寒さも程々に、砂嵐が舞うアビドスの昼頃。
ー午前11時ー
朝起きると会議室だった。昨日の放課後に昼寝をしていたら朝まで寝てしまっていたらしい。スマホを開きモモトークを見る。どうやら今日は砂嵐の為休校と皆で判断したらしい。そう聞くと安心し、まだ寝れそうだと欠伸をした。校内を探索し良い昼寝スポットは、他探していたらいつもの会議室が目に入り入った。
ホシノ「ん?これ先生の上着かなぁ?悪いけどおじさんの毛布にさせてもらうよ〜」
ソファーに寝転び先生の上着を自身に掛ける。
ホシノ「うへへー、先生の匂いがする…」
先生に買ってもらった鯨のキーホルダーを横目に眠気がピークに達した時、会議室の扉が開いた。
先生「あれ、ホシノ…?今日は休校なのにどうしたの?」
背後から聞こえる自分の最も聞いて安心出来る声。今はそうも行かなかった。
ホシノ「うへっ!?な、何だ先生かぁ、おじさんびっくりしちゃったよー..」
思わず寝ながら抱いていた先生の上着を背中に隠した。
先生「あれ、そこにあった私の上着知らない?そこに置いたんだけど。」
ホシノ「あ、もしかしてこれ?おじさん知らないうちに踏んでたのかも~、ごめんね先生。」
先生「全然良いよ、今日は肌寒いしね。これで良ければ羽織ってて。私は砂嵐で校内が荒れてないか見てくるよ。」
先生が会議室を出てく。再び先生の上着を抱きしめて私は眠った。
ー午後6時ー
空腹で目が覚めてしまった。目が覚めると自身に先生の上着とブランケットが掛けられていた。
ホシノ「うへぇ、お腹すいたよぉ…先生が戻ってくるまで待ってるかぁ…」
先生が戻ってくるのに少し時間がありそうだった。
ホシノ「先生が貸してくれたんだし良いよねこれくらい…」
そう1人呟き先生の上着を思い切り吸う。柔軟剤の香りと先生の落ち着く匂い、男性特有の汗じみた香りがした。中々に吸うのがやめられず先生が戻ってきたのにも気づかなかった。
先生「ごめんねホシノ遅れて、ほら、少し足りないかもだけど…カップラーメンがあったから食べ…ホシノ?」
先生の声に気付き、慌てて振り返る。
何となくで話を逸らし、先生もお腹が鳴る。
先生「そうだ、どうせだし私の知ってるある場所で何か食べない?」
先生が提案する。
ホシノ「先生の知る場所?うへ、おじさん暇だし、身体もなまっちゃうから着いてくよ。」
先生と2人きりのお誘いをされたのは「あの日」以来だろう。当然一緒に行く事にした。
先生「ホシノ、寒くない?」
先生から心配の声が掛かる。
ホシノ「おじさんは大丈夫だよ〜、先生こそ寒くない?」
先生はワイシャツと下にシャツしか着ていないらしく、見ていてとても寒そうだった。
ホシノ「夜の砂漠って良いね。」
先生がそう漏らす。昼は砂嵐と風で騒がしく、蒸し暑い気候が夜になるとここまで冷え、一才の音もしない。そう思う中1つの使われていない列車を見つけた。
ホシノ「ここが…先生の知る名所?」
先生「うん。覚えてるかな?私とホシノが1回ここに来て、さ。」
ホシノ「うへへ、もちろん覚えてるよー、相棒?」
先生「そう言えばホシノはヒーローだったもんね?笑」
ホシノ「自分で言っておいてだけどさぁー..やっぱりこの設定慣れないよぉ…//」
先生「そうかな?私は結構気に入ってるよ、あの時のホシノはカッコよくて…」
ホシノ「そ、そんな言わないでよ、おじさんだっていつもあの姿な訳じゃないし..」
先生「やっぱり盾とアーマー?って男性のロマンでね、」
その言葉に若干モヤッとした私は先生に問う。
