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「総理!ご結婚おめでとうございます!」
街中にマスコミの声が響き渡る。
“史上最年少総理 森川伸一郎(36)婚約発表”
テレビもネットもその話題で溢れかえっている。
皆が羨む甘いルックス、
そして頭脳明快、
そんな人と婚約する事になるだなんて。
私は橘 茉莉(たちばなまつり)。
京都にある旅館「夕顔亭」の一人娘。
総理と出会ったのは3年前。
プライベートで旅行をしていた総理に声を掛けられた。まさに運命の出会いだ。
そこから何度かお声をかけて頂き、お付き合いまで結婚した。この時はまだ総理の考えている事など、知る由もなかった。
茉莉さん、私と
「偽装結婚してくれませんか?」
「は、?」
一瞬頭の中が真っ白になったが、その後総理の自宅まで足を運び事の大きさに気づいた。
全体的に暖色。ピンク色で目がチカチカする。
金色のドレッサーには化粧品がズラーっと並んでいる。
よく見ると、私ではとてもじゃないが手が届かない額のコスメだ。
「これは、、何、?」
総理は一人っ子だ。母親もとうの昔に他界されている。何かがおかしい。
シャワーを浴びてくると言ったがもう2時間はたっただろうか。私は部屋にポツンと置いてある私には大きすぎるソファに腰掛けていた。
いかにも女の子の部屋、という感じである。
足音がした。総理が戻ってきたのであろうか。
「お待たせ!!」
戻ってきた総理の姿に私は漠然とした。
サラサラの長い黒髪。透明感の溢れる白い肌。
胸パッドにミニスカート、そして10センチ程のピンクのハイヒール。
「ごめんね!今からメイクするから! あ!茉莉ちゃんもその辺のコスメ適当に使っていいからね!」
そう。彼は、いや、彼女は
女装男子だ。
そして
“同性愛者であった”