同僚「な、なんてことだ…」
「まずい…」
守護隊「下がれ!」
後ろからふりかかる声に従い、少し離れて地に足をつける。
市民たちもザワザワしている。
守護隊「この悪ガキども!何をしてくれよう!」
近衛兵「…これは驚いた…」
こっちでは守護隊
向こうでは近衛兵
彼らは自身の国を守る兵達だ。
守「…近づくな!」
近「何もしてないが。」
光「あれが闇の世界…?」
光「何が起こるかわからないほど暗いわね…」
光「怖いわ…」
闇「光の世界は眩しいな…」
闇「…なぜ急にこんなこと…?」
闇「…馬鹿な光族がやったんだろ」
「…こりゃ驚いたな」
同僚「あんなふうになってるんだ、闇の世界って」
向こうからの冷たい風が、足元のヒナギクを揺らしていた。
向こうはちょうど夜みたいだ。
白い月が輝いて、建物を照らしている。
近「なぜ世界を繋げた?」
守「…子供たちのイタズラだ」
近「イタズラだと?」
光子「だって!光の奴ら!僕らをバカにするんだもん!」
闇子「バカにしてねぇよ、勝手に暴れてるだけだろ」
光「だいたい、闇族と光族が仲良くしようなんて無理な話だろ」
闇「向こうは気が強いからな〜」
光「なんだと?」
やっぱ騒ぎ出したか…
先祖からの血がある以上本能的に嫌悪感があるんだろうな…
特に老人たち…
光「相変わらず陰気臭いなぁ…」
闇「何も考えずに騒げるほど知能は低くないのでね」
光「んだと!?」
闇「っははw切れた切れたw」
近「静まれ!うるさいぞ!」
守「争うな!黙りなさい!」
「…まずいことになってない、?これ…」
同僚「あぁ、…」
光「ちょうどいい!こんなヤツらやっちまおうぜ!!」
そう自信に満ち溢れた声
闇「返り討ちにしてやろう!」
向こうも負けじと声を張る
ドカンと銃声が鳴り響いて、
一つ血が舞い上がった。
人々の唸り声
お互いにぶつかり合う。
その境目は、血と憎しみでむせ返るほど。
「っ、やばい、近衛兵たちも手に負えなくなってる…!」
同僚「とにかくとめねぇと…大きな戦争になる前に…!」
「でもどうやって!」
同僚「…とりあえず…隔離していくしかねぇ!」
「…っあぁ、もう!!」
俺たち医者は、比較的魔力が高い。
同僚「静まれってんだ!!」
魔法で障壁を作り、人々の接触を避けようと試みるが、彼らの熱意で簡単に退けられてしまう。
想像を超える人間の感情は、魔法に勝てない。
「…ッくそ…っ、!」
その時、一人の人間が闇の世界から飛び出してくる。
上空を飛び、奥へ行こうとしている。
何か策を持たれていてはまずいと思い
境界を離れてその人物の後につく。
「おい!まて!」
男「こっちに来るな!」
「お前何する気だ!」
俺って医者だよな…なんでこんな守護隊みたいなことしてんの…?
