テラーノベル
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目が覚めたとき、僕は知らない部屋にいた。
白い天井。白い壁。音のない世界。
ただひとつ、窓の外だけがやけに鮮やかだった。
「……ここ、どこだ?」
声はやけに乾いていた。
ベッドの横には一冊のノートが置いてあった。
表紙には、見覚えのある字でこう書かれている。
『夢幻泡影』
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ページを開くと、そこには物語が綴られていた。
________________________
“目が覚めたとき、僕は知らない部屋にいた。”
「……は?」
思わず声が漏れる。
それはまさに、今の僕の状況だった。
ページをめくる。
“白い天井。白い壁。音のない世界。”
心臓がドクン、と大きく鳴る。
さらに読み進める。
“彼はやがて、窓の外に違和感を覚えるだろう。”
僕は反射的に窓を見た。
外の景色は、どこか歪んでいた。
人も車も動いているのに、音だけがない。
まるで——映像だけの世界みたいだ。
「なんだよ……これ……」
手が震える。
ノートに目を戻す。
“彼は気づく。この世界が、自分のものではないことに。”
「やめろ……」
ページを閉じようとした。
だが、手は勝手に次のページをめくっていた。
“そして彼は、ある結論に辿り着く。”
嫌な予感がする。
読むな。やめろ。
そう思うのに、目が離せない。
“自分は、誰かに書かれている存在だと。”
その瞬間、背後で「カリ、カリ」と音がした。
ゆっくり振り返る。
そこには__
誰もいない机と、
ひとりでに動くペンがあった。
ノートに文字を書き続けている。
僕の“次の行動”を。
「……やめろ……」
叫んだはずなのに、声は出なかった。
ペンは止まらない。
“彼は恐怖に顔を歪める。”
頬が勝手に引きつる。
“逃げようとする。”
足が動き出す。
「違う、僕は__」
“だが逃げられない。”
ドアに手をかける。
開かない。
ペンの音だけが、やけに大きく響く。
カリ、カリ、カリ。
“彼は最後に、ノートを破ろうとする。”
気づけば僕は、ノートを掴んでいた。
「やめろって言ってるだろ!!」
叫びながらページを引き裂く。
ビリッ、と紙が裂けた。
__その瞬間。
世界が、歪んだ。
壁が崩れ、天井が消え、景色が砂のように崩れていく。
そして、最後に残ったのは__
真っ白な空間と、机。
そして。
僕の目の前に座る、ひとりの“人間”。
そいつは、静かに笑っていた。
「いいね、今の展開」
ペンを走らせながら、そいつは言う。
「でもさ__」
顔を上げる。
僕と、目が合う。
「まだ終わりじゃないんだよ」
ゾクリ、と背筋が凍る。
そいつはノートに、最後の一文を書き足した。
“彼は、自分がキャラクターであることに気づいた。”
“だが、そのことすら——物語の一部に過ぎなかった。”
視界が暗くなる。
意識が沈む。
最後に聞こえたのは、あの音。
カリ、カリ、カリ。
そして、新しいページがめくられる音がした。
#ドラマ
コメント
1件
え、すご!?✨️ どうしたらそんな展開思いつくの!?w 天才すぎんか…✨️