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中二病とは、中学二年生頃に見られる背伸びしがちな言動を自虐したものである。

だが、その言動がもしも本当であるとしたらどうだろう。


プロローグ

野乃咲春奈という少女は中学二年生になった。春奈は13年間普通の少女として過ごしてきた。着飾らない日常の中で、普通の女子中学生として普通の生活をする。そんな日常が消え去ったのは、中学一年生の春休みの事。

春休みの課題を一生懸命に取り組んでいると、突然パキッと室内に音が響いた。

シャーペンが割れたのだ。ただ握っていただけで。

[うっえええ!壊れたああああ!悲しいいいいい!お気に入りだったのに!]

この時春奈は何の疑問も抱いていなかった。自分の握力でシャーペンを壊したとは夢にも思っていなかったからだ。

別のシャーペンを筆箱から取り出し、課題に取り組もうとしたとき。

筆箱が破裂した。春奈は唐突な出来事に息も忘れていた。

[う、嘘だよね?触れただけで壊れるなんて……]

正座で座っていた春奈は立ち上がって、部屋のドアノブを握った。すると、ドアノブが綺麗に外れた。

[う、うえええええええ!?]

外れたドアノブを直そうと、ボンドを手に取ると、それすら溶けて使い物にならなくなった。

[誰か嘘って言ってええええ!]

春奈が叫んでいると、頭上から手紙のような封筒が降り注いできた。

手に取り、封を開けると、中には四つ降りにたたまれた紙が。

開いてみると、こう記述されていた。

[[この手紙は、あなたが触れても壊れません。なぜならこれは人間界のものではないからです。あなたはただいま強力な力に驚いて、[誰か嘘って言ってええええ!]と叫んでいる事でしょう。でも、安心してください!今ならお得なサービスで、包帯を巻けばその力を抑える事ができます!さらに!これから目にも異常が生じますが、なんとなんと!眼帯でその力を封印できるんです!眼帯+包帯セットで1200円なところ、お値段なんと送料無料の500円!こんなにお得なのは今だけですよ!早い者勝ちです!今からあなたに500円を支払ってもらいます。では]]

何かのCMのようだったが、春奈は気にしない事にした。

[どうやって500円を支払うのおおお!]

[直接もらいます]

[うわあああああああ!]

その声は窓から聞こえてきた。なんと窓に美少女が。

黄色い天使の輪を頭に浮かべていて、クリーム色のロングな髪。まつげが長くて、瞬きまでも美しい。そんな神秘的な容姿とは打って変わってのポップな洋服。

紫色のパーカーに、半パンのセット。靴は白と黒のスニーカーだった。

[その手紙を書いたのは言うまでもなく私です。あなたは物に触れるとそれを破壊してしまう。でも、この包帯を使えば力はなくなります!500円です!]

[包帯を巻かないで治すには?]

[まだ方法が見つかっていません。だから包帯を進めているんです!]

その天使は目をキラキラとさせて春奈をみつめた。

[どうか!買ってください!普通の包帯を巻いても意味がありませんよ!これでないとダメなんです!]

ついには瞳を潤ませて懇願してきた。春奈はこの現象を一旦落ち着かせるためにはこれしかないと思い、お財布から500円玉を取り出す。

それを天使の手にそっと置いた。

[500円!払ったよ!]

[ありがとうございます!では、包帯を巻かせていただきます]

天使は春奈の右腕と左腕にきっちりと包帯を巻く。春奈の手は包帯で真っ白だ。

[さすがに周りからどう思われるの!?]

[どう思われても気にしないで下さい!あ、眼帯もつけてあげます!右目がヤバいんですよねー]

そう言って笑顔で眼帯を春奈につける天使。

[これでOKです!では!]

天使は白い羽で暗い夜空を飛んでいく。

春奈は呆然と見ている事しか出来なかった。

この出来事が、春奈は中二病と勘違いされる大きな要因であった。





























第1章、新学年デビュー大失敗!

2週間程の春休みが終わり、学校へ行く日となった。

春奈は勢いよく家をてでいき、友達との集合場所へ向かった。その場所にはもう友達が来ていた。

そして、開口一番にこういった。

[どしたん!?その腕と目!?]

春奈の友達、永末友花。春奈とは正反対のロングヘア。友花の瞳は驚愕で目が大きくが開かれていた。

[あー。なんか、色々あって!]

[いやいや、色々あってもこうはならんやろ!]