「いかせねぇよ!」
脳天に雷を撃ち込んで、怯んだ男を捕まえる。
闇世界に返してやろう、
そう思い、彼を担ぎながら進む中尋問を繰り返す。
「お前何しようとしてた!」
男「なんもねぇよ…っ!」
かなり弱っている。恐らく俺の雷が効いたのだろう。
急いで闇の世界へ行き、中に入る。
そこはやはり暗く、茨が生い茂っている。
路地裏に入り、横たわらせる。
着物の内から一つ薬を取りだして、彼に持たせる。
「水で飲んでくださいね」
そう丁寧に告げた。
「ッ、、!?」
後ろから冷たく響く声
その冷気は足元をつたい俺を縛り付ける
男「っあぁ、!たすかったっ、!」
「ま、まて…ッ、おれは…ただ…ッ」
??「…」
頭にコツっと魔法の杖が当たる。
間違いなく賢者の覇気
??「…その薬…」
男「あぁ、こいつのだ…ッ、こいつの!」
??「…捨てずに飲め。それはいい薬だ」
男「ほんとか…?」
??「…助けてくれたんだな」
そう言い、俺から二歩離れたような靴音を響かせる。
「…ッ…勘違いさせたな、すまん…」
??「水だ」
男「ありがとう、」
振り返ると、フードを被った男が倒れていた男に水をやっていた。
フードの男の顔はよく見えない。
何故か、フードの影に口と意外全て隠れている。
影が、異様に黒い。
「…なんで俺を殺さなかったの…?」
フードの男「…………恩人を殺すような冷たいヤツに見えたか?」
男「こいつは俺の友達、……その、さっきはかっとしてて…すまなかったな…」
「…いや、俺ももっと考えるべきだったよ…しかし…完全に殺されると思ってたんだけど…」
フードの男「確かに多くのやつはすぐ殺すだろうな」
助かったな、と安堵したのも束の間。
その声がまとわりついた時
建物が一気に揺れる。
轟音
白い光が辺り一面にまかれていく。
境界線から攻め入るように入るヒビ。
「…ッ!こっちに来る!」
フードの男「避けろ!」
男を抱えて空に向かうフードの男に続いて
俺が力足を浮かせた時
「ッうわ!?」
パカッと簡単にコンクリートが割れていく。
造られた渓谷
風を抱き寄せて唸り続ける。
男「このままじゃ荒地になるぞ!?」
「…とりあえず…端にいこう、」
男「大変なことになったな…」
「てかお前、ッそろそろ飛べんだろ!」
男「無理無理無理っ!」
「重いんだよ!」
男「うるせぇ!」
「あー…持とうか…?」
男「確かに…安定感過ごそう」
「失礼なこと言ってる自覚ある?」
そう言い、男を受け取る。
そこまで重くないんだけどな…
フードの男「…戻らなくていいのか。お前あっちの人間だろ」
「…もうあれじゃ戻れないよ」
光が遠くなっている。
きっと、押されてるんだ。
今戻ったとしても、俺もやられてしまうだろう。
フードが男「とりあえず森の方に行こう」
そう言い、彼は森が見える方面へと向かい出す。
俺も、こいつを連れて後を追う。
飛んでいる最中も
建物は崩れ
親子は抱き合い
更には絶望に溺れて泣いている者もいた。
黒く棘を持った茨が木々を守るように生い茂っている。
そんな木の根元に、彼は降り立った。
男「ここは人も少ないんだ」
そう言い、やつも俺から飛び降りた。
「…そういえば…君たちは俺達に対して嫌悪感とかないの…?」
男「あるに決まってんじゃん…」
フードの男「そういうこと言うな。」
「いや、大丈夫だよ、わかってて聞いたんだから」
フードの男「…すまんな、」
「…君はないの?」
フードの男「…俺は…昔仲良かった奴がいて…そいつが光の奴だったんだよ。」
「そうなんだ… 」
男「でもいつもは他の光のやつに対してクッソ冷たいよな、お前。珍しくこうしてさ、」
フードの男「…お前を助けてくれた奴だからな。」
男「いつも俺の事助けねぇくせに!!」
俺と全く同じだ。
…待って、もしかしたら知ってるんじゃ…
「…実は俺も仲良かった奴がいてさ、スマイルってやつなんだけど…」
男「…!」
フードの男「…知らんな、」
男「…………スマイル、ねぇ…」
「…知らないかぁ…」
そんな話の奥の方でも、銃声やら罵倒の声やらが聞こえてくる。
フードの男「…とりあえず、お前は家に戻った方がいい、奥さんや子供も心配しているだろう」
男「そうだな、ちょ、運んで」
フードの男「自分で行け」
男「っちぇ、なんで俺には冷めてーんだよ!」
「いいよ、俺運んでやるよ。」
男「ほんと!?お前は良い奴だな!」
「…」
お前”は”か…
少しムズムズした気持ちで、彼をおぶる。
男「こっから近いんだ。あの家なんだけど…」
「…ほーい」
目的に向かって歩き始める。
後ろに、力強い視線を感じて。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!