テラーノベル
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#二次創作
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第1部##01
「様子見の一学期」
5月
カーテンを閉めた窓の向こうから、移
動スーパーの車が来た音が聞こえる。
せかいじゅう どこだって
わらいあり なみだあり
みんな それぞれ たすけあう
ちいさなせかい
ディズニーランドの、潔の好きなアトラクション、いっつイッツ・ア・スモールワールドの曲。
『小さな世界』が車についた大きなスピーカーから響き渡る。潔が小さい頃から同じ曲で、車はやってくる。
曲が途切れて、声が聞こえる。
『毎度お騒がせしております。ミカワ青果の移動販売車です。生鮮食品、乳製品、パンにもお米もございます』
国道沿いのスーパーまでは距離があって車がなければ行けないせいか、潔の小さい頃から、週に一度、うちの裏にある公園にミカワ青果の車がやってくる。近所に住むお年寄りや小さな子供をつれたお母さんが、この曲を聞いて買い物にやってくる。
潔は一度も買い物に行ったことは無いけれど、お母さんは行ったことがあるようで、「三河のおじいさんももう年だから、あと何年来てくれるかわからないわね」と言っていた。
昔、このあたりにまだ大きなスーパーがない頃には本当に便利で、もっとたくさんの人が買い物に来ていたけれど今はもうそうでもない。大きな音楽を響かせるスピーカーがうるさいと苦情を言う人もいて、騒音問題になっている、とも。
騒音、とまでは思はないけど潔もこの音を聞くと、否応なく、今が平日の昼間だということを意識する。意識させられてしまう。
子供が笑う、声が聞こえた。
平日午前中の11時というのがこういう時間なんだということを、潔は、学校を休むようになって初めて知った。
ミカワ青果の車は、潔にとって、小学校の頃から、夏休みや冬休みに見かけるものだった。
こんなふうにカーテンを引いて、部屋で、身を固くしている平日に見るものでは、なかった。去年までは。
コメント
1件
白米さん、第2話読みました。移動スーパーの「小さな世界」のメロディーが、学校を休み始めた潔さんの日常に流れ込んでくる感じが、すごくリアルで胸にきました。音を聞くたびに「今は平日の昼間だ」って意識させられる感覚、去年までは違ったのにっていう静かな痛みがじんわり伝わってきます。続きが気になりますね。