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「ねえ、シグマ君。君は本に書かれた、否、造られたか考えたことはあるかい?
、、、、、、、、、、、僕はあるよ」
彼は顏を見られないように俯き問い掛ける
「だからここに来たんだ」
意味を見つけるため、にね
メランコリックの慟哭
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天人五衰の実質的な解散後からもう二年が経つ。
リーダーである英雄。福地桜痴、
一員であり死の家の鼠の頭であった魔人ヒョードル・ドストエフスキーは死亡。
元天空カジノの管理人であった私、シグマと最恐の吸血鬼だったブラムは離脱
今や私も武装探偵社の正社員だ。
残った一人はと云うと私個人としても武装探偵社としても関わりたくなかった。
しかしながらその例の男から私宛てに一通の手紙が来た為。
現状確認の意味合いを込め向かうことになった
「行くのかい?シグマ。
、、、、、、、、、、思い出せるといいね」
「?」
それがここまでの経緯だった
だがしかし、私にはもう一つのとある任務を課せられていた
それは彼奴を手に掛けること。まあ彼奴に情何ぞないし困ることでは無いのだが
ほんの一つだけ、気掛かりな事があった
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夏の猛暑も少し引いた言うならば夏休みの終わり程の時期、
呼び出されたとある廃ビルの屋上で、二人の男が話していた
一人は清々しいとでもいう様に微笑み柵に背中を預ける
もう一人は警戒しているようで数メートル先から拳銃を構えた
「やあ!シグマ君!もう二年ぶりかな?」
天人五衰、最後の一人。道化師ニコライ・ゴーゴリ
奴は馴れ馴れしく手を振る
「急に呼び出して来てなんだ。私は戻る気はないぞ」
そんな奴に気を緩める訳もなく銃口を向け続ける
「嗚呼。勿論重々承知しているとも
だってもうシグマ君はあっち側の人間何でしょ?
生まれ乍らに運命を定められた僕なんかとは違う太陽の様な眩い存在。
僕からしてみたらまさに目の上のたん瘤だね」
眉を顰める私をそのままに奴は続ける
「羨ましいよ、ほんと、」
どういう意図なんだ、?
どれだけ思考を巡らせようと全く、此奴のほざくことは理解出来ない。
首を傾げる私に微笑む奴は、此の世のものとは思えない
「解んないか、
ま、いいよ。この物語の幕が下がる前には理解してくれるさ。きっと」
瞼を閉じ、何かを思い出しているようだ
「ねえ、シグマ君。君は本に書かれた、否、造られたか考えたことはあるかい?
、、、、、、、、、、、僕はあるよ」
彼は顏を見られないように俯き問い掛ける
「だから僕はここに来たんだ」
「は、?」
一体何を言っているんだ?此奴は
それじゃあまるで、
「まさか、御前も本に書き込まれて、、、、」
「やっと気づいた?」
「僕はね、ヒョードル君の欲求を満たす為だけに造られた、本当の道化なんだよ」
彼はクスクスっとまるで子供の様に笑った。
「そうだよ!!僕の人格も夢も生きる理由も、全部ぜーんぶ贋物の噓っぱち!!
面白いでしょ‼」
「辛く、、、、、、、、無いのか、?」
「ッ、、、、、、、そんな訳ッッ、」
「本当は辛いんじゃ、ないか、?」
途端に彼の躰を支えていた柵が外れ地面へと激突する
「じゃあね!!!」
これでも君は思い出せないんだね。
_____________シグマ君、此れは只の僕の自由遺志の表明、、、、、、だから、、、だからさ、泣かないで、
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僕はフョードル君の為に産まれて、ずっと、ずっとフョードル君の為に生きてきた。
けれど、ずっと、ずっと、解らなかった
「っ、、ん、は、」
なんでそこまで僕の躰を求めるのだろうか。
「ん、、、、ふ、」
彼の欲求不満を満たす為に何だってやって来た。
いきなり来て躰を暴かれることなんてザラにあったし
突然家を追い出されることもあった
「ゴーゴリさん。僕を、僕だけを見てくださいよ、、、」
そんな事、最初からそうだよ
気付いて無いのは何時も君だけさ。
矢張り彼は道具としてしか見ていないようで、何処か彼がとても遠い所にいるみたいに思えてしまっては、泣いて彼に惨めったらしく縋り付き、ぽっかり空いてしまった心の穴を埋めていた
「痛いよ、フェージャ、」
真冬の初雪の様に真っ白な肌はマーキングするかの如く、痛々しい傷跡で埋め尽くされていて其れが彼の劣情を煽るのだろうか。酷く抱き潰されては眠る事しか出来ず天井を只、見つめていた。[newpage]
「浮気した貴方が悪いんですよ?」
「あ”が”ッ”、、、う”ぐッ”ッ”」
今日の君は、特に機嫌が悪かった。
そこに僕が悪い事をしたから、こうなっただけ
「ぐるじッッッッ、や、、、、、、め、」
ヒョードル君はなんにも悪くない。
だって、ヒョードル君の為に生まれたのに、シグマ君をすきになるなんて、
「、、、、、、、、、、、、、、、し、、て、よ」
今際の際に何故こんな事を思い出してしまうのだろうか。
ねえ、ヒョードル君。
君は最初から、
シグマ君諸共、僕を殺すつもりだった。
こんな結末、最初から分かっていたんだろう?
だって、あの日、あの時間にあそこを指定したのは君なんだから。
なら、最期くらいは足搔きたかった
「なのに、君はまた邪魔するんだね」
今やもうもう希望なんて無いから。