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スポンサーとの用事がやっと終わり家に帰ると、玄関からでもトン、トンとリズミカルに野菜を切る音が聞こえてくる。
今日はカレーかな、と踊る心をグッと抑えキッチンに向かう、そこにはエプロンを着てカレーを作っている。
「おっ凪帰ってきたのか?おかえり!」
包丁を切る手を止めこちらに視線を向けた玲王はこちらにはにかんだ笑みを見せた。
ピッとレンジのスイッチが押される音が聞こえた。
「うん、ただいま。今日はカレー?」
「おう!毎日俺の飯食ってても舌が肥えないようにしろよ?」
「….」
上まぶたを少し閉じ、挑戦的な笑みを見せたレオはもうすぐでできるからあっちで待ってろとレオの背後にあるダイニングキッチンから見える二人分の席が用意された机を指差した。
はーいと適当に返事をするとその席に向かう
キッチンを出る前にレンジの無駄に大きな音の響く扉を開け、ため息を吐きながら食材を取り出した。
「ほら、どーぞ」
そうこうしている内にほかほかのカレーが運ばれてきた。一口食べる
「ゔえ..」
目線に見えるのは、散らかった部屋に転がる酒瓶と、高校までは普通に食べれてた惣菜のカレー。でも最初から変わらなかった大切なパートナー…玲王の笑顔は、一つの黒の額に収められた写真一つだけしか見ることは出来なかった。
あの日玲王が事故にあってから。
「ねぇ玲王。俺、お前の言う通り舌が肥えちゃたみたい、だからさ…
帰って..きてよ」
終わり
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お読みいただきありがとうございます!以下あとがきとなりますので読まなくて大丈夫です。
最近こういう伏線…て言うには大袈裟ですけど違和感を後で一気に拾うの系を書くのにハマっています😊
あの白宝ホラーとこの作品だけですけど…
最初のレオさん達は全部幻覚だったオチですが、時々書いたレンジの音は凪が現実でやったお惣菜を温めてる動作です。
空白はその音が聞こえるせいでレオのいない現実に引き戻されてしまう感じとか現実と幻覚の境界が表せたら …と思っております。