「なろくん?」
実家のような安心感。本当の声は低くてかっこいいことを俺は知っている。
「スマイリー……君、!?」
声をたどって振り返るけど、誰もいない。
「スマイリー君!?どこ、、?」
がさがさと草むらを掻き分けて声の出処を探る。手に硬い感触。缶バッジほどのサイズのそれを拾い上げると幾度も見た白玉フェイスが浮き出てきた。
「おお、なろくん!なろくん!聞こえる?」どうやら声はここから出ているようだ。
「聞こえる、けど…スマイリー君なの?」
「そうだよ!声加工してるからいつもの動画の声になってるでしょ?笑」
「うん…!僕さ、さっきここに何故かとばされたから、何したらいいかわかんないんだけど…」
さすがに草むらを走り回ってるだけじゃ良くないだろう。
こーゆーのって相場…「あっ、そーそー!なろくんにはまずあのお城に行って欲しい!」といって缶バッジサイズのしらたま(以後スマイリーと呼ぶ)はかちゃんと東の方角に飛び跳ねた。
俺がそちらに振り向くと、そこには大きな大きな城が堂々と立っていた。
「お城に着いたら門番に王様に会わせてって言うんだよ!僕の名前使ったら通してくれると思うから!!」ぴょこぴょこと跳ね回りスマイリー君は俺の胸元にひっついた。
「それじゃ、なろくん___行こう」
「うん」
スマイリー君の呼び掛けに、
〝僕〟
は大きく頷いた。
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