ホシノ「先生ってあの姿のおじさんは褒めてくれるけど…普通の私は褒めてくれないの..?」
先生「え..」
言葉に詰まる先生を見て私は更に詰める。
ホシノ「あのね、先生。私確かにノノミちゃんと違ってその、まぁ平たいしゲヘナのヒナちゃんと違って普段はしっかりしてないけど…でも、悪い所ばかりじゃないと思うんだ。だからさ、その…おじさんも褒めて?」
先生は口を開く。
先生「…そうだね、ホシノ、君はいつも私やアビドスの皆の為に頑張ってくれてるよ。いつもパトロールしたり戦う時は最前線で皆が傷つかないように一生懸命戦っててカッコよくて…言い訳にもならないと思うけど、私は皆と違って撃たれたらすぐにやられちゃうし、身体能力もそこまで高くない。だからホシノ、君には毎回驚かされるし尊敬出来る場面もあるんだ。」
先生からこれだけの言葉を貰っても私は少し不満があった。それは…やはり可愛らしさ、だろう。いくらだらしなくても、中身は女子高生で目の前で好きな人が自分のいいところを語ってくれていても..可愛いと思われてないなら嬉しく思えない。
ホシノ「じゃあさ、その…おじさん、可愛げとかない?確かに私皆と違って違うとこも多いし、体はちっちゃいし…」
最後まで言いかけたところで先生が私の言葉を止め本音を語り出す。
先生「ホシノ…私はね、ホシノの見た目が好きじゃないとか、他の人の方が性格が気に入ってる、とかじゃないんだ。むしろ、ホシノの唯一無二の性格は好きだと思ってるんだ。それに…普段からお昼寝してたり、私に積極的に構ってくるとこも、可愛いと思ってるんだ。教師が生徒にこんな事言うのもだけど…少なくとも、私は少しホシノを特別な目で見てしまっているのかもしれないってね。」
ホシノ「…それは、私を生徒として、好きってことなの?先生..私の事好きなの..?」
先生「…生徒に自分の気持ちを隠そうなんてした私が馬鹿だったよ、ホシノ、もう自分の気持ちから逃げようなんてしない、それをわかった上で聞いて欲しい。私はホシノが好きなんだ。生徒としても、女性としても。だから…私とこれからも、こうして二人きりで話せたり、また水族館にでも、行けるような関係に…なって、くれるかな..?」
突然の先生の返事を聞き思わず涙が頬を伝う。先生に涙を見せたくない。それでも嬉しさで涙を止めることは出来なかった。
ホシノ「ぅっ..グスッ…せ、先生いきなりそれは反則だよぉ…こんなおじさんと、本当にこれからも一緒に居てくれる?」
先生「うん、もちろん。大人として、そしてホシノの人生の相棒としても、ね。」
ホシノ「うぅっ…うぇえん…ッ…せんせ、先生…大好き…!」
涙が激しくなってしまった私を、先生は抱きしめる。
先生「ホシノ、これからもよろしくね。」
ホシノ「うん..っ…..」
先生「さて、じゃあ帰…あれ、ホシノ?」
先生「…寝ちゃってるな、そりゃそうだよね..今まで自分が生徒会長として皆と楽しみながらも、涙を流せて頼れる人がずっと居なかったんだもんね…ふふ、いっぱい泣いていいんだよ..おやすみ、ホシノ。」
そこで私の意識は完全に途絶え、先生におんぶしてもらいアビドスまで帰る事が出来た。
先生「着いた…ホシノ、アビドス校に着いたよ。」
ホシノ「うぅ..ん…うへ…」
目が覚めると会議室のソファに居た。先生は隣で寄り添うように座っていた。」
先生「あ、もうこんな時間…23時かぁ。うーん…正直寝すぎたし…ホシノ、どうする?」
先程の告白を受けたせいかまともに先生と顔を合わせられない。
