今日はゾロと久しぶりのデート!最近、お互い仕事や剣道などで、二人きりになる時間がなかった。
でも、今日久しぶりに予定が噛み合い、先月できたばかりの大型ショッピングモールに行くことにした。
そのための準備を今、お互いにしているところだ。ゾロは、もう終わったっぽいが、俺はまだ準備をしている。あまり物は買わないだろうが、一応エコバックを持っていこう、と小さな引き出しからとる。そして、カバンに入れ、ゾロのいるリビングへ向かった。
ゾロは、淡い水色のラフなフードに、大きめの上着、黒のズボン。そして、俺が誕生日プレゼントとしてあげた黒い横かけ鞄を身に付けている。
俺は、白い厚めのTシャツに、薄い緑の暖かい上着、ズボンはゾロと同じ黒いやつ。鞄は英語の書かれた布製のおしゃれな鞄を肩にかけている。
「行ける?」
ゾロに聞けば、コクリと頷き、立ち上がった。玄関へいき、靴を履く。
ドアを開け外にでて、俺が鍵を閉める。すんでいるマンションの階が六階なので、エレベーターで一階まで降りる。
「ゾロ、その鞄つかってんだな」
「おう。」
「‥バスで行く?電車で行く?」
「‥‥電車だな。」
「へいへい」
なんて、言葉を交わしながら、マンションをでた。駅までは歩いていけるほどなので歩いていくことに。歩いている間、特に話すことはなくお互い黙りながら歩く。歩いている途中、公園があり、そこで幼い子供たちがシャボン玉を吹いていた。
ふわふわとこちらに近づいてきたので、パチッ!と両手でシャボン玉を潰した。
どこか視線を感じる、と振り向くとゾロが見ていた。ガキのような行動を見られ、ほほが赤くなっていることに自分も気づく。
「へぇ‥‥、まだガキか」
「‥っ、ぅ、うるせっ‥」
ぷんぷんとゾロより早く進むと後ろから、けらけら笑っている声がした。
イラァっとしながら駅の改札につき、電車に乗った。土曜日なのにも関わらず、あまり人がいないので、椅子がすいていた。二人で隣になり椅子に座る。
それぞれ、スマホをいじり、目的の駅に着くまで沈黙だった。
ーーーーーー
駅に着き、そこから歩き、大型ショッピングモールに着いた。やはり、人が多い。人の多いところが苦手なゾロは顔をしかめている。
「‥違うとこ行く?」
「‥‥いや、いい。」
無理をさせるかも、と思いつつショッピングモールに入った。すると、やはり人しかいなかった。ゾロはさらに顔をしかめたが俺に気を使わせないように、すん、と顔を戻した。
「どっか、行きてェとこあんのか?」
ゾロにそう言われ、服屋に行きたい、と言った。ゾロは否定することなく「わかった」と着いてきてくれた。
「ゾロ、これ似合うんじゃねェか?」
「‥そうか?」
緑色のトレーナーをゾロの前に差し出す。トレーナーの真ん中には海賊旗のようなマークが描かれていた。
「試着すれば?」
「めんどくせェ‥」
「そう言うと思ったよ、マリモくん」
呆れ気味にいい、服屋をでた。
するとゾロが顔を覗かせながら言う。
「もういいのか?お前に似合いそうな服結構あったが、、」
「うん。もういいや。ゾロは、どこか行きてェとのねェの?」
「‥特にねェな‥」
「じゃあ、ペットショップ行こーぜ!」
大好きな猫や犬を見たい!と目をひらめかせゾロにいうと、ゾロは、「へいへい」と鼻で笑いながらペットショップに行くことに。
すると、珍しい緑の毛をした猫がいた。片目は過去に転んでしまい失くなったそうだ。そして、もう片目は鋭い目。
「‥あっはは、こいつゾロそっくりだ!」
そういえばゾロは、ムッと口を尖らせる。
「んな似てねェ…。」
「似てるさ。こいつ飼ったら毎日抱き締めてェなぁ~」
「‥猫じゃなくて俺にしとけ。」
「なっ…‥‥。ぉ、おう」
と、頬を赤らめ、隣の猫を見た。
金色の毛をした猫だ。ゾロは急にけらけら笑いながら、猫を指差す。
「こいつ、てめェそっくりだな、」
「‥ん~?言われてみれば、、、」
「こいつ、目が青いぞ。」
「わ、ほんとだ」
「お前と一緒じゃねぇか。こいつ、飼いてェな。」
「‥もう飼ってるだろ」
ゾロは、動きを止めた。
自分も、我ながら恥ずかしいことを言ったな、と後悔する。
「あぁ、その通りだな。もっともっと可愛いやつを飼ってるもんな。」
ゾロは、後ろを向き、勝手に歩き出す。俺は、ぼんっ、と顔を赤くしたのが分かった。
クソ、やられた。
俺はゾロのもとまで駆け足でいき、ゾロの背中を叩いた。
俺がお前の頬を赤らめようとしたのに、仕返しするなボケ!
