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「けほっ、」
はあー、とついため息が出てしまう。
「今日、お家デートなのに、、、」
今日は健人とお家デートの約束をしていた。のにも関わらず、(多分)少し風邪気味になってしまった。
とりあえず支度するか、と重い腰を浮かせた。
ピンポーん
「おはようございます、ってどうしたんですか、その顔」
目を合わせた瞬間にこのセリフ。
鋭すぎて怖い、。
「んー?どうしたって何が?」
「はあ、明らかに体調悪いでしょう、あなた」
「けほっけほっ、なにが?」
「咳してるじゃないですか」
うっかり咳をしてしまった、。
「ちょっと、咳が出るだけ」
「それを体調悪いと言うんですよ。ほら、早く中に戻って」
「けほっ、はーい」
建人は、少し心配そうな顔をしていた。
「ほんと、咳が出るだけ。っけほ、けほっ」
「それなら、いいのですがあなたの場合重症化することが多いですから、」
「んーん、今回は大丈夫、ほんと。だから早く映画見ようー?」
「はあ、その自信はどこから来るのやら、」
ぶつぶつと言いながらも建人はソファに座って私と一緒に映画を見た。
映画中盤、なんだか少し変な感じがした。
「ん゛ん゛、けほっけほっげほっ 」
「、ほら、水飲んで」
隣にいる建人は、心配そうにコップを渡してくれた。
「ん、けほっ、ありがとう」
「いえ、それより体調さっきより悪化してませんか?心做しか顔色が悪い気がします。」
「気のせいじゃな、、、っ!」
途中で口ごもったのは、建人が急に私のおでこをさわったから。
「ん、やっぱり、あなた熱ありますね。」
「、、え?」
建人が私のおでこを触ってびっくりしたのはもちろんだけど、私自身熱があるなんて考えてもなかったからとても驚いた。
「え、って、自覚なかったんですか?」
「ちょっと体調良くないなとは思っていたけど咳出るくらいだったし、、。」
「はあ、なるほど。とりあえずこれをかけてここで休んでいてください。」
と、言いながら建人は私に端によせであったブランケットをかけてそそくさとどこかへいってしまった。
しばらくすると、体温計、飲み物や、その他もろもろを持った建人が現れた。
「一旦正式に測りましょう、」
そう言って建人は私の脇に体温計を挟んでくれた。
ピピピピ
「鳴りましたね」
体温計を見ると、38度1分。
意外と高い。とおもったが、体温を知ると一気に自分の不調を感じてしまい、この体温も納得だな、と思った。
「何度でしたか?、、ん、これはきついですね。」
こんなことになるなら体温計見なきゃ良かった、。
「早く薬を飲んだ方が良さそうだ。」
私もそう思う。けど、
「そういえばあなたまだ何も食べてないですよね。んー、このままでは薬が飲めないな。」
確かに、すきっ腹に薬は効かないし、なんなら胃を痛めてしまう、と聞いたことがある。
「𓏸𓏸、お腹すいてますか?」
映画を見たこともあり時刻はお昼時。普段の私なら1.5人前くらいなら軽く食べられる。朝ごはんを食べていないのなら尚更。だけど、
「んー、微妙かなー、」
珍しく、お腹が全然空いていない。
「そうですか、珍しいですね」
「私もびっくり。」
「まあ、大方体調が悪いからでしょうね。とは言いつつ、何か食べなくては。ゼリーはどうですか?」
「ん、ゼリーなら」
「良かったです。なら、あなたの好きなみかんゼリーを持ってきます。少々お待ちを」
「はーい」
とかいいつつ、建人を待っている間に眠くなってしまう。
寒いような暑いような、そんなことを思いながらこの居心地の悪い浮遊感に身を任せた。
「○○、○○、起きて」
いつの間に眠りこけていたのだろう。気づけば建人がゼリーやら薬やらをもってこちらを覗いていた。
「ゼリー、食べてください。」
「ん、はあい」
寝起きだったから、ほんと想像の4倍は遅いペースでのろのろと食べた。その間、建人はずっと見守っていてくれた。
「もう、いいかも」
体調を崩した時特有の感覚がして、普段なら美味しいと感じられるゼリーがちょっと違って、全部は食べきれなかった。
「半分食べられましたね、上出来です。では、薬を飲みましょうか。 」
そう言って、スムーズに私に水の入ったコップと風邪薬をくれた。
「ゴクッ、ん、にが」
「まあ薬ですからね。」
その後、私は建人にベッドに横にされ、トン、トン、と寝かし付けられた。
恥ずかしいと思いつつ、不思議な安心感に直ぐに眠りにつけた。
[完]