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*自己満です。
僕はゴン太ご主人様にヨシヨシしてもらってご飯をもらって生活してる。
けど最近ご主人様のお友達がちょっと吠えたりしただけで、スリッパで叩いてくる、それで吠えたら、もっと怒るの。ご主人様の守ってくれるけどずっと叩いてくる。
もう絶対に信用しない。全員僕のこと叩くんだ。もう嫌だ。
ご主人様が来ても声を荒げて鳴いて噛む、そうしたら近づいてこない。そうして過ごしてたら、優しそうな顔のが来た。
けど信用しないって決めたから、威嚇する。よしよし怯んだな、おじさんは考えた後、長い手袋を持って来た。
いっぱい噛んだけど、僕は簡単に捕まえられた。
そしたら、大きな家に着いた。
そしたら、おじさんが首輪とリードを持って来た。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
おじさんも僕を叩くの?
こいつ(リード)さえなければ、僕は自由になれるのに。こいつが僕を苦しめるんだ。
壊してやる、噛みちぎってやる
え、紐を引っ張ってるその手、おじさんが僕を痛めつけるの? 先にやってやる、近づくな 噛んでやる、あっちへ行け!
動かないぞ。一歩も動かない。
おじさんもあいつら《ご主人様たち》と同じでしょ? 僕が言うことを聞かなかったら、どうせ叩くんでしょ?
ほら、やってみろよ。僕はもう負けない。お前の目を見てやる。隙を見せたらすぐに噛むからな。
……あれ? なんで叩かないの?なんで怒鳴らないの?
ただ、じっと僕を見てる。怖いけど、なんだかこの人の目は、今まで僕を叩いてきた奴らとは違う気がする。
……ふぅ。もういいや。睨み続けるのも疲れた。ちょっとだけ、信じてみてもいいのかな。
ふぅ、今日も歩いた。……あ、おじさんの手が伸びてきた。
前なら『叩かれる!』って思って噛みついてたけど、今は違う。この手は、僕を縛り付けてた紐を優しく外してくれる手だ。
お座りして待ってたら、おじさんが『よく頑張ったな』って言ってくれる。その声を聞くと、なんだか胸の奥がポカポカするんだ。
……ちょっとだけ、体をくっつけてみようかな。あ、撫でてくれた。人間の手って、こんなに温かくて気持ちいいものだったんだね
おじさんの手が、僕の頭にそっと触れた。
びくっとして身を構えたけど、痛みは来ない。ただ、ゆっくりと、僕の毛並みをなでる優しいリズムだけが伝わってくる。
「……あれ? 涙が出てきた」
自分でもびっくりした。目から熱いのがあふれて、鼻がツンとする。
あんなに怖くて、あんなに憎んでいた人間の手が、今は世界で一番安心できる場所になってる。
「ゴン太、よく頑張ったな。もう大丈夫だぞ」
おじさんの声が、僕の心の奥にある「痛い塊」を、少しずつ溶かしていくみたいだ。
僕は思わず、おじさんの膝に顔をうずめた。
「クゥーン」って、自分でも聞いたことのないような甘えた声が出た。
次の日、おじさんが僕を広い庭に連れて行ってくれた。
今までは「逃げなきゃ」「噛まなきゃ」って必死だった景色が、今日はキラキラ光って見える。
草の匂い、風の音、そして隣にいるおじさんの気配。
おじさんが両手を広げて呼んでいる
僕は夢中で走った。リードに繋がれていないのに、どこへも行きたくない。ただ、あのおじさんのところへ。
おじさんに飛びついた拍子に、僕は口を大きく開けて「はぁはぁ」と息をついた。
鏡なんてないからわからないけど、おじさんが「おっ、いい笑顔だな」って言ってくれたんだ。
僕、笑ってるのかな。
あんなに暗い檻の中にいた僕が、今、太陽の下で笑ってる。
おじさんの大きな手。
僕を叩くためじゃなく、僕を抱きしめるための手。
僕はその手を、もう一度優しくペロリと舐めた。
「ねぇ、おじさん。僕、生まれてきてよかったよ」
しっぽを思いきり振ったら、空の色がもっと青く見えた。
次回先輩の洗礼