ゾロは、けらけら笑いながら振り向いた。
「わぁかったから、叩くな。」
「このやろうッ‥、」
頬が熱い。きっとまだ頬が赤いのだろう。
俺は叩くのをやめず…眉間にシワを寄せてゾロを睨み付けた。
「‥‥‥おい、‥あんまその顔表に出すなよ。」
と、言い残し、俺の手を引いて歩き出した。俺はその言葉の意味がよくわからず、ゾロの顔を覗きながら歩く。耳が赤くなっているため、何に照れているのか、さっぱりわからなかった。
ーーーーーー
昼が近くなり、フードコートに来た。どれを食べようか迷いながら席に座る。ゾロは、辺りを見渡し、何を食べようか迷っているようだった。ものすごい数の店があり、どれも有名料理店で人気のある店ばかり。他の客も悩んでいる様子だ。
「サンジは何たべんだ?」
「‥んー、ラーメン‥かな、」
「んじゃ、俺もラーメンにする」
「え、好きなもん食べろよ」
「いや、たくさんありすぎて選べねェからラーメンでいい。」
そう言いながら、立ち上がりラーメンを頼みに行く。ゾロは豚骨、俺は醤油を頼み、席に戻った。あまり食欲がないが、食べれるか不安だった。
まぁ、食べ始めれば食欲がわくこともあるためあまり心配はしないほうがいいな。と、椅子に腰かけると、下半身にドロッと何かが降りてきた予感がした。
嫌な予感‥
「‥ちと、トイレいってくる。ラーメン来たらとっといてくれ」
「‥ん。」
そう言い残し、早歩きでトイレに向かった。個室に入り、ズボンを脱ぐと、予想は的中。
先日から腰痛やからだの重みがあったためもう来るかも、とつけておいたナプキンは真っ赤に染まっていた。
よりによって‥なんで今くんだよ‥!と、心で呟きながらも鞄のなかにいれてあるポーチからナプキンを出し、新しいのに張り替えた。
あとは、痛みを和らげる薬を‥‥、
「ぇ‥、」
ポーチのどこを探しても薬がなかったのだ。いや、おかしい。だって、この間いれたばかりだ。いや、待て。そういればナミさんに薬をちょうだいと頼まれて渡してしまったんだ。
それでそのまま入れ換えるの忘れてた‥‥!
何やってんだおれ‥。
痛みに耐えられるか‥‥?相当重い方なんだが、耐えれるか‥?もし、耐えれなくて迷惑をかけたら‥?
なんて考えている間に時間は経つもの。ゾロに不審に思われるのも気が引ける。トイレからでて手を洗い、鏡に映る自分を見ると、顔がひどく青くなっていた。
ゾロのいるところに戻りながらも、下半身の痛みに押し潰されそうになる。
痛い‥と心で呟き、ゾロが見えてきたら、我慢をした。
「遅かったな。もうラーメン来てるぞ」
「‥‥ぁ、おう。サンキュ」
「ん。いただきます」
「いただきます」
手を合わせ、ラーメンをすする。調子は悪くても、胃は空なのでラーメンは食べれた。
ゾロは大盛りなのか、ものすごい量だったがペロリと完食した。俺も全部食べ、手を合わせた。
「ごちそうさまでした‥」
小声でいい、片付けようと、席を立とうとするとゾロが
「‥俺運ぶ。ここでまってろ」
と、言われ遠慮なく待つことに。ゾロが背を向けて歩き出したら机にうつ伏せになった。
痛い‥‥痛い‥‥痛い!死ぬかも‥‥、
すごく‥‥痛いっ
立ちたくない‥‥、、
気を抜けば涙が出そうだ、、。
ゾロがやってきたら、甘えてしまうかもしれない。でも、さすがに甘えられない。迷惑かけちまう‥‥。
片手で腹をさすりながら目をつぶる。
帰りたい‥‥帰りたい‥‥でも、ゾロに迷惑かける。せっかくここまで来たんだ。それに夜はイルミネーションを見ようって約束したのに‥
自分を責めながら、お腹を擦る、それでも痛みは消えない。
どうしよう、どうしよう、ゾロ‥‥‥‥
「無理しなくていいから、腹が落ち着いたら帰るぞ。」
ゾロの声がして、はっと顔を起こすと、ゾロは身支度を終わらせており、いつの間にか前に座っていた。
「‥‥ぇ、な、‥なんで‥‥しってッ‥‥」
「やたらと顔色悪ィし、ラーメン食ってるときすげェ眉間寄ってたから‥‥。逆にわからねェと思ったのか。」
結局バレちゃうのかよ。
ゾロの顔は、どこか怒ってるような顔だ。
