身をゆるく動かし始める。
「やぁっ、やらぁっ//////」
下腹部を彼の手でぐっ、ぐっと押しながら動かせば、高く甘やかな声で喘ぐ彼が、可愛くて仕方がない。
女の子ほど高い声も、柔らかい身体も無い。
それでも、俺の隣は君じゃないとだめだと植え付けるように。
激しく動かしながら、額を流れる汗を拭いながら髪をかき上げれば、彼の中がきゅぅっと締まる。
「…………お前ほんまどこまでもかわいいな」
また頬を赤く染める彼は、本当にかわいい。
りうらに俺の存在を刻もうと、激しく動かす。
あぁ、かわいい。
このまま中に俺の種を植え付ければ、彼はわかるだろうか。
赤ちゃんができてもいいかもしれない。
なんて、君を愛するifを想像しながら、彼の中へ欲を吐き出した。
………久しぶりに書いたら書き方変わりすぎていて驚いてます。
今回は、小町紅を題材にして書いてみました!
書き方も雰囲気も変わっていて驚きましたよね笑笑
小町紅は、作中でも紹介した通り、江戸時代からあるリップなんです。
水に溶けて赤くなるもので、これを繰り返し塗ると、玉虫色と言われるものになるんですね、
で、それはキスをすると赤く戻るんです。
………なんとも雅ですよねぇ。
青赤を合法的にキスさせたかっただけです。はい、すみません笑笑
リップだけでなく、チークなどにも使えるんですよ!
とても素敵なものなので、良かったら調べてみてください!
ちなみに余談ですが、水を含み過ぎると薄くなるんですよ、これ。
………まあ、どういうことかはご想像にお任せします笑笑
そして、りうらくんはなんて言ったんでしょうねぇ?
それを知ってるのは2人のみ!
自分の好きな言葉を当てて、妄想してみてください!
それではまた〜!
おまけ
青side
すっかり意識を飛ばし、夢の世界へと入っているりうらを撫でる。
彼が行為前に言っていた言葉。
俺の隣にいるのが不安だと。
隣にいるのはりうら以外ありえないし、りうらの沼にハマってしまったら抜け出すことなんか不可能だが。
言葉が、行動が足りなかったかな、と反省しつつ、無邪気な顔をして眠る彼が愛おしくて口がほころぶ。
急に、ぶー、っと、りうらのスマホのバイブ音がなって画面を除けば、2番から連絡が来ていた。
『いふくんとちゃんと話せた?』
『あのリップ、紅小町………だっけ?あれもいいけどさー、僕、やっぱりおもちゃで誘惑するのがいいと思うんだよねー」』
『ということで、りうちゃんのバックにこっそり小型のローター入れといたから、いふくんが帰ってくるってわかってる時にひとりで自慰するんだよ!』
…………いろいろ突っ込みたいところはあるが、ほとけにも相談するとか、どれだけ可愛くいれば済むんだこの恋人は。
一応、………一応な?りうらの鞄を確認すれば、ピンク色のアレが見つかった。
純粋な俺の恋人に何を教えてるんだと2番にはあとで叱るとして。
さて、どうしようかと、考えを巡らせる。
今日で、俺の気持ちはおそらく伝わっただろう。
ただ、また不安になるときがあるかもしれない。
そのときに……
もしくは、しばらく襲わないで、我慢できなくなったりうらが自慰するのもいいな。
自慰するりうらを想像してしまって、ごくっと唾を飲み込む。
りうらのことになると、とことん変態になる自分に呆れつつ、不安になったりうらを甘々に溶かすのもいいかもしれない、なんて考える。
今度はどうやってとろけさせようか。
不安になりがちな彼女に、俺は何を与えよう。
りうらのさらさらな髪を、優しく撫でる。
安心して。
もし、また不安になっても、小町紅のように、何度でも俺が溶かしてあげるから______
特に不安になったわけでもなく、行為を全くしなかったわけでもないのに、ただ欲が溜まったりうらが自慰をしていふに見つかるのは、また別の話………。
コメント
1件
久しぶりのお話めちゃくちゃ面白かったです! 小町紅を題材に書いてると普通にキスするよりエモくてすごかったです!!!