さて、どう弁解をしようか。春奈は言い訳を考えるが、言い訳は浮かんでは消えてを繰り返す。

[春休み中にさ、なんか握力強くなって、物壊しちゃって、そしたら天使が来て、包帯巻いたら握力おさまるっていうから!]

[さっぱり分からへん]

親友にジト目で見つめられる春奈。自分でも言ってる事がわからなくなってきた春奈。

[とりあえず学校向かうよ!!]

[はいはい]

通学路を何気ない会話をしながら歩く二人。

学校へ着き、昇降口を通る前に、クラスがかかれた紙を見なければいけない。

春奈は緊張した面持ちで紙を見た。

春奈は一組で、友花は二組だった

[嘘!友花とクラス離れた!!]

[残念やね。嘘じゃあらへんよ]

春奈は友花を揺さぶった。

[いーやーだー!]

[ちょっ、皆みとるから!]

メガネをかけた黒髪ショートヘアの子が、二人と事を侮蔑する眼差しでみつめていた。

それに気づき、慌てて友花の肩から手を離す春奈。

[んもー。春奈はアホやね!]

[仕方ないもん!というか、友花いなかったらつまんない!]

[ウチやってつまらへんよ。春奈以外に友達おらへんし。まあ、転校してきたからそりゃそうやけどね]

二人は幼稚園、小学校、中学校も同じだった。

同じ中学校に通っていたのだが、親の都合で転校。

学校が離れてもずっと友達。と、二人は約束したのだが、転校先がなんと一緒であった。そうして、今に至る。

[教室入るの怖い!]

[ウチも。中2のフロアは二階やっけ?]

[そうだよ!]

二人は階段をあがって、それぞれのクラス前に来ていた。

不安な二人は一組と二組の境目の所でウロウロしていた。

やがて決心し、お互いはなれあう。

[春奈、また帰りに会うやで!]

[そうだね!お互い頑張ろう!]

そう言い、春奈は後ろの扉に近づく。

深呼吸をし、扉を開けた。

教室にはガラガラと音が響く。

教室内の人達が、春奈に注目した。視線を一気に感じた春奈は潔く席に着く。

そして、鞄から本を取り出した。こういう時は読書が一番だ。

初めは春奈を凝視していたクラスメイトだったが、しばらくして各々の会話に戻っていた。

時間になり、担任が様々な事を話始めた。

新学年に必要な情報を一気に放ち始める。

[ま、そんなわけだ。とりあえず連絡は終わりな。じゃあ、一足先に転校生に挨拶をしてもらおう。転校生、自己紹介できるか?]

[はい!榊原中学校から来ました!野乃咲春奈です!よろしくお願いします!]

[というわけだ。仲良くしてやってくれ。所で、その包帯はどうしたんだ?]

[色々ありまして!]

春奈がおどけた声で話すと、クラスメイトから笑いがおこる。

担任の先生はそうか、とだけ言い、チャイムが鳴った。

[休み時間だ。3分前には着席すること]

周りが休み時間特有の空気に包まれた。

春奈は読書でもしようかと本を取り出した。すると、1人の女子生徒が話しかけてきた。

[あんた、その怪我大丈夫なの?何したら腕が包帯ぐるぐる巻きになるのよ]

その生徒は下駄箱にいたメガネショートヘアの子だった。

[えーとね、色々!]

[その色々を聞いてるのよ]

その声は何が何でも逃がすまいという圧力を感じた。

[えーとね、春休みに触れた物が壊れちゃうようになって、この包帯で防いでるの!]

[なんだ、ただの中二病か。ちょうど中学二年生だからって、中二病デビュー?バカみたい。その眼帯も?]

[わからないの。眼帯を天使ちゃんにつけられたから]

[天使ちゃん?あんた、大丈夫?妄想しすぎて現実との区別つかなくなったの?]

ひどい罵りようだ。春奈は女子生徒から視線をそらすようにうつむいた。

[じゃあね]

[待って!名前は?]

[は?自己紹介で分かるでしょ]

その子は臾羅戯カレンという名前だった。自己紹介の時に名前とよろしくだけを言って席に着いていた。

今日は午前中で学校が終わった。春奈は友花と一緒に帰る。

朝と同じく、二人は途切れる事なく会話を続けた。

[春奈ー!また明日ー!]

[うん!また明日!]

お互い別れをつげる。

すると、突然春奈の右目がひどく痛んだ。あまりの痛さにうずくまってしまう。

[何、これ]

あまりに無機質な声がでた。


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