そりゃ、そうだよな‥イルミネーション見たかったよな‥‥、、、
「悪ィ‥‥ほんとに。」
謝罪の言葉を表に出した。
「謝んな。お前は悪くねェんだから。‥‥行けそうか?」
「うん‥‥、」
立ち上がると、痛みがさらに強くなったがあまり顔に出さないようにゆっくり歩く。
ゾロもそれに合わせて歩いてくれた。
ショッピングモールを出て、駅まで歩くのだが、お腹が痛すぎて一歩一歩が精一杯だ。早く…。早く‥‥。まだ駅までは遠いぞ、
「‥‥ぅ、、ふぅ…」
「‥もうちっとだ。頑張れるか?」
「‥‥うん…。」
「うし。頑張るぞ」
ゾロが背中を擦りながらそう言ってくれてものすごく安心した。
そしてようやく駅に着き、電車に乗った。電車はやはり人がおらず、今の状況には、本当に最高だった。
「‥‥平気か?」
「‥‥ん‥。‥平気‥‥」
耐えるのも辛くなってきて、ゾロに寄りかかる。片手でゾロの服をギュっとつかみ、自分を安心させようと、ゾロにくっついた。
「降りるぞ。」
「‥‥ぉ‥う‥‥、」
電車から降りると、ゾロが腕を引いて改札へ歩く。でも、お腹の痛みに思わず唸り気味で声がでてしまった。
「悪ィ‥‥休むか?」
「‥大丈夫だからッ‥‥早く‥‥帰ろう…‥‥」
痛みに耐えながらも改札をでると、見慣れた景色が訪れ、安心する。しかし、そとの寒さにお腹が、ズキンズキンと刺すかのように痛み始めた。ゾロは俺のスピードに合わせながら、ゆっくり歩いてくれた。でも、少しずつ我慢の限界がでてきて、歩けないほどになってきた。足を動かすだけで命拾いだ。
ゾロに腕を引かれているため、立ち止まることができず、歩くことしか頭になかった。
ゾロはぐんぐんと前に進んでいき、追い付けなくなりそうだった。
早く歩かないと‥‥
ぁ‥‥ぁあ、痛いっ‥‥、痛い‥‥、
まって‥‥。‥‥まって‥‥、、ゾロッ‥‥
腹を抱え、立ち止まりそうになる。
座りたい‥‥座りたい‥‥。きつい‥‥‥。
「ゾ‥‥ロッ‥、」
気づいたら小さく声を発していた。でも声が弱く、小さいため、止まってくれるかわからないがとにかく、座りたかった。
「‥‥!‥‥わ、悪ィ‥。平気‥‥じゃねェよな。座るか?」
「すわ‥‥りたぃ‥‥、、」
「お、おい‥‥!」
足に力が入らなくなりゾロに寄りかかり抱きついてしまう‥でも力があまり入らず崩れ落ちていきそうだ。
「‥公園のベンチで休もう、な?抱いていくか?」
「‥うぅん‥。歩ける」
「分かった。」
と、背中を支えながらベンチに連れていってくれた。座り、腹を抱える。ゾロに寄りかかり、目を瞑る。
行っていたときは子供が遊んでいたが、もう帰ったのか公園には俺たち以外誰もいなかった。ここから家までまだ道はある。いつもなら近いと感じる道が、今は遠く長いに気がした。目をゆっくり開けると、ゾロが俺の顔を覗いていた。
「平気か?」
「うん‥。へいき‥‥」
「‥すまねェ。苦しかったよな。痛いのによく頑張ったな。」
優しく頭を撫でられ、涙が出そうになる。
でもここで出すな‥‥家で出そう‥‥、それに帰ったら甘えることができるから。もう少し、もう少しだけ‥‥耐えろ‥おれ…‥‥
ゾロはまっすぐ俺を見つめ、反省している瞳で俺の頭を撫でる。優しくゆっくりと撫でられ、少し落ち着いた。
「‥‥落ち着いたら、抱いてくか?」
「‥‥あるける、‥」
「ん。」
「もう‥‥いこー‥ぜ。」
「‥もうちっと休んだらどうだ?‥」
心配してくれるが、俺はニコッと笑いゾロの横を歩いた。ゾロは俺の横に着いてくると、ゆっくり歩いた。まだまだ家までは遠い。
歩いても歩いても、一歩の幅が小さくてなかなか進まない。やっぱり、無理して動くんじゃなかった。
ゾロにこれ以上迷惑はかけられない、と立ち上がったものの、かなりきつい。ただ、もう公園には戻れない。
腹を抱え、歩き続ける。だが、少しずつ歩くのが遅くなっているのに気づいたゾロが背中を擦る。
「‥休むか?」
「‥‥はぁ‥‥ふっ…‥いい‥、俺はっ‥平気‥だからッ‥‥‥早‥く‥‥帰りたいッ‥」
「‥ん」