ホシノ「うへっ!?あ..えーと…」
しかしそこでいい案が出てきた。私と先生はもうそういう関係になったのだし、これくらい言っても平気だろう。
ホシノ「そうだねぇ…簡易的なお風呂あるし、それ入っていく?」
先生「あぁ、そう言えばあったね。分かった、じゃあ先ホシノ入っていいよ、」
その言葉を待っていたかのように私は先生に言う。
ホシノ「うへ?なーに言ってるのさ、先生?先生も一緒に入るんだよぉ?♡」
先生「えっ!?い、いやそれはちょっと難易度が..」
ホシノ「先生が言ったんでしょ?私はホシノの人生の相棒って、じゃあ..お風呂くらい入れるよね?」
先生「いやそれとこれは話が…」
ホシノ「ということで行こっか♡」
先生「待っ..ちょっ引っ張らないで!?ホシノ!!?冗談でしょ!?ホシノ!!?」
浴室
ホシノ「うへぇ、あったかいねぇ先生。」
先生「あー..まぁね…」
明らかに先生は私から視線をズラしている。そりゃそうだ。自分の生徒とお風呂に入る上にその生徒は…タオル1枚の姿なのだから。元々タオルなしで行こうとしたが流石に全力で止められた。
先生「も、もう先出ていい?」
ホシノ「駄目だよぉ、次いつこう出来るか分からないもんね?」
先生「…もう先洗ってるね。」
そそくさと小さな湯船から出た先生は体を洗いに急いでシャワーは向かう。
ホシノ「せんせぇ〜、おじさんが背中洗ってあげようか?」
先生「流石に駄目だよ!!?」
ちぇっと舌を鳴らし湯船に再び戻る。
先生「洗い終わったよ…ホシノ、次どうぞ。」
明らかに目線を逸らす先生が湯船に戻り交代となった。
ホシノ「はーい。あ、先生、おじさん背中上手く洗えないから洗ってよ〜。」
先生「だから無理だってば!!?」
ホシノ「可愛い生徒の、いやヒーローのお願い、聴けないの?笑」
先生「ぅぐっ…こうなるとは思ってなかったんだよ?」
ホシノ「ほら、いいよ?」
背中を見せ先生が止まる。
先生「…本当に洗うの..??」
ホシノ「もちろんだよ〜、」
先生が優しいながらも明らかに緊張した手つきで、まるで猫を撫でる優しい手つきで私を洗う。
先生「ほら…終わった…よ。」
体を洗っただけで完全に気が抜けた先生は肩を落とす。
ホシノ「前は?」
先生「自分で洗いなさい!!」
流石に前は出来なかったので渋々自分で洗い、お風呂を出る。
先生「全く…バレたら大変な事になるよ..」
ホシノ「おじさんは別にいいけどねぇ?」
先生「はぁ..まぁ、髪乾かして寝ようか。」
ホシノ「はーい。」
ホシノ「おやすみ、せんせ。」
先生「あぁ、うんおやすみホシノ。」
会議室のソファで寝ることにした。先生は隣の教室で寝るらしい。
ホシノ「これは..行かない手はないよねぇ..」
そーっと先生のいる教室へ入り、会議室から持っていったソファで寝ているようだ。
ホシノ「お邪魔しまーす。」
先生「わっ…ホシノ!?全く、会議室に寝れる場所はあるでしょ..?」
ホシノ「だって先生と寝たいんだもん。」
先生「いきなり距離感縮まり過ぎじゃない?」
ホシノ「そんな事気にしない気にしない〜、」
先生「はぁ…別にいいけどさ、おやすみホシノ。」
ホシノ「おやすみー、先生。」
今日一日の幸せと嬉しさを噛み締め眠りにつく。
ホシノ「これからもおじさんの事、頼むよ先生。」
先生「自分で言ったからには、当然大切にするよ、ホシノ。」
それから数年。
私は恋人として生活を共にしている。以前と違う部分も多いけど….私は幸せだ。