ゾロはまた前を向き、俺が少しでも歩けるように優しく押しながら、背中を擦る。
マンションに着くと、安心した。いや、それより達成感の方が強かった。
「ぁ…‥‥やっと‥、、」
「‥もう着くぞ。もう少しの辛抱だ。」
エレベーターに乗ると、六階まで上がっていった。すると、雷のような音が響き、それと同時にエレベーターがガタンッと止まった。
俺はその衝撃に倒れそうになるも、ゾロが間一髪で助けてくれた。
「大丈夫か?怪我ねぇ?」
「ない‥、それより‥‥何がおきて‥るんだ」
ゾロはボタンをポチポチ押しながら俺の手を握っている。するとゾロはうんともすんとも言わず、緊急コールセンターへ繋がる電話ボタンを押す。
なんとか通信が繋がり、ゾロが状況を話す。
ぁ…‥‥やべ‥倒れそ…‥、
咄嗟にゾロの前にいき、コールとゾロの間にはいった。そして、抱きつくとゾロはそんな俺の頭を撫でながらニヤリと笑い、コールを続けた。
「‥どうやら、雷の影響で、マンション全体が停電したらしい。ブレーカーとか確認するから、あと30分はかかるそうだ。」
ゾロは、俺の頭を撫でながら、もう片方の腕を腰に回す。
「‥‥ん‥‥、うぅ‥ッ‥‥ゾ‥ロ‥」
「‥座るか。」
そういい、角っちょのところで俺を座らせたゾロは俺のとなりに座って自分の上着を俺のかたにかけてくれた。
「‥いいよ‥、ゾロがさめちまう‥‥。それに、そんな‥ひでぇ寒さじゃねぇし‥‥」
「いーからきとけ。‥体冷えたら腹に来るだろ。」
そんな言葉に少し照れながらも、俺はゾロに寄りかかり、痛みに耐える。
何分か経つと、寒くて、エレベーターのなかはさらにさらに寒さを増していった。救助はまだ来ない。俺は強い痛みに耐える。
「‥ぃ!‥‥んじ!!ぉ‥い!さ‥んじ!!サンジ!!」
「へっ‥!」
ゾロが俺の名前をよんでいたことに気づき、慌てて反応する。
「‥‥ごめ…‥‥、」
「‥謝んな。‥それより、かなり体冷えさせたな、‥すまん、」
「なんで‥なんで‥‥ゾロが、謝るんだよ‥‥。なんも悪くないのにッ‥」
「‥いや、何となくだ。」
と、俺の頬に触れる。ゾロの手はなぜか暖かく俺はゾロの手にふれる。
「‥‥体がつめてぇ‥‥。体温奪われちまうよな‥。抱き締めるから、体動かすぞ。」
と、言われた瞬間体が宙に浮き、暖かいところに体を埋めた。
「ん‥‥、、」
「‥きついよな。もうすこしだけ頑張ろうな」
「‥‥ぅん‥」
痛みが限界まで酷くなり、頭もいたければ腰もいたい、、
その途端、エレベーターのドアが空いた。
「大丈夫ですか!怪我はありませんか?」
マンションの管理人が心配しながら声をかけてくれた。俺が生理だと知ってるほど親しい人なので、急いで部屋に戻るよう優しく声をかけてくれた。
「ありがとうございます。」
ゾロは管理人にお礼を言い、荷物を持ちながら俺を抱えて部屋に向かった。
部屋のドアをあけ、ゾロは俺をソファの上にゆっくり寝かせた。
「薬とってくる。」
そういいながらソファの背もたれにかけてあった毛布を優しくかけてくれた。
薬を取ったゾロは俺にゆっくり薬を飲ませ、隣に腰掛けた。
「ごめんな」
「何が」
「デート、台無しにしちまって」
「お前を無理させてまでデートをしたいだなんて思わねェ。それに、お前は迷惑かけて申し訳ねェとか、嫌われる、とかごちゃごちゃ考えてるかもしれないが、決してそんなことはねェからな」
全部図星だ。
実際そう思ってた。俺がゾロに甘えたり、デートしてるのに俺のせいで帰らせたり。ゾロは顔の筋肉1つも変えない仏頂面かましてるから、どう思ってるのか分からないし。
ずっと、不安と心配で頭をごちゃごちゃさせてたのは事実だ。
「分かったか?」
「うん」
「ん。じゃ、今日はこのまま寝るぞ」
「え?」
優しく抱っこされ、寝室のベットへと連れていかれた。
すると優しく抱き締められ、暖かい布団を被せられた。
「…ぞろ」
「なんだ」
「ありがとう」
「…おう」
END
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